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金魚鉢に想いを馳せて。

第1話 - 金魚鉢に想いを馳せて。

390

2020年04月13日

#夏祭り

#片想い

#金魚鉢

#約束

#ドラマチック

#恋愛

雨夜楼月でした。

私の部屋にある、金魚鉢。

その中にいる金魚を見ては

君と過ごした、夏祭りを

一人、静かに思い出すんだ…

あの日、私はどうしようもないぐらいに

いつも以上に眩しい君に…。

…ときめいていたんだ。

君の浴衣姿は輝いていて。

浴衣が似合わない私とは

大違いだった。

だけど君が、優しく笑って…

夏風(かおる)

浴衣、似合ってる。

なんて言うから。

勘違いしてしまいそうだよ。

…だけど、凄く嬉しかった。

私(かえで)

…夏風くんも。

私(かえで)

…夏風くんも、浴衣、似合ってるよ…。

夏風(かおる)

はは、ありがとう。

嬉しそうに、恥ずかしそうに…

君は歯を出して笑う。

でも、私は気づいていたんだ。

君が無理して笑っている事を。

夏風(かおる)

…なんだか、恥ずかしいな…。

そう言う君の横顔は

みるみる、紅く染まってゆく。

私はもうすぐ見れなくなる大好きな君の横顔を。

見つめて、この気持ちに区切りをつけようとしていた。

君との別れの事を思うと

涙が止まらなくなってしまうから。

今は知らないふりをしても、いいかな…？

夏風(かおる)

あっ、そうだ！！

夏風(かおる)

金魚すくい、一緒にやらない？

私(かえで)

うん…！！いいよ！！

君からの誘いを断ることなんて

私には出来ないよ。

誰よりも、君が好きだから。

大好きだから…。

夏風(かおる)

やったー！！釣れた！！

お店の人

はい、おめでとう！！

君が釣ったのは、紅くて、綺麗な金魚だった。

それなのに…。

私は、釣れずに金魚すくいの紙が破けてしまった。

夏風(かおる)

どう？釣れた？

私(かえで)

…ううん、釣れない…。

私(かえで)

…しかも、破けちゃった。

夏風(かおる)

そっか…。

そういうと、君はいつになく真剣な表情で

目の前の金魚と向き合った。

水飛沫が勢いよく上がったと思うと…

君の手元には金魚がいたんだ。

お店の人

はい、おめでとう。

夏風(かおる)

…やったーっ！！

私(かえで)

す、凄いね！！

夏風(かおる)

あははっ！！ありがとう。

夏風(かおる)

…こう見えて。

夏風(かおる)

沢山練習したんだよ！？

私(かえで)

そうなんだ…！！

私(かえで)

あははっ！！

君が練習している姿を想像して

思わず笑ってしまった。

金魚すくいに一生懸命な君の姿が思い浮かんで。

幼いような、純粋な心を持つ君を好きになって良かったと

心から思えたから。

夏風(かおる)

な、なんで笑ってるの！？

私(かえで)

夏風くん、一生懸命で素敵だなって思って！！

夏風(かおる)

…ありがとう。

夏風(かおる)

今日、すっごく楽しい。

夏風(かおる)

…君と一緒だからかな？

夏風(かおる)

なーんてね？

私(かえで)

ふふっ！！

こうやって君と楽しく笑い合った日々は

もう二度と戻らないんだ…。

そう思うと、せっかくの祭りなのに…

涙が止まらなくなってしまった…。

夏風(かおる)

あ、あの…！？

夏風(かおる)

どう…したの…？

私(かえで)

…あ。ごめんね…。

私(かえで)

せっかくの祭りが…台無しになっちゃうよね…。

夏風(かおる)

…本当の事を、教えて…？

私(かえで)

…私は大丈夫…

夏風(かおる)

俺は！！

夏風(かおる)

本当は、君と別れるのが…

夏風(かおる)

凄く凄く辛いんだ…。

夏風(かおる)

君と一緒にいると、楽しくて…さ…？

夏風(かおる)

…君は…？

君の一生懸命な言葉に

私はただただ驚いていた。

そして…気がつけば、

口が開いていた…。

私(かえで)

