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人間、何があるかわからないものだ。

武道

はぁっ、は…っ

街灯の少ない夜道を駆け回って、おそらく十数分と言ったところだろうか。

武道

俺…っ、

武道

巻き込ま、れ…っすぎだろ…っ!

アルバイトの帰り道、いつもの道で帰っていた時だ

後ろから走ってくる声がして、黒髪の子が俺を追い抜かして行った。

武道

(それだけなら…いいんだけど!)

さらに後ろから走ってくる音がして、振り返れば黒スーツにサングラスを付けたいかにも裏の人間“達”がいたのだ。

黒1

いたぞ!

黒2

周り込めお前ら!

なぜか勘違いされ、よくわからない鬼ごっこに強制参加だ。

武道

っくそ

武道

お前らなんなんだよ!

武道

つか、俺じゃねぇよ馬鹿!

悪態吐きつつ呼吸を少し整えてまた走り出す。

路地に入ったり、人混みに紛れても見つかってしまうのは逃げるのが下手なのか

それとも、こういうやつらは、探すのが得意なのか…

武道

(知らないけど俺を巻き込むなよ!)

武道

(今は一般人!)

不良だったのも中学までだ

追いかけられる理由がない

細い通路を見つけて、迷わず駆け込む

そのまま突き抜けようとして、目の前に見覚えのある人達があらわれた。

武道

っは…、?

やっほ〜花垣♡

竜胆

久しぶりじゃん

約十二年前、天竺との抗争関東事変で見た姿がそこにあった。

武道

っは…はぁ…っ

武道

なん、で…、

来た道の方からは、少しずつ近くなってくる声が聞こえてくる。

武道

(っ、まさか…こいつらもっ?)

んー、首領に言われたのと

竜胆

うちのが馬鹿やってっから

竜胆

ごめんな、巻き込んで

フワリと、花が舞うように微笑んだ竜胆…さん。

武道

(…巻き込む、?)

武道

(それに、首領って…)

2人の首元にある、刺青を見て

武道

(梵天…マイキー君…?)

タイムリープで何度も見た梵天であることに気づいた。

武道

はっ…マイキー、くんが、?

そうそう

だからごめんね、ちょっと眠ってて

武道

は?

武道

っぅぐ…っ!

項の方に襲いかかった痛み。

それから、並に流されるままに意識を暗転させた。

……こいつこんな細かったっけ

竜胆

いや

竜胆

まぁ、十二年も前だから

そう?

竜胆

そうだとは思うけど…念の為に鶴蝶に言っとく?

お、よろしく〜

武道

………ん…?

妙に気だるいのを感じて、そのまままぶたを持ち上げる。

武道

…ここ

武道

(どこだ)

ココ

…呼んだ?

武道

へ?

「知らない天井だな」と思ったら、真横から声がした。

視線を向ければ、チャイナ服に身を包んだ馴染み深い人の姿がある。

武道

…ココ君?

ココ

ん、おはよ

ココ

ちょっと待ってろ、水持ってくる

そのまま部屋の外へと行ってしまった。

少しフリーズして、周りをよく見てみる。

そして、少しの思案に入って、またフリーズした。

武道

…えっ

武道

…んっ?ココ君って…

確か、今は梵天にいたはず。

無力な自分は、タイムリープという力を得てしても

未来を変えることが出来なかった

何度も繰り返すと、ふとした瞬間に力が無くなっていたのだ。

武道

じゃあ…ここって

武道

(…梵天の…あじと?)

サァッ、と血の気が引いていく感覚がする。

日本最大の犯罪組織のアジトにいることが判明した。

カチャ、と控えめに扉が開いて反射的にそちらを見る

ココ

はい水

ココ

あいつら力加減わかってねぇから…

ココ

3日ぐらいボス寝込んじまってたんだ

武道

っ!?…っけほ…

ココ

悪い、驚かせたかっ?

武道

だ、いじょうぶ

渡されてすぐに、喉の乾きを覚えて口に含んで

まさかの事実に一気に飲み込んでむせてしまった

武道

(…3日…?)

武道

(嘘でしょ…)

十二年前を思い出してくれ。

何度殴られても気を失わなかったことを思い出してくれ。

武道

(…脆くなったなぁ…)

しみじみと思いながら、水を飲んで、近くにあるテーブルに静かに置いた。

ココ

マイキーが会いたいって

ココ

多分リビングの方に居るけど…

そこまで言って、区切られる

武道

…マイキーくん

武道

わかりました、リビングってどこですか?

