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#キャラ崩壊注意
Rara__ .
32
#キャラ崩壊
しゅぴ
2,024
1,217
まっちゃ🍵
80
朝、目覚めた時から
なんとなくおかしかった
身体が重い
喉が少し痛くて、頭もぼんやりする
けれど今日は、高校入学式だった
休むなんて考えていなかった
○○はゆっくりと布団から起き上がった
昨日の夜に用意しておいた
青葉城西高校の制服に袖を通す
鏡の前に立って、髪を整える
寝癖は付いていない
黒くて真っ直ぐな髪
いつも通りだ
少しだけ緊張している
でも、それもいつものことだった
人前に出ると、どうしても体が固まる
声を出すのも苦手になる
今日だって、きっと大丈夫
そう思いながら、1階へ降りた
○○
リビングに入る
返事はない
母はもう仕事に出ているらしい
父は単身赴任中
静かな家の中で
冷蔵庫の音だけがやけに大きく聞こえた
○○はキッチンへ向かい
冷蔵庫から麦茶を出そうとして━━
○○
手を止めた
やっぱり身体がおかしい
救急箱の中にある体温計を手に取る
脇に挟む
しばらく待って
ピピッと、音が鳴った
画面を見る
○○
38.7℃
○○はしばらく体温計を見つめた
○○
今日は入学式なのに
その時、階段から足音が聞こえた
大我
大我
眠そうな声
振り返ると、兄の大我が階段を降りてきた
高校三年生
金髪に近い髪
寝起きだと言うのに
妙に様になっている
そしてやたらと背が高い
○○
大我
○○
大我
大我が近づいてくる
○○の手にある体温計を覗き込んで
大我
少し笑った
大我
大我
○○
○○は少しだけ大我を睨む
けれど熱のせいか、いつもより迫力がない
大我
○○
大我
大我は笑いながら
○○の額に手を当てる
大我
○○
大我
○○
大我
○○
もう一度睨む
大我
大我はケラケラ笑いながら
準備をしに行った
○○はそのままソファに寝っ転がった
数分後
大我は自分のカバンを肩にかける
制服ではなく私服だった
今日は2、3年生は休み
つまり、大我には入学式が関係ない
大我
○○
大我
○○
大我
大我
そんなことを言いながら
玄関に向かっていく
○○
○○
大我が振り返った
ほんの少しだけ、表情が変わる
大我
大我
大我
○○
大我
そう言って玄関のドアを開ける
大我
ドアがしまった
静かになった家の中に
しばらく大我の香水の匂いが残っていた
それから整髪料の少し甘い匂い
○○は玄関を見つめる
...朝から、すごい匂い
きっと今日も誰かと遊びに行くのだろう
兄は昔からそうだった
友達が多くて
明るくて
人に囲まれていて
○○とは正反対
○○は小さくため息をついた
○○
誰もいないリビングで呟いた
昼になっても、熱は下がらなかった
○○はソファに横になりながら
スマホを手に取る
母にメッセージを送る
『熱出た』
それだけ
数分後
『また?』
返信が来た
『ほぼ9度近い』
『やば、帰ったらおじや作る』
『うん』
それで終わり
母は花屋をやっている
朝から店に出て、夕方まで帰ってこない
けれど、必要な時には
ちゃんと帰ってきてくれる
○○はスマホを置いて、麦茶を飲んだ
冷たい液体が喉を通っていく
○○
ぼんやりと天井をみる
今日、本当なら
入学式に行って
教室に入って
隣の席の人と話して、友達を作る
そんな一日だったはずだ
でも
こういう日によく休むのが私だった
大事な日
緊張する日
そういう日に限って、体が弱る
中学校の入学式もそうだった
あの日も朝から熱が出ていた
結局、入学式には出られなかった
次の日から学校に行ったけれど
既に小さな輪ができていた
人な嫌いな訳でもない
ただ
自分から話しかけるのが苦手だった
緊張すると、頭の中が真っ白になる
何を話せばいいのかが分からなくなる
