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ゆあんくん
カチ、カチ、カチ、
時計の一秒一秒刻んでいく音が、自分の部屋に響く
この部屋には一人しかいないのに、空気は張りつめていて
ピリッとした緊張が部屋を駆け巡っていた
ピリリリリリリッ!!
スマホにあらかじめセットしておいたアラームが鳴り響く
日付が、変わる____
ゆあんくん
今日は、俺の誕生日だ
つまり、あいつとの答え合わせの日
ゆあんくん
大方分かっている
…振られるんだって
急にあんなことして、ファンだとか言って自分の気持ちを偽って
俺は伝えるのが遅すぎた
自分の気持ちに気付くのも、遅すぎたんだ
ゆあんくん
ゆあんくん
この不思議と宙に浮いているようなこの感覚も
振られれば消えてしまう
……まだ、浸っていたいけれど
その気持ちも反面、早く終わってほしいと思ってしまう自分もいる
早く終われば、
この胸を締め付けるような苦しい痛みから逃れられるから
スマホからは、誕生日を祝うメールの通知が せわしなく表示される
じゃぱぱ、のあ、たっつん、シヴァ、どぬく、えと、ヒロ、なおきり、もふ…
…うりだけ、メールが送られていない
また、変に胸が締め付けられる
ゆあんくん
変に優しいあいつだから、
きっと俺に直接伝えてくれるんだろうな
ゆあんくん
…自分から言ったことなのに
なんでこうも後悔しているのかな
ゆあんくん
この前までは、あんなに自信があったのに
今では、軽く息を吹きかけたら消えてしまいそう
うりのことは今でも大好きだし、離したくない
だけど、あいつを束縛したいほどの気持ちはない
ゆあんくん
もう過ぎ去ってしまったことは、戻らないから
…心の準備だけは、しておこう
コンコン、
ふいに、扉をたたく音がした
日付が変わってから、もう1時間が経過している
ゆあんくん
誰かなんて聞かなくても分かる
キイィと、ゆっくりと扉が開かれた
ゆあんくん
うり
そこにはやっぱり、うりがいた
あいつは気まずそうにうつむいていて
いつもみたいな元気がない
ゆあんくん
自分の声が、静かな部屋に響く
うりは返事をしなかったけど、わずかに肩を跳ねさせた
あの日
「諦めない」ってうりに宣言した日から
俺の心臓はずっと脈打っていて
ゆあんくん
やっぱり「ごめん」って、またあの冷たい目で拒絶されるのかな
この苦しい気持ちから解放されるかもしれないという解放感と、
それ以上の恐怖がまじりあって、ぐちゃぐちゃになっていく
俺は自分の震える手を抑えるように強く拳を握りしめた
ゆあんくん
あえて、優しく問いかける
ゆあんくん
もう二度と笑いあえないのは、嫌だ
その口から、拒絶の言葉だけは言わないでほしい
俺はまだ
お前の隣にいたいから
うりは俯いたまま、服の裾を強く握る
その拳が小刻みに震えているのが見えた
すると、ゆっくりとうりが顔をあげた
その瞳には今にもこぼれそうな大粒の涙が溜まっていて、
俺の姿を歪ませながら映していた
うり
声にはならない、かすれた音
俺は黙って、あいつから出る言葉を待つ
うり
うり
ゆあんくん
うりは急にその場に蹲った
急な行動に、俺は変な声が出る
うり
うりは蹲りながらも、少しずつ言葉を発する
うり
うり
うり
うり
うり
ゆあんくん
消え入りそうな声で、うりはボソッと呟いく
その言葉を聞いた瞬間
俺の心臓は大きく跳ねた
ゆあんくん
現実だとは思えなくて
これは夢なんじゃないかと思って、手の甲をつねる
ピリッとした痛みが走った
ゆあんくん
ゆあんくん
嬉しすぎるのと、信じられないのとで、頭の中が真っ白になる
ゆあんくん
ゆあんくん
……こいつをもっと、困らせたい
わざと、意地悪に口角をあげて笑ってみる
うりが小さく息を呑んだ気がした
ゆあんくん
うり
髪から見える耳が、真っ赤に染まっている
あいつはきっと怒っているんだろうな
…まあ、そんなところも可愛いから困らせたくなるんだけどさ
うり
うりは、声を張り上げていった
…だけど
うり
最後は小声でボソボソと呟く
うりは耐えきれなくなったのか、顔を両手で覆った
その指先までが朱色に染まっていて
そんな姿を見て、俺の中の何かがぷつりと切れた
…もう、限界だ
余裕なフリをするのも、意地悪をするのも、
一線を引くのも、全部
…大好きな人がこんなに可愛い事言ったら
耐えきれるわけがない
ゆあんくん
ゆあんくん
うりは無言で首を少し横に振る
けど、今の俺には関係ない
優しくうりの手をつかんで、顔から引きはがす
隠されていたあいつの顔は涙と熱でぐちゃぐちゃで
俺を上目遣いで見ている瞳が、たまらなく愛おしい
ゆあんくん
自分の声が震える
いままで張りつめていたものが降りたような、身軽な気がした
ゆあんくん
ただ、一人の人間として
こいつが欲しい
一歩、うりとの距離を詰めた
至近距離で、うりの熱っぽい吐息が肌にかかる
そのままうりの頬にそっと手を添えて、親指で流れている涙を拭く
そして、耳元に顔を寄せた
ゆあんくん
自分でも驚くほど、低くて、熱を持った声が出る
うりは視線を逸らしたけれど
ほんの小さく頷いた
ゆあんくん
重なった唇から、うりの熱が直接伝わってくる
ゆあんくん
この感触も、熱も、全部
俺だけの「うり」のものなんだ
そう思うと、胸が熱くなる
俺はこの幸せに浸りながら、うりを強く抱きしめた
コメント
10件
ぁ大好きです😭続き待ってますッ!
好きっすね(?)
今回の話もめっちゃ尊かったです! 絡みが尊すぎてしんどい╰(*´︶`*)╯♡