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ある日の夕方、アパートの下の部屋の住人だと言う中年男が訪ねてきて、最近、足音がうるさいと言われた。 もっとも「クレーム」という居丈高な感じではなく、玄関の前に立っていた男は、ずいぶんオドオドした様子で、

アパートの下の階の人

文句って訳じゃないんですけどね…

アパートの下の階の人

歩くなという訳にもいきませんしね…

アパートの下の階の人

そこまでうるさいってことでもないんですが…

アパートの下の階の人

すいませんね、できれば、ちょっとだけ気を遣ってもえたら……

などと、もごもご愛想笑いを浮かべながら言うばかりだったので、こちらとしては

瑛太(えいた)

気をつけますね

と謝るしかなかった。 腹は立たなかったが、とはいえ足音が響くような運動をしていたり、人を何人も招いたりした覚えはなく、文句を言われる心当たりはなかった。床や壁が薄いのだろうかと思ったが、俺自身は2階建ての上階のこの部屋に越してきてからの半年、隣人の生活音が気になったことは一度もなかった。

それから1週間ほどして、また下の部屋の男がやってきた。変わらず逸らし目がちでヘラヘラと笑いながら、

アパートの下の階の人

足音、気をつけていただけています?…

アパートの下の階の人

いや、怒ってる訳じゃないんですけどね、ただ最近、眠れなくて…

アパートの下の階の人

私が過敏なんだと思うんですけどね…もう少し、どうにかできないかな、って…

と消え入るような声で言ってくる。少しイラッとしたが、相手の態度が態度だけに喧嘩もできない。いっそ、怒鳴ってでも来られた方が気分が良かった。

次に下の男が訪ねてきたのは、その2週間後だった。大きな紙袋を抱かえたその姿をドアスコープ越しに認め、ひとつ舌打ちして玄関を開ける。サークルの合宿帰りで楽しい気分だったのに台無しだ。

男はまた、不格好な愛想笑いを浮かべた。

アパートの下の階の人

あの…いい解決方法を思いついたんです…これ、

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