暗い暗い夜
近くに人影がライトに反射して見えた
荼毘
…誰だ
その人影が光りに変わると、
緑谷出久
…すみません、
雰囲気の悪い高校生ぐらいの奴に、話しかけられた
泣いていたと分かるほど、目元は赤く、腫れていた
そいつは、どろどろに汚れた雄英の制服を着ながら
俺にこう言った
緑谷出久
僕…あなたのようになりたいんです
緑谷出久
ついていかせてください、お願いします
そして、深々と頭を下げ続けていた
季節は夏、
山奥の殺風景な公園で
ただ、戯れていた
緑谷出久
あ ~、あっつい…
太陽を遮るものはなにもなく
強い日差しが目に直撃する
少女
きゃ‼︎
目の前で、1人の少女が転んだ
前まで簡単に差し伸べられた手が、重りのように感じる
緑谷出久
っ…
ただただ泣き続ける少女
緑谷出久
…、大丈夫……?
しかし、その声は
少女の耳には届かなかった。
人通りの少ない所で座り込む
荼毘
お前、雄英の奴だろ?
荼毘
なんでここに来ちまったんだ
緑谷出久
……どうして、でしょうね
突然聞かれた質問に動く手が止まる
緑谷出久
僕にも、っ…よく分からないんです…
かすれた声だが、頑張って出した方だった
荼毘
…訳ありヒーロー科か
緑谷出久
僕は…ヒーローには向いてないので
初夏の夜
蒸し暑いはずなのに何故か体が冷え、震えていた