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コメント
3件
なんか未成年みたいな感じの話でしたね めちゃくちゃ最高でした 最後の結末はどうなるのか楽しみです☺️
翌週
はやとはえいくをあからさまに無視した。
授業中でも、音楽部に一緒にいる時でも、はやとは一言も話しかけてこない。
そして、それは痛かった。
えいく
あの日、二人の間に起きたことは、そんなに悪いことだったのだろうか?
れい
なおや
てった
えいく
はやと
今だって、ふとした瞬間に目が合えば、はやとはすぐに視線を逸らす。
まるで、えいくの顔を見るのが耐えられないみたいに。
えいく
はやと
なおや
はやと
今日のはやとは、ほとんど死人みたいに見えた。
頬骨には青アザ、唇は切れて血が固まっていて、目の下は真っ黒にくまが広がっている。
それでも、笑顔を浮かべていた。
えいく
えいく
はやと
はやと
れい
てった
れい
なおや
はやと
えいく
はやと
てった
れい
なおや
てった
なおや
なおや
てった
なおや
なおや
てった
なおや
えいく
れい
なおや
てった
れい
30分後
れい
皆が帰ろうとする
えいく
えいくは必死に手を伸ばして、はやとの手をぎゅっとつかんで引き止めた。
はやと
えいく
えいく
えいくは慌ててはやとの手を放した。
えいく
えいく
はやと
はやと
えいく
はやとは視線を逸らす。
はやと
えいく
えいくが一歩近づく。
えいく
えいく
えいく
えいく
はやと
えいく
はやと
はやとの声が突然大きく、震え始める。
はやと
はやと
はやと
えいく
はやと
はやと
えいく
はやと
えいく
えいく
はやと
はやと
はやと
はやと
えいくの身体が固まった。
はやとが自分を「価値がない」と言うその声は、胸に刃を突き立てられるよりも痛かった。
えいく
えいく
えいく
はやとは理解できないような顔で見つめてきた。
その瞳がうるみ、今にも泣きそうになった瞬間、荒々しく目元を拭い、スマホを取り出す。
父のメッセージを目にした瞬間、はやとの顔に影が差した。
はやと
えいく
はやと
まただ。
またその「ごめん」だ。
えいくは泣きそうになったが、堪えた。
ただ、はやとが背を向けて去っていくのを見送るだけだった。
高尾の家
家は暗く、酒の臭いが充満している
はやとのお父さん
はやとのお父さん
はやとは答えなかった。
通り過ぎ、鞄を床に投げ捨てる。 父親が自分に気づかず、ただ缶ビールを開けてくれることを願いながら。
部屋の隅に置かれた古い家族写真を見ないようにする。 ふみやと母さんが写っているあの写真。
懐かしくて、見たら壊れそうだから。
はやと
はやとのお父さん
はやとのお父さん
ガシャーン!
瓶が頭をかすめて壁に叩きつけられ、砕け散った。
もう18歳なのに。 強くなったはずなのに。 でも心のどこかは、酔った父親から逃げてトイレに鍵をかけた小さい頃のままだった。
はやと
はやとのお父さん
はやと
その日、父親に殴られて意識を失う直前まで、はやとの頭にあったのは――えいくの言葉。
「はやとは特別だ」
父親にどれだけ「価値がない」 と言われても、 誰かは自分を大切に思ってくれている。
その誰かは、えいくだった。
はやと
はやと
暗闇の中で、はやとはその言葉を最後に覚えていた。
放課後
えいくはそれ以来、はやとにほとんど会っていなかった。
えいくの知る限り、はやとは学校に来ているはずなのに、先生に呼ばれたり、職員室で指導されたりして、ほとんど教室にはいない。
今、えいくはなおやとてったと一緒に家に帰っている途中だった。
てった
てった
なおや
なおや
えいく
てった
えいく
えいく
えいく
てった
てった
えいく
なおや
なおやが急に前を指差す。
なおや
なおや
なおやがえいくの肩を軽く突くと、遠くの光景がはっきり見えた。
はやとはまた体育の時のあの女の子と一緒にいる。
えいくは見ていられず、言葉も出なかった。胸がぎゅっと痛む。
モブ
モブ
モブ
はやと
モブ
はやとはその子の手を握り、引っ張りながら走っていく。でもえいくは目を離せなかった。
男と女がああいう風にいるのは、普通のことだろう? 恋愛って、そういうものじゃないのか?
