サラン
おかーさん!おかーさん!
お母さん
どうしたの?また起きちゃったの?
サラン
また足元にいる!
お母さん
お母さん
またなの?
お母さん
今日は何が見えるの?
サラン
足元の方の下に下る階段のとこ…
サラン
黒いのが頭ピョコンと出してこっち見てる!
サラン
こわいよ!
サラン
目だけ光ってて体は黒いよ!
お母さん
ほらほらドアを閉めたからもう大丈夫よ
お母さん
さっ、寝なさい
サラン
う…うん…
翌朝
サラン
おかあさん今度はこっちから見てる…
サラン
もうこわいよー
お母さん
お母さん
おかあさんもね、実は…
お母さん
視線を感じるの
お母さん
全身真っ黒で目だけ光ってるの
サラン
えっ…
サラン
見えてたの?
サラン
じゃあれはなに?
お母さん
わからないけれど、イタズラはしてこないよね
お母さん
ただただ、私たちを見てる…
お母さん
原因がなんなのかわからないから気にしないようにしましょう?
サラン
うん…わかった
サラン
でもお風呂とか寝るときとか一緒にいてね?
お母さん
もちろんいいよ
ほどなくして借家から持ち家へ引っ越した
サラン
新しい家ー!!!!!
お母さん
ほらサラン!片付けやっちゃってよ!
サラン
うん
サラン
でもこれでわからない視線からはさよならできたね!!
お母さん
そうね
お母さん
でもお母さん思うの
お母さん
なにかをするわけでもなく
お母さん
ただ生活を見てただけ
お母さん
みんながみんな大変なことはあったかもしれないけれど、命に関わるほどのことはなかった
お母さん
もしかしたらお家を守ってくれていたのかもしれないね。
サラン
えっ、そんな、いいこだったの…?(笑)
サラン
じゃあ、ありがとうって気持ちをもっておかないとね
お母さん
そうね
数年後
サラン
数年後経ってもこうやって時々思い出しちゃうんだ
サラン
ありがとうとは思いつつも
サラン
ずーっと感じてた視線は脳裏に焼き付いてるよね。
サラン