わ、私は…っ！！

私(かえで)

辛いよ…。

私(かえで)

…夏風くんと別れるなんて…

私(かえで)

考えられないよ…。

夏風(かおる)

…そっか。

夏風(かおる)

そう、だよね…。

夏風(かおる)

だからさ！！

夏風(かおる)

この1日を、楽しもうよ！！

私(かえで)

…うん！！

君の言葉には、いつも…

魔法にかかってしまうんだ。

気がつけば、君の事ばかり考えてしまう魔法。

君といると、どこにいても… 笑顔になる魔法。

…別れるのが辛くなる魔法。

泣きたくなるぐらい悲しい魔法。

…そう。

恋の魔法…。

ドーンドーンと大きな音を立てて

沢山の花々が夜空に咲き乱れる。

…最後に君と見る事ができて、良かった。

夏風(かおる)

ふふ、綺麗だね。

私(かえで)

うん…！！

夏風(かおる)

…ねえ。

夏風(かおる)

もし僕が…いなくても。

夏風(かおる)

君には…花火よりも美しく咲き誇ってほしい。

夏風(かおる)

…約束、してくれる？

私(かえで)

…うん！！

花火の音と、君の声は…今でも耳に残っている。

私の、大切な思い出。

そして。

私が一番嫌いな時間…。

別れの時が、やってくる…。

夏風(かおる)

また、会えるかな？

私(かえで)

…きっと会えるよ。

夏風(かおる)

そうだよね…！！

私(かえで)

じゃ、じゃあ…

夏風(かおる)

待って！！

夏風(かおる)

…これ、君に。

私(かえで)

えっ！？これって…。

夏風(かおる)

金魚すくいの金魚。

夏風(かおる)

…ほら。

夏風くんは、二匹の金魚を私に見せてくれる。

夏風(かおる)

俺とお揃い…なんだ。

夏風(かおる)

これを見れば、今日の事を思い出せるでしょ？

夏風(かおる)

…それに。

夏風(かおる)

…離れていても、一緒…だから。

私(かえで)

…うん。そう…だね！！

私(かえで)

…ありがとう。

私(かえで)

大切に、するね…！！！

夏風(かおる)

…俺も。

夏風(かおる)

じゃあ…。

夏風(かおる)

また、会おうな！！

私(かえで)

うん…！！

夏風くんは、走って行く。

…明日に向かって。

…だけど。

最後に言わなきゃ…！！！

私(かえで)

あ、待って！！

夏風くんがくるりと振り向く。

これだけは、絶対に言いたい…！！！

私(かえで)

あの、さ…！

私(かえで)

わ、わわ、私…！！

私(かえで)

夏風くんの事が…っ！！

私(かえで)

好きでしたーーーーーっ！！！

自分でもびっくりするぐらいの大声で…。

途端に恥ずかしくなってくる…。

すると、君が私に向かって

一直線に、走ってくる…！？

夏風(かおる)

お、おお…俺も！！！！

夏風(かおる)

俺も、かえでさんの事が…！！

夏風(かおる)

…好きだーーーーーっ！！！

夏風くんの勢いが凄すぎて…

私は夏風くんの腕の中に。

私(かえで)

あわわ、わわっ！？

私(かえで)

夏風くん…っ！？

夏風(かおる)

あ…っ！！え…っと…

夏風(かおる)

ごめんっ！！！

夏風(かおる)

絶対、また会おうな！！

夏風(かおる)

それと…次、会えた時には…。

夏風(かおる)

…俺と、結婚して下さい。

真剣に私を見つめる瞳。

その真っ直ぐな瞳と、君の声、横顔、笑顔を…。

私は、一生忘れない。

私の家の金魚鉢を見ると。

時々、あの日の事を思い出す。

君がくれた金魚のいる金魚鉢に…

想いを馳せて。

この作品はいかがでしたか？

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この作品♯ドラマチックのお題の銀メダルでしたね！おめでとうございます…！！

感動した……(´；ω；｀) 目から水出てきた……(´；ω；｀) 青春ってすごい……！青春大事！！

青春って感じで甘酸っぱい夏(( 雰囲気最高、二人が幸せになってほしい

雨夜楼月でした。

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