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過去

中学校

えいくは、どうして自分がはやとと友達になったのか、よく分かっていなかった。

中学校からの帰り道、えいくは姉と電話をしていると、近くの家から大きな音が聞こえてきた。

えいく

--------!

えいくのお姉さん

--------!

バーン!!

はやとの父親

なにその目ェ!

はやとの父親

逃げられると思ってんのか!

はやとの父親

面と向かって言えよ!ぶっ殺すぞ!

なぜか、えいくは逃げなかった。代わりに、その様子を見てしまった。

中には酔っ払った老人と、自分と同じ制服を着た痩せた少年がいた。

はやとの父親

酒……もっと酒だ!酒ェ!

男は出て行き、少年は床に残された。 えいくの近くにタバコの箱が落ちていて、その少年は素早くえいくの手からそれを奪った。

えいく

…え?

少年は同じ年に見えるのに、その疲れた表情はずっと大人びて見えた。

はやと

…似合うだろ、俺に?

少年は自嘲気味に笑った。 えいくは首を振った。

えいく

これ、お前のじゃないよな

えいくはバッグから取り出したキャンディを差し出した。

えいく

…はい

えいく

こっちの方が似合ってるよ

はやと


。。。

えいく

。。。

えいく

飴、好きじゃないのか?

はやと

だいすき!

はやと

ほんとにしすき

数秒間、沈黙が続いた。

えいく

……抵抗しないの?

はやと

は?

えいく

お父さんにね

はやと

……あんなふうにはなりたくねぇから

その一言で、少年の中で何かが壊れた。泣いてないふりをしながら、必死で涙を拭っていた。

はやと

……お前ここにいるべきじゃねぇよ

はやと

もう帰れ

えいく

。。。

はやと

悪ぃ、言いすぎた

はやと

ありがとな

はやと

えいく

えいく

……俺の名前、知ってんの?

はやと

学校で見かけたよ

はやと

歌うだろ?

はやと

たまに聞こえてきてたんだ

はやと

声、きれいだね

えいく

え?

えいく

。。。どうも

えいく

お前は?

はやと

はやとです!

はやと

よろしくな、えいくちゃん~

えいく

は???

えいく

えいくちゃん?!?!?

はやと

おい、もう友達だろ?

えいく

こんな状態でお前置いて帰っていいのかよ?

はやと

気にすんな。……俺はお前に“うつしたくねぇ”から

そのとき初めて、はやとの震える笑顔を見た。

えいくはそのとき気づいた。人は三種類に分かれる、と――傍観者、被害者、加害者。 本来、それらは交わらない。

少なくとも、えいくはそう思っていた。

だが、その小さな出来事が、はやととの友情の始まりだった。はやとは忘れているかもしれないが、えいくは決して忘れなかった。

キャンディを受け取った後のはやとの顔、頬の痣、父親の酒臭さ。

母親が「友達はよく選びなさい」と言っていたのに、問題児と呼ばれる子と友達になってしまっていた。

気づいたときには、えいくはもうはやとに近づいていた。止められなかった。

山下の家

夢から覚める

えいく

あ。。。(心が痛い)

えいく

。。。(痛い)

えいく

泣泣泣

その時...ガチャッ

えいくのお姉さん

え、えいく?!

えいくのお姉さん

どうしたの?

えいくのお姉さん

。。。なんで泣いてんの?

えいく

。。。あ、いや

えいく

大丈夫だよ

えいくのお姉さん

えいく、あたしお姉ちゃんだよ?

えいくのお姉さん

なんでも話していいんだよ?

えいくのお姉さん

友達とケンカでもした?

えいく

え?

えいくのお姉さん

あの痣だらけの男の子

えいく

。。。はやと?

えいくのお姉さん

うん

えいくのお姉さん

ケンカでもしたの?

えいく

してない。。。

えいくはまた泣き出してしまい、姉はぎゅっと抱きしめた。

えいくのお姉さん

泣かないで、泣かないで

えいく

ねぇちゃん (泣)

えいく

おれ。。。おかしいんだ (泣)

えいくのお姉さん

そんなこと言わないの

えいく

ほんとだよ

えいく

おれ、どっか壊れてんのかも。。。

えいく

直せるかも分かんねぇし (泣)

えいくのお姉さん

やめなさい、そんな言い方

えいくのお姉さん

何のこと言ってんの?

えいく

おれ。。。

えいく

俺 。。。もしかして、その。。。ゲイなのかもしれない。。。(泣)

えいくのお姉さん

。。。え?

えいくのお姉さん

えいく。。

えいくのお姉さん

ごめんね、ずっと気づけなかった

えいくのお姉さん

えいくが男の子好きでも、なんでもいい

えいくのお姉さん

えいくはえいく、私の弟だよ

えいくのお姉さん

だから泣かないで、ね?

