そう、本当に最悪な夢…
赤司鯉太郎
……ここ、どこだ?
赤司鯉太郎
……
赤司鯉太郎
おーーい!!
いくら叫んでも誰にも声が届かない
真っ暗の空間、密室
俺はこの条件だけで精神が参っていた
赤司鯉太郎
お、おい!
赤司鯉太郎
誰かいるんだろ!!
赤司鯉太郎
返事しろよ!
叫ぶだけ無駄、ただ自分の声が反響するだけ
赤司鯉太郎
…まさか、密室とか言わねぇよな……?
赤司鯉太郎
密室は……
赤司鯉太郎
密室はもうコリゴリなんだよ…!!
はっきり言って、ここがどこかも知らないし、どんな状況かも知らない
まぁ、夢なんてそんなもんだろうが…
赤司鯉太郎
母さん……?
その時、俺は何も無い空間に母さん?と問いかけるんだ
勿論、返答なんてないけどね
赤司鯉太郎
母様なの!?
赤司鯉太郎
どうして「また」こんな事をするのですか!?
何を言ってるんだと俺は思ったよ、なんであんな野郎に様なんてつけんだ?ってね
それが規則だったのか、習慣ずいてたのか、覚えちゃいないけど……
この夢の俺はおかしい
それだけは確かだった
赤司鯉太郎
お父様…?
赤司鯉太郎
お父様なのですか…?
父親
赤司…
父親
少し話があるんだ
何も思い出したくない
赤司鯉太郎
話…とは…?
父親
俺と母さんは、少し出張で遠い所に行くんだ
父親
すまないな赤司
父親
少しの間だけ留守番出来るか?
赤司鯉太郎
遠い所って、どこに行くの?
父親
それは…
赤司鯉太郎
ねぇ、お父様
赤司鯉太郎
本当は出張なんて嘘なんでしょ?
何も、聞きたくない 何も、見たくない
父親
……
赤司鯉太郎
なんとか言ってよ……
父親
あぁ、嘘だ
父親
で、嘘だと分かったからなんだ?何かするのか?
父親
行かないで〜とか言うつもりか?
父親
反吐が出るな
父親
俺と母さんはお前に失望したんだ
赤司鯉太郎
お父様……?
父親
だからもうお前と過ごしたく無くなった
これは、ただの悪い夢
父親
じゃあな
赤司鯉太郎
お父様!!
父親
五月蝿い!
父親
最後くらい俺を失望させるな!!
父親
お前は真面目な子になるはずだったのに…
赤司鯉太郎
ご、ごめんなさい……
父親
どこでおかしくなったのか…
父親
やはり、『アイツ』とは関わりを絶ってもらえばよかった…
赤司鯉太郎
アイツは関係ありません…
父親
口答えをするな!
父親
はぁ、お前といるだけで気分が悪くなってくる…
父親
じゃあな
赤司鯉太郎
お父様!!
赤司鯉太郎
待って!!お父様───!
ガバッ!
赤司鯉太郎
はぁ…はぁ…
寶塚麗
起きた…
寶塚麗
赤司君、魘されてたけど…大丈夫?
赤司鯉太郎
…大丈夫…っす
寶塚麗
……
寶塚麗
赤司くん
寶塚麗
ほら、おいで
赤司鯉太郎
え……?
寶塚麗
人間って、ハグをすればストレスの軽減になるらしいの
寶塚麗
赤司くんがストレス溜まってるとかは知らないけど
寶塚麗
どんな理由であれ、ハグすればちょっとは元気出るでしょ?
赤司鯉太郎
…………
赤司鯉太郎
ははっ、麗先輩らしいや…
赤司鯉太郎
分かりました…
赤司鯉太郎
失礼します
ギュッ…
寶塚麗
…ほんと、紳士的だよね
寶塚麗
赤司くん
寶塚麗
まさか肩を触るだけだなんて…
赤司鯉太郎
俺、女性に手は出したくないし…
赤司鯉太郎
今の時代って、何してもセクハラになりますし
寶塚麗
相手の許可ありだったらいーの!
寶塚麗
ほら!おいで!
赤司鯉太郎
だから、俺女性に手出したくないんっすよ〜
寶塚麗
ゴタゴタうるさいね〜!
寶塚麗
そこまで言うんだったら私から行く!
赤司鯉太郎
え!?ちょっ、待っ──!
ギュッ
赤司鯉太郎
………
寶塚麗
はいおしまい!
赤司鯉太郎
………………
寶塚麗
あれ?赤司くーん?
赤司鯉太郎
俺、初めて女性にハグされました…
赤司鯉太郎
なんか、ハグって、暖かいですね
心臓がうるさい…俺、どうしたんだろ……
#7「夢とハグ」