僕はどう返事すればいいのだろうか。
分からなくて、目の前で涙を流すゆあんくんに ただただ微笑んだ
赤城 柚杏
いいですか。俺と一緒にいてくださいね
泣いてるのか笑ってるのか分からないゆあんくん。 ゆあんくんが僕に求めた返事は言われなくてもわかった。
でも、これを返したら。 ゆあんくんが一ヶ月もしないうちに死んでしまうのを受け入れたかのようになってしまう
僕は嫌。 答えるのも、生きるのも
赤城 柚杏
なおきりさん。お願いします……俺___
赤城 柚杏
俺をひとりにしないで、ください……
僕はなんにも言わなかったただただ微笑みながら華美なムスカリを眺めていた
"そしたらゆあんくん。また泣いちゃった。"___
その時の彼は笑っていなかった
赤城 柚杏
ねぇ、なおきりさん……なんか言ってくださいよ、
そしてやっと言葉を発した
蒼田 直輝
分かりました。一緒にいますよ。
蒼田 直輝
でも、手術してください。
蒼田 直輝
僕は1秒でも多くゆあんくんと一緒に居たいんです。
蒼田 直輝
だから、手術……してください
そう言ってゆあんくんを見つめた。
今度はゆあんくんが黙り込んだ。 ゆあんくんの顔は曇り空。
数十秒の沈黙が続いて、口を開いたのは僕だった
蒼田 直輝
生きるのって大変だと思います。
蒼田 直輝
"苦しいよね"
蒼田 直輝
大好きな物が突然嫌いになったり。
蒼田 直輝
でも、それはなにかきっかけがあったからで、
蒼田 直輝
突然 では無いんです。
蒼田 直輝
でも、病気は突然で
蒼田 直輝
突然死ぬ。生きるってこういうことなんです。
蒼田 直輝
生きていれば死ぬこともあります。
蒼田 直輝
いつか絶対死んでも、
蒼田 直輝
生きる時間を延ばせることができる
蒼田 直輝
手術をすれば……
ゆあんくんはじっと黙って僕の話を聞いていた。
するとゆあんくんはクスッと笑ってこう言った。
赤城 柚杏
__やっぱり変な人__
変な人でもいい。それがゆあんくんの思うこと。 それは初めて出会った時の第一印象だった。
好き
だから、ゆあんくんには生きてほしくて
笑っていてほしい。日に日にゆあんくんが弱ってることは知っている。
でも、その日まで僕はゆあんくんの傍に居る。 そう決めた。