えいく

。。。わっかた

えいくは小さく笑い、姉はようやく腕をほどいた

えいくのお姉さん

はやとの事好きでしょ?

えいく

は??////

えいくのお姉さん

やっぱりね(笑)

えいくのお姉さん

ねぇ、もう告った?

えいくのお姉さん

告白したら?

えいくのお姉さん

だって今日はバレンタインだし!

えいく

はぁ!?

えいく

するわけないだろ!

えいく

あいつは絶対そうじゃないし

えいく

男同士とか、きっと気持ち悪がられるに決まってんだ

えいくのお姉さん

ほんとにそう思う?

えいくのお姉さん

えいく寝てる間、はやと君ずっとそばにいたんだよ

えいくのお姉さん

朝まで、えいくのこと見守ってて

えいく

そ、そうなの?

えいくのお姉さん

うん

えいくのお姉さん

だからさ、バカなこと言わないで

えいくのお姉さん

気持ち抱え込むのは、えいくが一番つらいんだから

えいく

わっかた、わっかた

えいく

もういいだろ、朝からしんみりしすぎ(笑)

えいく

学校行ってくる!

えいくのお姉さん

はいはい (笑)

えいくのお姉さん

いってらっしゃーい!

えいくのお姉さん

バイバイ!

えいくが学校に歩いていると、後輩の生徒が道でえいくを止めた。

後輩

まって、先輩!

後輩

ちょ、ちょっと待ってください!

えいく

ん?どうした?

後輩

ずっと……ずっと憧れてました!中学のころから歌、聞いてます!好きです!これ、受け取ってください!

はやと

。。いや

はやとがキャンディを取る。

はやと

えいくは受け取れないよ

後輩

え?

えいく

え???

えいく

は、はやと?

はやとがえいくの手首をつかむ。

えいく

え、ちょ、なんで?

はやと

ついてこい

えいく

え、どこ

えいく

はやと??

はやと

いいから

はやと

走れ

えいく

え、ちょっと待って!

息を切らしながら二人、校舎の裏にある倉庫に入る

えいく

。。はやと、なんでこんなところに?

はやと

。。。

はやとが壁にえいくを押し付ける

えいく

?!

はやとがえいくにキスする

えいくも応える

えいく

/////

えいく

。。。はやと?

はやと

ごめん

えいく

え?

はやと

俺、なんでこんなことしたのか分からない

はやと

感情に飲まれただけだ

はやと

えいくとあの女の子が一緒にいるのを見て、なんか悔しくなった。。。

はやと

嫉妬しちゃったんだ

えいく

あ?。。。

はやと

ごめん

はやとはえいくを押しのけ、倉庫から走り去る

えいく

はやと。。。

えいく、一人で倉庫に残る

えいくの頭の中で、はやとの言葉がぐるぐる回る。

「ごめん。ごめん。ごめん。」

「ごめん」という言葉を聞くたびに、何よりも胸が痛んだ。

あのキスは、はやとにとってただの冗談だったのだろうか?

えいくには分からなかった。

放課後

キスのあと、えいくは一日中はやとを見かけなかった。えいくはどう考えればいいのか分からなかった。

あのキスは、ほとんど現実じゃないみたいに感じた。

はやと

--------!

えいく

はやと!!

はやと

?!

えいく

まって!!

えいくは走って、はやとの袖をつかんで止めた。

えいく

ちょっと待って

はやと

。。。

えいく

あの。。。

えいく

あの、俺のこと。。。好き?

はやと

。。。は?

はやと

俺たち男同士だし、好きなわけないだろ?

えいく

でも、キスは。。。いいの?

はやと

キスと恋愛感情は別物だ

えいく

好きじゃない相手にキスするの、平気なの?

はやと

じゃあ

はやと

そっちはどうなんだ?

えいく

え?

はやと

俺のこと好きなの?

はやと

友達だけって言ったじゃん?

はやと

そんなに嫌だった?

えいく

。。。

えいく

(。。。すき)

えいく

俺は。。。

れい

おい、はやと!いたんだ!一日中見かけなかったよ!

なおや

お、聞いたぞ

なおや

音楽部に入るって?

はやと

。。うん

てった

やった!やっとだね!

えいく

溜息。。。

えいく

(はやとがすき。。)

えいく

(でも恥ずかしくて言えなかった)

はやとの目がえいくの目と重なる

その震えるような笑みが、まるで今にも泣き出しそうにはやとの顔に浮かんだ。

けれど、代わりに、はやとは笑った。

そして、その状況がどれだけ切なくても、えいくはこれが「誰かを初めて好きになる気持ち」だと気づいたのだった。

著者

♥︎100 ありがとうございます!

著者

これからの展開お楽しみに!

著者

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著者

次回もお楽しみに!

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