だから
誰かが話しかけてくれるのを待つ
でも、誰も来ない
その繰り返しだった
○○
○○は小さく呟いた
そして兄のことを思い出す
大我なら、こんなことにはならない
どこに行っても友達がいる
いつも誰かに囲まれている
昔からそうだった
兄が歩けば人が寄ってくる
それは女の子も同じだった
『あれ、福本くんの妹らしいよ』
『え、大我くんの?似てなくない?』
『大我の妹って聞いたからもっと...』
そんな声を聞いたこともある
逆に
『妹ちゃん可愛いじゃん』
なんて、兄目当てで近づいて来る人もいた
○○はそれが嫌だった
兄の妹だから
ただそれだけで見られることが
一時期は、本気で兄を憎んだこともある
どうして自分は、この人の妹なんだろう
そう思った
でも
○○
兄は、○○には優しい
まぁ、そうじゃない時もあるけれど
今日だってからかってきたけど
ちゃんと熱があることを心配してくれた
○○は目を閉じる
同じ高校に進学したのだって
別に兄と一緒にいたかった訳じゃない
不可抗力だ
○○は家から近い高校が良かった
大我は━━
まぁ、そのくらいの偏差値だった
ただ、それだけ
だから高校では
兄の妹だと、できるだけ知られないように
そうしようと心に決めた
誰にも言わない
兄の友達にも近づかない
兄の妹として見られるくらいなら
最初から知られない方がいい
○○
○○
誰にも知られず
静かに
出来れば少しだけ友達を作って
そんなことを考えながら自室に向かった
夕方になった頃
母
玄関の方から母の声が聞こえた
階段を登ってくる音
母
母
○○
○○は体を少し起こす
母はいいから、と言って部屋に入る
母
母
呆れたような声
母
○○
母
母は笑った
そして、そのままキッチンへ向かった
母
○○
母
○○の冷えピタを貼り直す
母
母
○○
朝から晩まで忙しいのに
帰ってくるとこうして料理をする
○○は下に降りて、ソファに座る
キッチンに立つ母の背中を見る
明るい
よく笑う
話す声も大きい
兄の大我と少し似ている
性格も
多分、兄があんなに陽気なのは
母親に似たのだろう
母
しばらくして
湯気のたったおじやがテーブルに置かれた
母
○○
母
母
○○
○○がスプーンを手に取った時
玄関のドアが開いた
大我
母
大我だった
大我
母
大我
大我は靴を脱ぎながら
何かを手に持っている
大我
テーブルに袋を置く
○○
大我
○○が袋を見る
プリン
ゼリー
小さなケーキまで入っている
○○
大我
○○
大我
大我
○○
思ったより優しい
○○は少しだけ笑った
その時
○○
大我の頬に目がいった
赤い
綺麗な手のひらの形が
うっすらと残っている
○○
○○は何も言わなかった
見なかったことにする
たぶん
女の人と色々あったのだろう
そう思うと少しだけ笑ってしまった
大我
○○
大我
大我が不思議そうに首を傾げる
母は何も気づいていない
気にしてもいない
たぶん
気づいても気にしない
その日の夜
○○がベッドに入ってスマホを見ると
父からの大量のメッセージが届いていた
『大丈夫○○?!😢😢😢』
『熱何度?!』
『お父さん心配だよ、大阪から帰ろうかな』
『新幹線取らないと』
『ちゃんとお母さんの言うこと聞いてる?!』
『病院には行ったの?🥹』
『薬は飲んでる?』
『返信してね😭😭😭』
○○
○○は頭を抱えた
○○
単身赴任中なのに
多分、今頃仕事も手につかなくなっている
スマホを伏せる
静かな部屋
本当なら高校生活が始まるはずだった
新しい毎日が始まるはずだった
けれど
肝心なスタートダッシュに出遅れた
少なくとも今日は
家族だけがいる、いつもの1日だった
少しうるさい兄
忙しいけれど優しい母
遠くにいる心配性の父
そして、自分
○○は目を閉じる
明日は学校に行けるだろうか
そんなことを考えながら、眠りについた
これが
福本家だ