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⚠️注意⚠️ ・空くんが割と酷い ・添える程度に鍾離先生が出てくる
魈
魈はソファの端に座り、何処か憂鬱そうな表情を浮かべていた。
単なる暇潰しか、気を紛らわす為か、スマホで何かの記事を見ているようだが、それでも気は紛れなかったようで溜息を漏らす。
鍾離
魈
鍾離
魈
……無いとは思うが、念の為鍾離自身が空と接触した事があるか確認するべきだと不意に思い付く。
魈
鍾離
魈
鍾離
魈
鍾離
予想通りの返答が返ってきた。なんだか少しほっとした気もする。
ただ質問に答えただけだと言うのに、魈は恭しく謝罪を口にし頭を下げると、そのまま自室へ戻って行った。
空
自室に戻り、ベッドで横になりながら今日の会話を思い出す。
流石に一緒に帰れるとは思っていなかった。ついでに、鍾離先生との関係性も何となく見えてきた。
実は確証では無かったのだが、まぁ、反応的にいい線はいってるのだろうと結論付ける。
とはいえ、久々に恋人と会えたからとはいえ少し早まり過ぎたかもしれない。もう少しゆっくり距離を詰めるべきだと反省する。
空
……この世界でも当然交際、そして同棲する気満々なので、空はそんな事を呟く。 多分この世界の魈は人間だし、力で言えば絶対に自分には勝てないだろう。いざとなれば誘拐してくるか、と過激的な思考をしながら空は眠りについた。
翌日
空
なんということだろう、翌日学校へ来るとペンケースに虫が入れられていた。それも生きた虫。
流石の空も目を細めてしまった。まぁ、旅で慣れているし、この世界の虫は今まで見てきた虫よりも相当小さいのでそこまでショッキングでは無いが。
モブ男1
モブ女2
周囲の笑い声なんか気にする様子もなく、どうしたものかと考え、仕方なく窓から逃がす事にした。
ペンケースに入っていた虫は3匹。3匹とも自分の手に乗せてやる。その内の1匹が手のひらを噛んだのか、ほんの少しちくりとした痛みが走ったが、気にせずにそのまま窓の外へ逃がした。
モブ男2
その時、一人のいじめっ子はある事に気が付く。
あの虫はどれも毒があり、攻撃性も高い種だ。自分が捕まえたものなのでよくわかっている。迂闊に手に乗せたりすれば噛まれるはずだが、空は平然としている。
まぁ、その内腫れたりするだろうと思っていたが、その後、彼の手の外観になにか異変が起きることは無かった。
そして3時間目が終わった後の休憩時間。
モブ女1
空
モブ女1
空
モブ女1
空
モブ女1
空
空は今までこの世界で変なトラブルを起こさない為に、ある程度平穏に……要するに、相手がそれを求めるなら基本的にはどんな欲求であっても従っていた。 それが暴力を振るわれることであってもだ。
とはいえ、危険だと判断すればすぐにでも逃げるか反撃するが、少なくとも空をいじめている4人組からの暴力は正直全くと言っていいほどダメージは無い。
だが、魈と出会ったからにはそうはいかない。もう彼らの言いなりになって虐げられるフリをする時間も無くなった。
モブ女1
空
魈と過ごす時間が短くなってしまうが、まぁ、一応彼等に一言言っておこうと考え、空は渋々承諾した。
昼休み、体育館
空
普段の笑みとは違い、顔に表情を浮かべないまま、少し不機嫌そうな声でそう問い掛ける。
モブ女1
空
モブ男2
モブ女2
人の居ない体育館に、ビンタの音がよく響く。
……まぁ、特段痛くは無いが、少し肌が赤くなってしまう。
でも、空からすれば今やそれもありがたいことだ。 何故なら、自分を心配してくれる魈が見れるかもしれないからだ。
空
モブ男1
空
モブ女1
空
モブ女2
そう言って女がポケットから取り出したのはカッター。
それを取り出した瞬間、空を男子生徒が羽交い締めにする。
空
これくらいの怪我なら、魈に心配してもらえる確率も上がるだろうか、と少し考えこんでそう思い付く。
モブ女2
空
モブ女2
空の煽るような言葉に感化され、女子生徒は感情の赴くままに空の左頬にカッターを突き刺す。
空は酷く無感動的で、微動だにせずそれを受け入れる。
ここで女子生徒は、ひとつの違和感を覚える。
このくらいの勢いで突き刺せば、頬を貫通してもおかしくない筈だ。しかし、空の頬は少し切れて血が出ただけのように見える。
空
昼休みが始まってまだ15分も経ってないくらいだが、空はそう急かす。 只管に平常心を貫く空になにか不気味なものを覚えたのか、全員何か言いたそうな顔をしながらも空を解放した。
いじめっ子グループも早足で体育館を出ようとしたが、それを余裕で追い越すほどのスピードで空も体育館を出ていった。
空
魈
また来た、と魈は眉間に皺を寄せる。
廊下はいつもよりほんの少し騒がしく感じられる。魈ははぁ、と溜息を漏らして自分を呼ぶ声のした廊下へ出る。
魈
空
魈
空
魈
そう言って、魈は空の顔も見ずに空の腕を掴み、トイレの方へと連れ込む。
魈
流し場で自分のハンカチを濡らすと、少し苛立った様な手つきだが、空の頬の傷を優しく拭く。
空
魈
眉間に皺を寄せ、少しムキになった様子で空にそう聞く。
空
魈
いい度胸だ、と言おうとしたが、自分が会ってきた者の中で彼以上に度胸がある者は鍾離くらいしか居ないので、その言葉はぐっと堪えた。
空
魈
そう言われると、何も返せなくなってしまう。 空の言葉にはなんとも言えない説得力がある。本当に変な奴だ。
魈
空
そう言って魈の頭を撫で始める。 なんだかその手を拒む気にもなれなくて、魈は今回は抗議の視線を送るだけで受け入れた。
いじめられてもマジでノーダメージだった旅人さんが書きたかった&ヤンデレ風味な空くんが書きたかったがために始めたシリーズです。
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