※少し長めです
すち
目を開けると、先程居た部屋とはまた別の部屋に寝かされていた
みこと
すち
気持ちよさそうに寝息を立てる彼の髪に触れる
みこと
すち
髪を撫でる度ピクッと瞼を動かす彼が愛らしく見えた
優しい彼のような柔らかい髪にずっと触れていたいような気がした
みこと
すち
みこと
すち
みこと
みこと
すち
みこと
コンコンと小さな音を立て、扉が開く
すち
お医者さんかな?と少し姿勢を整える
こさめ
みこと
すち
今はもう日を跨いでいる
活動者なら一般の方よりは耐性があるものの
流石に2日連続はキツイだろう…
こさめ
鼻をすする音と赤く腫れた目を見て何となく察することができた
すち
こさめ
コクっと静かに頷いてから近くにあった椅子に座る
みこちゃんは彼の隣に行き、落ち着かせようとしている
みこと
こさめ
震える声で淡々と話をする彼を見守る
そこで初めて、らんらんが居なくなった、という事実を知った
みこと
すち
こさめ
こさめ
こさめ
みこと
らんらんが居なくなってしまったのには理由がある
これは俺の予想の話だけど…
1つはこの世から居なくなりたい…
俺たちに少しでも迷惑をかけないように…っていう意図
2つ目は多分…
こさめ
みこと
こさめ
こさめ
こさめ
すち
すち
こさめ
すち
彼にとって、俺たちの存在は必要ないのかもしれない
邪魔なものかもしれない
けど…
みこと
みこと
こさめ
俯き加減に何かを考える様子
彼なりに向き合おうと必死なのだろう
こさめ
すち
すち
こさめ
元気よく手を振る彼を見送る
外では人の声が聞こえる
看護師さんとか押し切って来ちゃったのかな…w
みこと
すち
こんな綺麗事を言っている俺が 多分一番、みんなを信じられてない
正論を言って、見送ることしかできないこんな俺を…
信じて愛してくれる人なんて…
みこと
みこと
すち
車椅子の彼に手を引かれ、病室を後にする
街灯が灯る下を2人歩く …わからないな…何も。 突然みこちゃんに手を引かれて病院飛び出して…
途中看護師さんやお医者さんに何か言われた気がしたけど…
みこちゃんは何がしたいのだろうか
無理して悪化するのは俺じゃない
わざわざこんな無茶…
すち
みこと
見たこともないような真剣な表情で俺の方を振り返る
まるで悟ってくれとでも言いたげに眉を下げる
…あぁ、そうだよ
わかってる
みこと
みこと
すち
みこと
みこと
みこと
すち
みこと
すち
すち
みこと
みこと
むっとしたように口をとがらせる彼の目を見つめる
すち
すち
みこと
時が経った
約1年と半年という年月が経過した
最近、まともにご飯食べてないな〜なんて考えていると
一通の着信が鳴った
枕元のスマホをとり、着信許可のボタンを押す
始めは何も聞こえず、沈黙が続いた
約2分経った後、ようやく彼が口を開いた
いるま
そう小さく呟く彼の声は震えていて
今にも消えてなくなりそうなほど、か細い声だった
すち
返す言葉が見つからない
彼は何を求めて、何をしてほしいのか
今の俺には考えることすら疲労とも感じてしまっていた
いるま
ここで綺麗事を並べればいいのか
はたまた止めればよいのか
何が正解で、何が不正解なのかが分からなかった
すち
無言の間の後、静かに通話が切れる
何かに怯えるような彼の声を耳に残し
また、視線を天井に戻す
数ヶ月前までは、みんな笑っていたのに
みんな…一緒に夢だけを見て、必死に走っていたのに
みんな…一緒だったのに。
涙は出なかった
ただ、呆然と立っているだけ。
告げられた一言が、ずっと頭の中で反響している
残念ですが…。
身近な人が、急にいなくなるという現実
ついこの間までここに、隣にいたのに
その存在が泡になって消えたような感覚
悔しかった
彼を救えなかったということが。
