この世には様々な奇妙な病気がある その中の一つ、「花吐き病」 「花吐き病」とは、片思いを拗らせると花を吐いてしまう病気だ 片思いが実らないと死んでしまう 治療法はなく、唯一治す方法は両想いになること 両想いになると白銀の百合を吐き出す 「花吐き病」になった人はそのまま死ぬか、片思いを実らせるかの二択だ だが、殆どの人が片思いを実らせることが出来ず死んでしまう この物語がハッピーエンドになるかバットエンドになるかメリーバッドエンドになるか─── それは、自殺願望者の少年と「花吐き病」にかかってしまった少年、この二人しか知らない
佐波涼
見慣れた白い天井 ここは俺の家でも学校でも保健室でもない──────病院だ
佐波涼
何度目からの言葉を呟く この天井が見えたときは失敗だ といっても失敗しかしてないが 何を失敗したかというと………自殺だ 俺は世間様でいう自殺願望者だ 自殺をするたびに病院───霧島病院に運び込まれる
桃山美香
涼が寝ているベッドの傍に控えていた看護師、桃山美香が涼を叱る 涼が桃山美香に叱られるのは何も今日が初めてという訳ではない 自殺未遂で病院に運び込まれるたびに涼は桃山美香に毎度毎度叱られている 「もっと命を大切にしなさい」と だが、涼にとってはそんなことどうでもよかった 〝早くタヒにたい〟〝この世から消えたい〟 これだけが涼の願いだ
佐波涼
桃山美香
いつも通り無視を決め込んだ涼に慣れたのかいつも通りの提案をしてくる
佐波涼
桃山美香
いつも通りの返答をすると諦めたのかそれ以上言ってこなくなった
桃山美香
佐波涼
桃山美香
病室から出て行こうとした桃山美香は足を止め、涼の前にあるカーテンの閉まっているベッドを指差し涼に忠告をして出て行った この病室はいつも自殺未遂で運ばれてくる涼以外の人は居ないので涼専用みたくなっていたため、この病室に人が居るのは珍しい だからどうしたという話で涼は興味など露ほどもないのだ
佐波涼
毛布を頭まで被り目を瞑る このまま起きずにタヒんでいたらいいのになぁ そんなことを思いながら深く眠りへと落ちていった
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