ドクスト夢

遅くなってごめんな

リクエストは自分のペースでやってますのでよろしくです

真空管だ……！！

パリンと言う音を立てて作りかけの真空管のフィラメントは砕け落ちる

でもやっぱりそう簡単にはいかない

ねぇんだよ……

この時代じゃ、そんなもんは

千空は、物事に対して思い詰めた時、悩みながらも、何か壁を破る別の方法を考える

私が彼を慰めたところで、フィラメント制作が順調に進む訳でもない

千空も私の慰めは望んでいない

勿論、彼が私の役に立てる知識を頼るなら、一緒になって苦しむ

けれど、今はどうしようもない

スイカが持っていたそれは

ただの石

いや、ただの異様に重い普通の石

この奇跡はスイカの直感によって起こされる

それは朝日が昇る直前紫外線だけが地球を照らし出す

魔法の時間一瞬の輝き

原子番号74

タングステン

彼から貰った雪の結晶を握りしめる

私達はニヤリと微笑み合う

いつも思う

このやり取りが一生続きますように

そんでもって千空とクロム、そしてまさかのマグマでタングステン鉱石を採りに行った訳だけど……

そう、千空の年齢、つまり誕生日！！

1月4日、石の日だ！！

当の千空先生は帰ってくるなり目隠しをされていた

彼の目の前に映し出された絶景は

なんとも美しく見えたことだろう

クロムは千空と私を指さしながら言う

ラボに籠りきりだった千空も私も、特にゲンはそこはかとなく頭を使い疲れ果てていた

見てみるかとクロムの傍には今までクラフトしてきた科学道具を全て並べただけのような物体が……

フィラメントを手に入れた！！

彼らはハイタッチをしてそれぞれの作業にとりかか……

とりかかった

暖炉を手に入れた！！

ワインと焼いた海藻を一緒に溶かして出来たロッシェル塩

無限の彼方に声を届ける現代戦最強武器の爆誕だ！！

ケータイを手に入れた……！！！

…………

案の定文字道理みんなぶっ飛んでいた

長い年月、長い努力、

これらを乗り越えた時、不可能は可能になる

電話越しにクロムの声が聞こえる

千空は天井を見ながらニヤニヤしてそういう

本気でもないくせにそういう事を言わないで欲しい

石神村に伝わる百物語其の14

スピーカーというお喋りが大好きな蜂がいました、それは、墓石に針を刺すと死者の声を流すことができる

百夜、あなたの

あなたの声をもう一度

あなたの大好きな声を、話を、

お願いします

もう一度だけ、聞かせてください