…でも、同時にほんの少しの怒りを覚えた
彼に対してじゃない
もちろん、4人に対してでも。
ただ…
過去に甘えて、縋っている自分を見るのが。
彼のような優しい人間ではなく、
言い訳ばかりの偽善者が今ものうのう生きているという事に。
こさめ
彼の目はいつもより充血しているように見えた
まるで"こうなった理由を知っているか"のように
かすれて、うまく聞き取れない彼の声は
こさめ
そう言っているように聞こえたのは
気の所為ではないだろう
いるま
いるま
そう言って崩れ落ちる彼を横目に
昇る朝日を、遠い目で見続けていた
ー数ヶ月前ー
…
自分のせいで
…なんで…
こさめ
カツカツと自分の足音だけが響く
重い扉を開け、風で乱れる髪を抑えながら歩く
…自分があの時連絡していれば
もっと話を聞いていれば
自分勝手な行動をしなければ…
…自分が、生きていなかったら…。
もう随分、考えるという事ができなくなった
自分の心に従うという事が、分からなくなった
ネットのカウンセラーの人は大体同じ事しか言わなくて。
「自分の心に正直に」って。
…何もわからない
自分が何をしたいのかも
何が好きで、何が嫌いだったのかも
生きている意味も…。
正直にって…無理じゃん、ってなって。
毎晩毎晩枕を濡らした
日を重ねるごとに隈が増えていった
夢では決まって、誰かが死ぬ夢。
身近にいる誰かが、必ずバッドエンドになる
それはいつも、"自分"じゃない"誰か"。
身代わりになろうとしても、やっぱり結果は同じで。
自分が欲しかった"もの"って…なんだったっけ
こさめ
心地よい春の風が頬をくすぐる
…久しぶりに、こんなすっきりとした感情になった
楽しいわけでも、悲しいわけでもない
何もなくて、空っぽなだけ。
それだけで、十分救われた気持ちになった
マスクと外し、スマホと一緒に地面に放る
自分の願いはただ1つ
「笑いあいたい」
その願いに向かって
体を、空っぽな空に投げ出した
こさめ
ー現在ー
みんながバラバラになって、どのくらい経ったのだろうか
今はもう、この環境にも慣れてしまった
まるで俺の心みたいな何も無い部屋で過ごして数ヶ月前
する事もしたい事も見つからなかった
医者
…いつの間に
全く気づかなかった
暇72
医者
暇72
医者が部屋を後にすると、また窓の外に視点を戻す
…今日は曇りらしい
全く色付いて見えない
暇72
チラッと先ほど置いて行った薬に目を向ける
…まぁ意味もないから良いかと考え直し、再び視点を戻す
一ヶ月というもの、薬に全く手を付けていない
医者
そう深刻そうに告げた医者の言葉が忘れられない
「悪化」
正直俺はどうでもいい
自分が悪化して死のうが、回復しようが興味ない
…実際のところ言うと、
こんな生き地獄みたいな生活をさせられ続けるのなら
もはや殺してくれって感じ。
毎晩悪夢見て、寝れても1、2時間程度
食欲もなくて。
…俺に何を求めているのか分からなかった
俺が生きていても良い事なんて無い
喜ぶとしても担当医だけ
まぁ俺は沢山いる中の一人に過ぎないんだろうけど
暇72
暇72
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コメント
7件
一気見しました。めちゃくちゃ好きです。 なんかもう、頭の中ぐちゃぐちゃ過ぎてヤバい。
一気見しました! 主さん話を作るの上手すぎません? 神作品ありがとうございます! 続き楽しみにしてます!
ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙まじで好きです!感動系でなんというか…見てるこっちも感情がぐちゃぐちゃになって、 こう、ドキドキする感じ?が、もうほんとに影響力があるなぁって感じました!