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『可愛い』

10 - 幸せだよ

♥

1,380

2023年09月18日

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桃赤 最終回 なんか前回のお話がバグって消えたので泣きながら修正しました ご本人様とは一切の関係がございません 苦手な方はここで閲覧をお控えください

……えッ?

いきなり手を掴まれ、振り返るとずっと忘れられなかった彼の顔

その表情は、怒っているような、辛いような

そんな表情だった

ねぇ、なんでここにいるの?

なんでそんな顔で俺を見るの?

なんで…ッ

そこまで言いかけて彼の声にかき消される

なんでッ…!

なんであんな男に…ッ!

ねぇ、なんでなの?わかんないよ

ないくんは何にそんなに怒ってるの?何がそんなに辛いの?

なんでりうらより辛そうにするの?

ッ…ないくんには関係ないじゃん

とにかく今はどっかいってよ

これ以上ないくんと話してたらりうらおかしくなっちゃうよ

はやく、忘れさせてよ

はやくりうらのこと忘れてよ

もう、りうらたち、他人でしょ

そういうとないくんは強引にりうらの腕を引いてどこかへ連れていこうとする

ちょっと…!離してよッ!

何を言っても抵抗しても黙ってないくんは俺の手を離さずに進む

ないくんはどこに向かっているんだ?

この方向……そういえばこの近く…

案の定、連れてこられたのは彼の家だった

家に着いてすぐに強引に中に押し込まれた

何する気…ッ?もう帰してよ

いきなりなんなの…?

彼はまだ黙ったままだ

ちょっと…ッ何とかいいなよ

…俺より、あんな男がいいわけ?

表情はよく見えないが悲しそうで怒っているような声色

は…?

そんな訳ないに決まってる

ずっとないくんを想って、忘れられないからあの子に頼んだのに

ないくんのせいでこんなことになったのに

なんでわざわざりうらの前に現れたの?

…幸せだったッ?

幸せなわけないじゃないか

ないくんがいないんだから、ずっとずっと心が空っぽなまま過ごしてたんだ

あんな金まで渡してさ、貢がせるような男がタイプなの?

なんでそんな事言うの?

ないくん以上に好きな人なんかいないのに

咎める権利なんか…ないくんにないじゃん

…たしかに、そうだね

そう言ってないくんは手を離した

きっと今ならここから出て行けるのに、重りがついてるみたいに足が全く動かない

…でも俺は、りうらには幸せになって欲しいんだよ

え……?

こんな思い、りうらにはして欲しくない

やめてよ、そんなこといわないで

勘違いしちゃうでしょ、期待しちゃうでしょ

…りうら?

泣いてるの?

…ッ

そう言われて頬に触れた時、初めて自分が泣いているとわかった

ごめんね、こんなやつで

責めたい訳じゃなかったのに

泣かせたいんじゃなかったのに、笑ってて欲しかったのに

やめてよ、もうやめて

ずるいよ………ッ

えッ…?

忘れようと…思って、た、のに゙ッ

…っ、な゙んでッ優しくするのッ!

ずっとッ、くるしかったッ

好きなのッに゙ないくんはッちがうから゙って…っ

涙も言葉も止まらなくて、ずっと抱えてきたものを吐き出すように彼にぶつける

ないくんはぎゅっと俺を抱きしめてくれる

懐かしい、あの時と同じ匂い、温かさ、感触

全部全部、大好きだ

…ごめんッ

気づいてやれなくて

辛い思いさせて…ッ

……ひっ……ぅ゙ぅ゙…ッ

…りうら、

愛してる……ッ

耳元で聞こえた大好きな声

え?今なんて言ったの?

……ぇ…ッ?

ずっと好きだった

言うの遅くなっちゃってごめん

なんで?だってりうらは、あんな最低な終わり方したのに

ただ、ないくんの欲のためだったんじゃないの?

なんで…ッ

りうら、可愛くないよ…ッ?

ううん、1番可愛いよ

いち、ばん?

女装なんてしてなくても、ありのままのりうらが好き

う、そ……ッ

嘘じゃないよ

その時、視界の端のないくんの鍵に目が止まった

あの時のキーホルダー

本当に、ずっと好きだったのかな、ずっと大切にしてたのかな

りゔらもッ好きだよ゙…っ

もう一生離さないから…

ゔん…ッゔんっ゙

ぎゅっと、強く抱きしめ返す

ずっとこうしたかった、もう我慢しくてもいいのかな

するとないくんはあの時みたいに俺の頭を優しく撫でてくれた

今度はちゃんと───

んーと、あとは〜…

あ、りっぷも塗らなきゃ

よし…できた…!

あの時と同じ鏡の前でくるっと回る

この時間も懐かしくて幸せだ

ないくん、いいよー!

あの時のように勢いよく開く扉

〜〜!!可愛い〜♡

ッ……わっ…!

抱きついてくる癖は相変わらずみたい

も〜、すぐ抱きつくのやめてよ

本当にやめていいの?

…わかってるくせに、ばか……

んー、俺わかんなーい

…やめちゃだめ

そう言ってないくんの袖をきゅっと掴む

するとスカート越しに太ももに触れられる感覚

ちょっとないくん…!

いや、こんな可愛いのに我慢しろなんて無理じゃない?

もー、ほんと変態…

でもそんな俺が?

……すき

俺もりうら好き〜♡

あ、そうだ…!

ないくんは何かを思い出したように俺から離れて可愛らしい棚の前へと向かってしまった

もうちょっとハグしてたかったのにな…

これ…!

……?これなに?

ないくんに渡されたのは小さな箱

丁寧に包装されていてオシャレな感じ

ほんとは、あの日あげようと思ってたんだけど…

あの日……

ひょっとして、りうらがないくんの元を離れたあの日だろうか

中身が気になって急いで箱を開ける

……!

そこにはネックレスが入っていた

これ、すごい可愛い…!

りうらに、似合うと思って

うん、すっごく嬉しい!

ありがとう、ないくん!

ないくんに向かってにっこり笑うとないくんはネックレスを手にとってりうらにつけてくれた

うん、やっぱり似合ってる

えへへ…///

1番かわいいよ、りうら

ないくんは1番かっこいいよ

女の子みたいな可愛い服を着るのも

それを着たりうらに可愛い、似合ってるって言ってくるのも

最初は嫌だった、でも

今は嫌じゃないよ、だってないくんがこんなに幸せそうにしてくれるんだもん

ねぇ、ないくん

どうしたの?

今りうら、幸せだよ

ずっと一緒にいようね

END

この作品はいかがでしたか?

1,380

コメント

10

ユーザー

番外編的なのってあったりしますか? 終わっちゃうのほんとに寂しい…( ; ; )

ユーザー

完結おめでとうございます! すれ違いからのハピエンの流れが自然で最後まで感情移入して読んでました…本当に神作をありがとうございました!!めっちゃ感動してます🥹

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