ココ

あぁ、一緒に行こうぜ

ふかふかのふとんを退かして、床に足を着く。

ひんやりとした冷たい床に思わず着けた足を浮かせてしまった。

そのまま、ゆっくりと足をつけて立ち上がる。

武道

んっと、

武道

うわぁ、

武道

久々に立った感じ

ココ

まぁ、実際にそうだからな

武道

…それもそっか…

ココくんの手を借りて、歩きながら苦笑混じりに雑談する。

扉を開けた先は、黒一色の壁と床があり、その通路の先や横にはいくつかの扉が見えた。

ココ

ほら、あそこ

ココ

1番奥がリビング

ココ

間違っても他に部屋に入んなよ。やべぇヤツらしかいねぇから

武道

(や、ヤバいやつら…)

武道

う、うん。

武道

わかりました

軽く微笑んで、廊下を歩いていく。

武道

(………マイキーくん…。)

ふと足を止めて、心臓辺りに手を当てて服をくしゃり、と握りこんだ。

武道

………。

武道

(…………)

武道

(……ふふっ、ダメじゃん弱気)

微苦笑が漏れて、再び歩き始める。

ココ

………。

コンコンっ、とノックをすると、ガタガタンっ、と荒々しい音が聞こえてきた。

武道

えっ、

武道

う…っ?

あまりに大きな音に石のように石化して、突如開いた扉に驚き1歩後退した。

マイキー

たけみっち…!

白い髪が視界を掠め、

肺を圧迫するような力が体にかかった。

武道

ぅく…っ

武道

マイキーくんっ、

武道

く、くるしぃっす…っ

マイキー

………たけみっち

武道

はぃ…武道っすから…っ!

ようやく、回されていた腕から少し力が抜けた。

マイキー

たけみっち…

マイキー

ずっと探してた

マイキー

なんで、俺の前から居なくなったの

マイキー

俺、隣にいて欲しかった

早口で、子供のように

駄々を捏ねて、わがままを言って

親に泣きついているように、マイキーくんは言った。

武道

………

武道

…すいません

武道

…どうしても、俺…

「離れないといけなかったので」

その言葉は声に出すことなく、少しの沈黙が流れた。

マイキー

…ごめん

マイキー

巻き込んじゃった

武道

あ、大丈夫っすよ!

武道

その…俺、巻き込まれ体質…みたいな感じなんで!

ピクっ、と猫のように反応して、真っ黒な瞳がこちらを真っ直ぐに見た。

目の下の隈が酷く、それでも。

タイムリープで見た頃よりはずっとマシ。

マイキー

は?

マイキー

巻き込まれ体質って…

武道

…あ〜…

誤魔化すように笑うと、黒い瞳が細められて圧がかかってくる。

武道

ぅっ

マイキー

どういうこと?

マイキー

巻き込んどいてあれだけどさ

武道

いや…あの、まぁ…

マイキー

なに?

マイキー

言えよ

武道

ぐぬ…

どうやら、圧と言動は前と変わらないらしい。

武道

…その、

武道

俺、“アレ”あるじゃないっすか

アレ、とはもちろん。タイムリープのこと。

武道

それの代償…みたいな感じで

武道

ここ数年巻き込まれることが多いというか…

武道

(…1週間ぐらい前にも交通事故に居合わせたし…)

マイキー

………。

マイキー

…九井

ココ

はいはい

いつの間にか後ろにいたココくんが「はぁ〜」っといった感じに呆れ笑いをうかべた。

マイキー

用意。あと、探せ

ココ

了解。

ココ

…ま、ボスの為だしな

パチッ、とウインクが飛んできて、頭の中にクエスチョンマークがひとつ浮かぶ。

マイキー

…いつまでその呼び方すんだよ

ココ

俺にとってのボスは花垣だけだけど?

マイキー

…………

バチバチと火花が見え、変な幻覚にまたひとつクエスチョンマークが増える。

マイキー

……俺のだし

ココ

俺のボスでもある

謎の言い合いに、傾げた首が少しずつ角度を広げていく。

武道

…なんの話しっすか?

マイキー

たけみっち

ココ

ボスのことだな

武道

……?

武道

(……って)

武道

俺、ボスじゃないっすよココくん?!

ココ

おっそ

ケラケラと満足したように笑って、廊下を歩いてひとつの部屋に入っていった。

パタン、という音がして、マイキーくんの腕にまた力が入った。

武道

う"っ…

マイキー

…………

マイキー

俺のだし…。

だから何が。

その問いは、誰にも答えられることはなかった。

連載してるクローバー…バグのせいか続きが消えてしまっていました…

時間稼ぎにこちらを…!!

申し訳ない…!!

この作品はいかがでしたか?

1,109

コメント

4

ユーザー

これって続きない感じですか?

ユーザー

最高です‼️

ユーザー

oh......神……

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