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恋より先に、忠誠を。

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恋より先に、忠誠を。

7 - 6,休日の余白、心がほどける音

♥

1,199

2025年07月08日

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第6話です!

nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 兄弟パロ 執事パロ

ご本人様には一切関係ございません!

苦手な方はback推奨!

では!

どうぞ!!

6 休日の余白、心がほどける音

休日の朝は、屋敷全体がどこか柔らかく沈んでいるようだった。

普段は早朝から忙しなく響く足音や控えめな話し声も、今朝は控えめに抑えられ、まるで屋敷そのものが深呼吸をしているかのようだった。

カーテン越しに差し込む光は、いつもより少しだけ温かく、床や壁にゆるやかな模様を描いている。

そんな穏やかな空気の中、階段を下りてきたこさめは、軽やかな足取りでホールへと姿を現した。

柔らかなクリーム色のカーディガンに、淡いブルーのシャツという装いは、普段の制服姿とはまた違う、年相応の少年らしさを引き立てていた。

ホールの正面には、静かに待っていたなつの姿があった。

彼もまた、いつもの黒の制服姿ではなく、私服に着替えていた。

グレーのパーカーに黒のスリムパンツ。

飾り気はないが、その落ち着いた色味と着こなしが、彼の性格を物語っているようだった。

こさめ

……おはよ、なつくん

こさめが声をかけると、なつは小さく一礼し、ゆっくりと顔を上げる。

なつ

出かける準備は、できてるか?

こさめ

うん

こさめ

……ね、今日はどこに連れてってくれるの?

なつ

行きたい場所は?

こさめ

……なつくんの、おすすめがいいな

その言葉に、なつはわずかに顎を引いて考える素振りを見せたあと、短く答える。

なつ

静かなところがいいだろ

その言い方がどこか“こさめをよくわかっている”ことを示しているようで、こさめはふっと笑った。

こさめ

うん、楽しみにしてる

並んで玄関を出たふたりの姿は、まるで歳の近い兄弟のようで、けれどその間には言葉にしがたい距離感と、確かな繋がりがあった。

向かった先は、丘の上に建つ古い図書館だった。

大きなガラス窓から朝の光が差し込み、奥まで続く書架には、静かな空気が満ちていた。

読書スペースの長椅子に腰かけたこさめは、手に取った絵本を夢中でめくっている。

対してなつは、隣で新聞を広げながらも、時折こさめの方へ視線をやっていた。

こさめ

……こういうの、いいね

こさめが本から目を離さずに、ぽつりとつぶやく。

なつ

何がだ

こさめ

なつくんと、一緒に居られる時間

こさめ

話さなくても、落ち着けるって言うか……

その言葉に、なつは新聞から目を上げ、少しだけ口元を緩めた。

それを見逃さなかったこさめが、いたずらっぽく笑う。

こさめ

今の、もう一回見せて?

なつ

……は?

不意を突かれて目をそらすなつに、こさめはますます楽しげに笑った。

外では風が木々を揺らしていたが、室内の静けさはそれにまったく動じなかった。

まるで、ふたりの時間だけが、穏やかに止まっていたようだった。

一方その頃、街の中心部にあるカフェのテラス席では、らんといるまが向かい合っていた。

らん

そんな細かいことまで覚えてんのか

いるま

もちろんです

いるま

らん様の“好み”ですから

いるまの手には、氷の少ない無糖のアイスコーヒー。

らんが一度だけ頼んだそれを、彼は当然のように覚えていた。

らん

ほんとに、お前って……変わってるよな

らん

でも、まあ……嫌いじゃない

らんの声には、少しだけ笑みが混じっていた。

いるまは静かにその言葉を受け止めた。

らん

……なあ、いるま

いるま

はい

らんが手元のカップに視線を落としながら、ぽつりと問いかける。

らん

もし俺が全部放り出して、ただの高校生になるって言ったら……お前は、それでも隣にいてくれるか?

数秒の間。

それは、問いに対して言葉を選ぶ沈黙ではなかった。

いるま

……それでも、俺はそばにいます

まっすぐな声だった。

いるま

忠誠とか肩書きとか関係なく、俺は“らん様”という人に仕えていたい

いるま

そう思っています

らんは、少しだけ目を細めた。

らん

……ありがとな

その言葉に、いるまは何も言わず、ただ微かに頭を下げた。

その仕草に、何よりも強い想いが込められている気がして、らんはふと空を仰いだ。

高く晴れた空は、この間の雨をすっかり忘れたかのようだった。

午後の屋敷の庭では、陽光が葉のすき間からこぼれていた。

芝生の上に横たわるみことは、腕を枕にしながら、空を眺めていた。

みこと

気持ちいいなぁ……

風に揺れる枝の音を聞きながら、自然と頬が緩む。

そんなみことのすぐそばに、気配もなくすちが現れる。

すち

みこと様、ここに居らしたんですね

すち

探しましたよ

みこと

すっちー……来てくれたんや?

すち

はい

すち

みこと様の姿が見えないと、落ち着かないので

そう言いながら、すちは隣に腰を下ろす。

ふたりの間に、あたたかな静寂が落ちる。

みこと

なあ、すっちー

すち

なんでしょう

みこと

すっちーの“忠誠”ってさ、どこまでいくんやろって思う時あるんよ

みこと

忠誠がなくなったら、俺の事、もう見てくれんのかなって

不安げにこぼした声は、風に溶けそうなほどに小さかった。

けれど、すちは確かにそれを聞き取って、まっすぐみことに向き直る。

すち

俺がそばにいる理由は、忠誠だけじゃありません

すちは、真剣なまなざしで続ける。

すち

俺の心が、みこと様のそばに居たいと、そう願っているんです

みこと

……ほんとに?

すち

ほんとに、です

みことは、少し驚いたような表情で、それからゆっくりと笑った。

みこと

そっか

みこと

なら、安心やな

夕方になり、屋敷の廊下に灯りがともりはじめる。

それぞれの時間が終わり、それぞれの場所へ戻っていく中で、六人の胸には、まだほのかに残るぬくもりがあった。

ふたりだけの時間、束の間の解放、そして交わされた言葉。

それは、日々の中で積み重ねられる、小さな奇跡だった。

忠誠の下にある想いが、少しずつ、静かに変わり始めている。

──恋と呼ぶには、まだ少し早くて。

けれど、確かにそれは“好き”のかたちをしていた。

第6話・了

おかえりなさい!

次回!

𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡70

では!

ばいばい!!

恋より先に、忠誠を。

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コメント

2

ユーザー

最新のでて気づきましたすいませんm(__)m 今回も最高でした! ちょっとづつ見えてくる恋がめっちゃ良いです! ♡1000押させていただきました!

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