あの人の先輩は……

及川side

合宿中気分が最悪だった

牛若いるし

佐久早もいるし

とりあえず強い奴らが集まったみたいな感じだった

でもそんなとき

と変な人が入ってきた

烏野のコーチから聞いた

その人はすごい人だった

17でプロバレーボールプレイヤーになれるほどの実力を持ってた

バレーボール会の怪物と言われた人だと

異名はサーブだけのエースだった

変な異名だと思ったから変な人かと思った

でもその人はいい人だった

教えてくれるし

ただ、人の名前が覚えるのが無理のようだった

なにか惹き付けられるような何かを持っていた

初めて生でサーブを見た時取れないと思った

普通のサーブを打ったらボールが割れた

すごいと思った

すっごい楽しそうにサーブ打ってた

10年も寝てたとは思えないほどに

音駒と白鳥沢の監督はすごい怒ってた

あそこまで怒るのは初めて見た

そんな時烏野のチビちゃんが見て欲しいと頼んだ

正直羨ましかった

スパイクを打ってくれることになった時セッターは爽やかくんが選ばれた

羨ましかった

俺の方が……上手いのに

ジャンプを見たらまた驚いた

ブロックを上からぶち抜きした時も驚いた

よくテレビで見る監督が来たのも驚いた

戻ってきてくれと頼まれていた

人望が厚くて羨ましかった

焼肉も奢ってくれるし

お酒は弱かったみたいけど……

懐のでかい人だなと思ってた

寝起きはクソほど悪かった

でも俺がミスして、烏野のマネちゃんに当たりそうになった時

寝てたはずなのにすぐ起き上がって綺麗なレシーブをした

音は……なかった

マネちゃんを怖がらせないようにしていた

周りをみて気を使えるすごい人だと思った

あの姿を見た時

すごいかっこいいと思った

憧れた

でもこの人も才能があったんだと卑屈になってる自分が情けなくて

惨めで

マネちゃんに当たりそうになったことを俺は怒られなかった

まぁしゃーねーよな

失敗することは誰にでもあるし

とその人はｶﾗｶﾗ笑った

俺はその人が憧れの人となった