思春期男子は猫彼氏と夢見る。

俺は、傷が治ると、ありがとうも言わず逃げるようにしてこの家を出て島を出た

次に着いたのはロシアだった

……ロシアにも狼はいるらしい

そしたら、逃げた意味がない

俺は次に、狼のいない日本を目指した

もう海は嫌だ、という思いからなるべく泳がず北海道まで何年もかけて来た

俺には家がない、人間として暮らしやすい場所を求めて、東京方面に向かった

しかし、贅沢を言うと過ごしやすい環境はどこにもなく、"空き家"にこっそり住む他ならなかった

歓喜して、溜まっていた疲れを吐き出して1週間、2週間と過ぎていった

そこで気づいた

なんとかして、人のいる場所に行こう、とした

どうやら、人間はまず幼稚園とやらに通うらしい

盗んだスマホで調べて、入園手続きをした

そして数日後…

幼稚園児ほどの若さに姿に変えて、幼稚園へ向かう

……幼稚園に、着いた

やっと俺は人間になれる

友達ができて、仲間ができて、一緒に遊んで…

ドン！と鈍い音がなった

そしてドッヂボールは続いた

だが、相手は正真正銘ただの幼稚園児

俺は無双した

ボールを当てて当てて当てて、取って取って取って

つまんない？

ていうかはるやって誰？

(ヤイダメ狼！)

(特攻すんのやめろよ)

…は？

狼の世界では弱すぎると言われ、人間の世界では強すぎると言われる

ここまで難しいものなのか…？

初めて、まともな友達ができた