桃赤 最終回 なんか前回のお話がバグって消えたので泣きながら修正しました ご本人様とは一切の関係がございません 苦手な方はここで閲覧をお控えください
赤
いきなり手を掴まれ、振り返るとずっと忘れられなかった彼の顔
その表情は、怒っているような、辛いような
そんな表情だった
ねぇ、なんでここにいるの?
なんでそんな顔で俺を見るの?
赤
そこまで言いかけて彼の声にかき消される
桃
桃
ねぇ、なんでなの?わかんないよ
ないくんは何にそんなに怒ってるの?何がそんなに辛いの?
なんでりうらより辛そうにするの?
赤
とにかく今はどっかいってよ
これ以上ないくんと話してたらりうらおかしくなっちゃうよ
はやく、忘れさせてよ
はやくりうらのこと忘れてよ
赤
そういうとないくんは強引にりうらの腕を引いてどこかへ連れていこうとする
赤
何を言っても抵抗しても黙ってないくんは俺の手を離さずに進む
ないくんはどこに向かっているんだ?
この方向……そういえばこの近く…
案の定、連れてこられたのは彼の家だった
家に着いてすぐに強引に中に押し込まれた
赤
赤
彼はまだ黙ったままだ
赤
桃
表情はよく見えないが悲しそうで怒っているような声色
赤
そんな訳ないに決まってる
ずっとないくんを想って、忘れられないからあの子に頼んだのに
ないくんのせいでこんなことになったのに
なんでわざわざりうらの前に現れたの?
桃
幸せなわけないじゃないか
ないくんがいないんだから、ずっとずっと心が空っぽなまま過ごしてたんだ
桃
なんでそんな事言うの?
ないくん以上に好きな人なんかいないのに
赤
桃
そう言ってないくんは手を離した
きっと今ならここから出て行けるのに、重りがついてるみたいに足が全く動かない
桃
赤
桃
やめてよ、そんなこといわないで
勘違いしちゃうでしょ、期待しちゃうでしょ
桃
桃
赤
そう言われて頬に触れた時、初めて自分が泣いているとわかった
桃
桃
桃
やめてよ、もうやめて
赤
桃
赤
赤
赤
赤
涙も言葉も止まらなくて、ずっと抱えてきたものを吐き出すように彼にぶつける
ないくんはぎゅっと俺を抱きしめてくれる
懐かしい、あの時と同じ匂い、温かさ、感触
全部全部、大好きだ
桃
桃
桃
赤
桃
桃
耳元で聞こえた大好きな声
え?今なんて言ったの?
赤
桃
桃
なんで?だってりうらは、あんな最低な終わり方したのに
ただ、ないくんの欲のためだったんじゃないの?
赤
赤
桃
いち、ばん?
桃
赤
桃
その時、視界の端のないくんの鍵に目が止まった
あの時のキーホルダー
本当に、ずっと好きだったのかな、ずっと大切にしてたのかな
赤
桃
赤
ぎゅっと、強く抱きしめ返す
ずっとこうしたかった、もう我慢しくてもいいのかな
するとないくんはあの時みたいに俺の頭を優しく撫でてくれた
今度はちゃんと───
赤
赤
赤
あの時と同じ鏡の前でくるっと回る
この時間も懐かしくて幸せだ
赤
あの時のように勢いよく開く扉
桃
赤
抱きついてくる癖は相変わらずみたい
赤
桃
赤
桃
赤
そう言ってないくんの袖をきゅっと掴む
するとスカート越しに太ももに触れられる感覚
赤
桃
赤
桃
赤
桃
桃
ないくんは何かを思い出したように俺から離れて可愛らしい棚の前へと向かってしまった
もうちょっとハグしてたかったのにな…
桃
赤
ないくんに渡されたのは小さな箱
丁寧に包装されていてオシャレな感じ
桃
赤
ひょっとして、りうらがないくんの元を離れたあの日だろうか
中身が気になって急いで箱を開ける
赤
そこにはネックレスが入っていた
赤
桃
赤
赤
ないくんに向かってにっこり笑うとないくんはネックレスを手にとってりうらにつけてくれた
桃
赤
桃
赤
女の子みたいな可愛い服を着るのも
それを着たりうらに可愛い、似合ってるって言ってくるのも
最初は嫌だった、でも
今は嫌じゃないよ、だってないくんがこんなに幸せそうにしてくれるんだもん
赤
桃
赤
ずっと一緒にいようね
END