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#コメディ
結愛
418
思い出日記
34
音奏そらる
300
思い出日記
41
世界には、二つの街がある。
ひとつは、煌びやかな光に満ちた“上層”
高層ビルが並び
清潔な舗道に音楽が流れ
笑い声が絶えない街
そこに住む者たちは、飢えることも凍えることもなく、贅沢に囲まれて暮らしていた
政府や権力者、財閥、そして裏で金を動かす富豪たち
欲しいものは手に入り、罪すら金で買える世界
そしてもうひとつは、影のように“その下”に広がる、貧困と腐敗にまみれた街。
上層から吐き出された排気とゴミ、価値のない人間のように扱われる者たちが住む場所
そこでは今日食うものにすら困り、死体が路地裏に転がっているのも珍しくない
人口の約3割がこの下層に生きており、その多くが戸籍すら持たず
ただ“存在している”だけの命だった
ぼろ布を被って寒さをしのぎ
道端で体を売る者
小さな子どもがゴミ箱を漁り
屋台の残飯に手を伸ばす姿
それでも――
そこには、確かに“人の暮らし”があった
寄り添い合い、小さな火を囲んで笑う者たち
家族として生きる人間たちも、 わずかながら存在していた。
柊 朔弥(ひいらぎ さくや)も、その街の外れで生きるひとりだった
人間
ここでは人はよく死ぬ
餓死も自殺も、他殺も、、、
柊 朔弥
人間
人間
人間
人間
ここでは、人を殺して食べる。
まともな食料がここにはない。
柊 朔弥
ガサガサ
柊 朔弥
珍しくまだかじられていないパン
柊 朔弥
路地裏のコンテナ
こんな寒さの中、目が霞むのは
空腹のせいか
それとも、涙のせいか
自分でも分からなかった
上層部の人間に見つかれば、殴られるか、最悪命を奪われる。
この街で“下の人間”が“上の場所”に入り込むことは、それだけで“罪”だった。
上層部の人間
足音にびくりと肩をすくめ、気配を殺すようにして路地裏を離れる。
柊 朔弥
柊 朔弥
腹の底で泣くような声がこぼれる。
近くにあるはずの“当たり前の生活”が、手を伸ばしても決して届かない。
指の隙間から零れる涙を、誰も見ていない夜に委ねて、目を閉じた。
明日なにか変わるかもしれない
そんな根拠のない希望を、心の片隅に灯したまま。