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コメント
2件
今回も最高でした! なつくんがイケメンすぎます! ♡1000押させていただきました!
rara🎼
nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 兄弟パロ、執事パロ 黈様体調不良
rara🎼
rara🎼
rara🎼
7 その手が届く距離に、僕はいる
六奏学園の昼休み。
陽射しのきらめくグラウンドからは、サッカーボールの跳ねる音と、にぎやかな笑い声が遠く響いていた。
けれどその喧騒とは少し離れた昇降口の脇に、こさめはひとり腰を下ろしていた。
人通りの少ないベンチ。
開いたままの紙パックのジュースを手に持ったまま、ぼんやりと足元を見つめている。
そんなこさめに、ふいに影が差した。
もぶ
ふと顔を上げれば、他クラスの女子生徒が目の前に立っていた。
柔らかく笑みを浮かべながら、まっすぐな視線を向けてくる。
こさめ
こさめは小さく笑って答えた。
こうして話しかけられることには慣れているはずなのに、今日はなぜか、胸の奥がざわついた。
もぶ
もぶ
言葉を遮るように、こさめは少しだけ首を傾げた。
こさめ
言いたい言葉がうまく見つからない。
拒絶することは簡単なのに、相手の表情を思うと、無下にもできなかった。
それでも心のどこかで、誰かを――“あの人”を探してしまっている自分がいた。
けれど、周囲には誰の姿もなかった。
廊下の先にも、昇降口にも、期待していた背中は見当たらない。
もぶ
こさめ
こさめ
そう口にしたとき、ふと、耳の奥で何かが弾けるような感覚が走った。
足音は聞こえなかった。
気配も、声も、なかったはずなのに。
その“存在”にだけは、どうしてだろう、背中が自然と反応した。
なつ
低く、静かな声が背後から落ちてきた。
振り返るまでもなく、その声の主が誰か、こさめにはすぐに分かった。
制服のネクタイを少しゆるめ、淡々とした表情を浮かべたなつが、まるで風のようにそこに立っていた。
その立ち姿は一見すると無表情に近いのに、どこか周囲を寄せつけないような鋭さを帯びている。
もぶ
女子生徒が一歩引いた。
なつ
なつ
なつの声は穏やかだった。
けれど、その静けさがかえって重く響く。
女子生徒は戸惑いながらも、すぐに頭を下げた。
もぶ
もぶ
軽く会釈して、そのまま立ち去っていく。
そして、ふたりきりになった空間に、微かな緊張だけが残された。
こさめは、ぎこちなく口を開いた。
こさめ
なつ
こさめ
なつ
こさめは、思わず目を伏せた。
助けられたことは、素直にうれしかった。
でも、なつが現れた瞬間までの、自分の戸惑いや不安を思い出すと、胸の奥がきゅっと締めつけられた。
こさめ
なつ
こさめ
なつ
言葉を選ぶように、なつは少しだけ間を置いた。
なつ
なつ
その言葉が、ゆっくりとこさめの心に染み込んでいく。
なつの言葉には、慰めでも、言い訳でもない、ただ真っ直ぐな意志だけがあった。
こさめ
こさめがそっと問いかけると、なつは少しだけ横を向いて、短く答えた。
なつ
その瞬間、こさめの胸の中にあったもやもやが、不思議と溶けていった。
頬に差し込んだ昼下がりの光のように、やわらかく、あたたかく。
こさめ
小さく笑ったこさめに、なつは答えず、ただそっと隣に腰を下ろした。
ふたりの距離は変わらないはずなのに、今はなぜか、それがすごく近く感じた。
一方、生徒会室の前の廊下では、昼休みのざわめきに紛れて、数人の生徒たちが小声で話していた。
もぶ
もぶ
もぶ
もぶ
もぶ
ひそひそと交わされる声。
面と向かっては言えないような言葉ほど、なぜか声のトーンが弾む。
それを廊下の端で聞きとめたのは、いるまだった。
彼は足音を立てずに近づくと、静かに口を開いた。
いるま
穏やかな声。
だが、背筋が凍るような冷静さを帯びていた。
生徒たちは一斉に顔を上げ、そこにいるまが立っていることに気づく。
もぶ
もぶ
もぶ
いるま
もぶ
言い返せないまま、生徒たちは肩をすくめて散っていった。
いるまは視線を逸らすことなく、その背中を見送る。
風もない廊下なのに、空気がひやりと冷たく感じられた。
数分後、生徒会室の中。
らんは机に広げたプリントを眺めていたが、ふとペンを置き、顔を上げた。
扉がノックもなく静かに開く。
らん
いるま
いるまはまっすぐに歩み寄り、机の上に数枚の資料をそっと置いた。
いるま
いるま
らん
らんは乾いた笑みを浮かべた。
らん
らん
いるま
いるまの声には、珍しく感情がにじんでいた。
怒りとも、苛立ちともつかない。
だが確かに、そこには“否”の感情があった。
らん
いるま
いるま
らん
らん
言いかけて、らんは少しだけ目を伏せる。
らん
いるま
いるまは、机の上の書類を指先で軽く押し出す。
いるま
いるま
らん
らんが小さく笑うと、いるまもほんのわずか、口元を緩めた。
いるま
いるま
それは“忠誠”という枠を超えた、まっすぐな言葉だった。
そして、らんにはそのまなざしが何よりの慰めだった。
らん
いるま
いるま
それが、二人だけに交わされた小さな約束になった。
同じ頃、みことは教室でひとり、机に伏せていた。
頬はやや青ざめ、唇にうっすらと汗が滲んでいる。
いつもは誰かと冗談を交わしている昼休みの時間。
だが今日は、彼の周囲に笑い声はなかった。
みこと
隣の席の生徒が心配そうに声をかけるが、みことは曖昧に首を振るだけ。
見慣れた明るさのない彼に、クラスの空気もどこか沈んでいた。
そのとき────。
すち
教室の扉が静かに開き、制服姿のすちが姿を見せた。
その背筋の通った立ち姿に、周囲の視線が一斉に向けられる。
もぶ
もぶ
ざわめく声。
だが、すちは何ひとつ動じることなく、まっすぐにみことの元へと歩み寄った。
みこと
か細く呼ばれた名前に、すちは微笑を浮かべる。
すち
すち
そっとみことの肩に手を添え、そのまま背を支えるように体を起こす。
みこと
すち
みこと
みこと
かすれた声でツッコミを入れたみことだったが、少しだけ表情が緩んでいた。
すち
みこと
クスッと笑ったその笑顔が、すちにとっては何よりの安心材料だった。
すち
すち
みこと
みこと
すちは手を差し出し、みことはためらいなくそれを取った。
ふたりが並んで歩き出すと、教室のざわめきは自然と静まっていく。
もぶ
もぶ
もぶ
そんな声もあったが、すちはどこまでも落ち着いていた。
ただ、みことの隣に立ち、必要なときに手を差し伸べる。
その“当たり前”が、何より大事なことだと、彼は知っていた。
──教室を出た瞬間、廊下に差し込む午後の光が、ふたりの背中を柔らかく照らした。
みこと
すち
すち
何でもないようなその言葉に、みことはそっと目を伏せる。
──この人がそばにいてくれる限り、きっと大丈夫。
そんな確信だけが、心の奥に静かに灯った。
第7話・了
rara🎼
rara🎼
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡80
rara🎼
rara🎼