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田舎と言うほど建物が少ないわけでもないが、都会とは言えない程の町
そこには幼い頃から素行が悪く、悪評判が絶たない男が住んでいた
主人公の男
彼は骨董品など興味はない
もちろん、目的は泥棒だった
主人公の男
いつもと変わらず盗みを働こうと骨董屋で物色していると
主人公の男
男が唯一目を引いた物があった
それは柄ひとつない無骨な貯金箱だった
主人公の男
主人公の男
主人公の男
主人公の男
不思議な魅力を放つ貯金箱をリュックに隠す
そこで店主のおじいさんが目を覚まし、男は気づかれぬうちに慌てて家に帰って行った
主人公の男
主人公の男
主人公の男
主人公の男
仕方なく説明書を開いて読む
そこには衝撃の内容が書いてあった
主人公の男
【罪貯金箱】
【これは罪が貯金できる貯金箱。】
・青いボタンを押せば罪が貯金されます。
・赤いボタンを押せば貯めた罪が払い出されます。
・罪の重さに応じてパネルの数字が加算されます。
【今だけはトラブルは避けたい!】
【そんな貴方に罪貯金箱、ご利用は計画的に。】
主人公の男
主人公の男
主人公の男
興味が失せ貯金箱を放り、昼寝をしようとすると
大家
大家
主人公の男
ドンドン扉が叩かれ、大家の声が聞こえる
主人公の男
大家
大家
主人公の男
止めようとするも大家は玄関に入って来てしまった
主人公の男
大家
大家
主人公の男
苛立ち、思わず大家を突き飛ばしてしまった
大家
大家は派手に尻もちをつき、頭を打ったのかそのまま気を失った
主人公の男
主人公の男
主人公の男
どうすればいい、焦って周りを見ると貯金箱が目に入る
主人公の男
主人公の男
馬鹿らしいと思いながらもどうしようもないのは事実
縋るように青いボタンを押した
【050】
主人公の男
主人公の男
後ろから物音がして振り返ると大家が起きていた
主人公の男
大家
主人公の男
大家
主人公の男
大家
主人公の男
大家
そう言って大家は何事もなかったように出て行った
足音が遠ざかるのを確認したあと、男は興奮気味に貯金箱を手に取る
主人公の男
主人公の男
主人公の男
その日から男は罪貯金箱をとことん利用した
万引きがバレてもボタンを押せば無かったことになる
何をしても全て貯金されて好き勝手できる
男な気にしてないないが、パネルの数字は着実に増えていった
主人公の男
主人公の男
そこで男は気づいた
貯金箱のパネルこ数字が赤字になっている
主人公の男
気になって説明書を見る
【数字の色について。】
・黄色は上限の半分を超えたサインです。
・赤色は上限間近のサインです。
・上限に達すると貯金ができなくなります。
・払い出しを忘れないようにしてください。
主人公の男
今の数字は【950】
恐らく999が上限だろう
主人公の男
主人公の男
主人公の男
説明書を見る限り、払い出しは貯金した罪がそのまま戻るのではなく
一度に払い出した分に合った罪が戻るらしい
主人公の男
主人公の男
主人公の男
主人公の男
そう貯金箱の使用を止めたが、そう上手くいく筈もなかった
主人公の男
主人公の男
主人公の男
貯金箱を使わなくなってから数日後、男に災難が振りかかり始めた
主人公の男
着替えやゴミに埋もれた貯金箱を取り出す
数字は【900】になっていた
主人公の男
主人公の男
説明書を開いて必死に内容を読む
【払い出しが行われなかった場合。】
【貯金、払い出しを長い間しなかった場合に自動的に払い出しが行われます。】
【少しづつ払い出されるため、大きな罪が戻ってくることはありません。】
主人公の男
主人公の男
主人公の男
主人公の男
自動的に払い出しが始まってしまうと、一度ゼロになるまで貯金ができないらしい
つまり必ず900分の罪が戻ってくるということだ
主人公の男
主人公の男
男は考えた末、壊すことにした
しかしそれも一筋縄ではいかなかった
貯金箱が異様に頑丈だったのだ
金属バットで殴っても、水に沈めても壊れる様子はない
主人公の男
仕方なく男はアパートの屋上から貯金箱を落とすことした
主人公の男
主人公の男
一息つき、柵の外に貯金箱を落とした
ゴトン
主人公の男
確認しようと覗き込む
貯金箱のパネルの数字が目に入った
【000】
主人公の男
主人公の男
主人公の男
主人公の男
主人公の男
その瞬間掴んでいた柵が外れた
主人公の男
乗り出した勢いで男は真っ逆さまに落ちていった
【一度に払い出した分に合った罪が戻るらしい】
男は地面に倒れ込みながらその言葉を思い出した
つまり【000】とは壊れてリセットされたのではなく…
落ちた拍子に壊れ、全て払い出すことになっただけだった
900分の罪が一度に返されるとなると
男がこの後助かるかは
これまでの行いによるだろう