裏路地に煙草

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紫 × 桃

※煙草

空気を白く汚す。

酒臭く、うるさい空気に案外煙草は合っていて、白く空気に溶け込んだ。

肩を上げて悪戯っぽく笑う。

すればいるまはため息をついて、勝手に俺の煙草から一本抜き出した。

咥えたままいるまの煙草の先を俺の煙草の先に押し当てた。

ホストなので流石に顔が整っている。

俺とは違う、少しキツめのイケメン。

そんなイケメンが急に近付いてきたら誰だって驚く。

少し面食らい、身じろぐ。

そんな俺を逃がすまいと、いるまは俺の腰を掴み、近付ける。

ホストで定着した癖なのだろうか。

されたことも無いことに、顔が熱くなることが理解出来た。

そんな事も知らずに、いるまは呑気に火が移るのを待っている。

少し睨んでみると、

と、いるまは意地悪く笑った。

煙草の火を指先で潰して消す。

それからいるまの方を向いて、

舌を出して煽ってやった。

にっこり含羞む彼女の隣に腰をかける。

少し匂う、キツイ香水が嫌いだ。

優しい何時もの甘めマスクを貼り付けて対応する。

小さな男らしい仕草でも顔を赤くする、男性への耐性が少ない彼女からは、いとも簡単に金を巻き上げることが出来た。

本当うちのカモは、ちょろいっすわ。

肩を叩かれ、心がこもってもいない優しい言葉をかけられる。

控えめに笑えば、彼は満足気に歩いて行った。

彼は同僚の、あめの。

可愛らしい顔とは裏腹に、お笑いトークが上手だったり、割とツンデレだったりすることで、

「養いたい」という声が上がるほどの人気がある。

実際俺も養いたい

この店の中では、お互いを本名で呼び合うのはNGとなっている。

某夢の国のように、世界観を壊さないためだ。

大きな口を開けて見窄らしく欠伸すれば、衣装を着替える為、裏の方へと回った。