花吐き病

家に帰っても、病院で言われたことが頭から離れない

両思いにならないと治らない病気？

リビングのソファに倒れ込み、スマホを開く

目に入るのはまた、ぷーのすけの切り抜き

見たって苦しくなるだけなのに。

最近で慣れてしまった、洗面所への駆け込み。

鏡に映る自分の口元から、緑の花びらが落ちていた

それでも、ぷーのすけには絶対知られたくない。

夜。今日はアンプ全員で配信だ。

画面の向こうにはぷーのすけもいる。

普通に笑ってるフリをしても、喉の奥の違和感はある

机の横に置いた、小さなビニール袋に手を伸ばす

咄嗟にミュートにして

袋を口に当てると、胃の奥から込み上げる花

ビニールの中に落ちたのは、緑の花びらだけじゃない

白や黄色────細い茎の切れ端まで混ざっていた

花びらだけだった頃より、明らかに進行している

ぷーのすけの声が響いた

慌ててミュートを外し、配信に戻る

そうこうしていると、配信も終わりの時間になった

配信が終わってすぐ、まぜちから電話がかかってきた

返事に詰まった。

まぜちの声色は、本気で心配してるときのやつ。

通話の向こうで、まぜちが息を呑む音がした

思わず本音がでた。胸がギュッと痛む。

まぜちが叫ぶように言う。必死さが伝わってきた