なのに、どうして心がこんなに痛むのか。
えいく
えいく
なおや
えいく
えいく
てった
てった
えいく
てった
なおや
なおや
えいく
てった
えいく
てった
えいく
てった
えいく
てった
なおや
えいく
てった
なおや
えいく
えいくは足取り重く、二人についていった。
でも、頭の中ではまだ、はやととあの女の子の姿が浮かんでいた。
えいく
えいく
山下の家
次にえいくがはやとを見かけたのは、雨の日だった。
夕暮れ時、学校からの帰り道。傘をさして歩いていると、街灯の下にしゃがみ込む人影が目に入った。
濡れた髪、肩をすぼめて震える姿。まるで道端に捨てられた野良犬のように。
えいく
えいくは無言のまま傘をずらし、自分の肩を濡らしながら颯人の頭上に差し掛けた。
えいく
えいく
はやと
えいく
はやと
そう言いながら、颯人は永玖の傘を持っていない方の手を掴んだ。冷たい雨で震える手が、強く縋るように。
その瞬間、傘が地面に落ち、二人の肩に雨が打ちつける。
はやと
はやとの表情は、えいくの息を止めるほど悲痛だった。
はやと
えいく
えいく
はやと
えいくは背を向けるべきだった。見て見ぬふりをして、雨に濡れたはやとを置き去りにすべきだった。
なのにどうしてか、その場を離れられなかった。
指が自然に絡み、えいくははやとを立ち上がらせた。
無言のまま二人はえいくの家へ向かう。
山下の家
えいく
えいく
はやと
はやと
はやと
静かな沈黙が二人の間を埋め、えいくの心臓の鼓動だけがやけに大きく響いていた。
はやと
えいく
えいく
えいく
えいく
はやと
はやと
はやと
えいく
はやと
えいく
えいく
はやと
はやと
はやとは慌ててえいくの手首を掴む
はやと
えいく
えいく
はやと
はやと
えいく
えいくの手を取って、はやとは真っ直ぐに見つめてきた。
はやと
はやと
えいく
えいく
えいくは黙々と薬を塗った。 紫色の痣、裂けた唇。 ひとつひとつ丁寧に触れるたび、手が震えそうになる。
はやと
えいく
はやと
はやと
はやと
えいく
はやとは軟膏の瓶を渡し、指先がかすかに触れ合う。 えいくは心臓が少し早鐘を打つのを感じながら、そっと薬をはやとの唇の端に塗った。
えいくは息が詰まるように感じて、急いで冷蔵庫へ向かった。
えいく
えいく
はやと
えいくはツインアイスを裂いて、一つをはやとに渡す。
はやとは唇に当て、冷気を沁み込ませる。 えいくは自分のをかじったが、溶けた雫が手に垂れた。
えいく
その滴を、はやとの舌が舐め取った。
手首に唇が触れる。鼓動の上にキスを落とされ、えいくは息を呑む。 アイスが床に落ちた。
はやとの口づけは腕から肩へ、首筋へ。
えいく
やがて唇はえいくの口元に辿り着く。 えいくの手は無意識にはやとの濡れた髪に絡んでいた。
えいく
はやと
はやと
はやとはゆっくりと口づけた。必死でも衝動でもなく、えいくを大切に包み込むように。
えいくの胸が焼けるほど熱くなった。
その夜、二人は言葉を交わさずに並んでベッドに横たわった。
狭い布団の中、颯人の腕が永玖を強く抱きしめる。まるで手放すまいとするように。
暗い部屋の中で、ただ温もりだけが確かだった。
えいく
はやとはえいくの腰をぎゅっと抱きしめ、顔をえいくの首にうずめた。
はやと
はやと
えいくは頷くだけで答えた。
今夜だけは、生きていることに感謝した。 二人がここに一緒にいることに。
高尾の家
はやとは、自分が死ぬと思った。
深夜、父親から急いで帰れと電話があった。 えいくを置いて家に帰るしかない。送ったのは、ただ一通の謝罪のメッセージだけ。
家に着いた時には、父の吐く酒と怒りの匂いで空気が重かった。
はやと
父親は言葉もなく、瓶を振りかざす。その目は殺意に満ちていた。
はやと
はやと
はやとのお父さん
はやとのお父さん
はやとのお父さん
はやとのお父さん
そして、瓶がはやとの頭に叩きつけられ、床に叩きつけられた。ポケットの携帯も粉々に砕ける。血が散らばる。
はやとは、一瞬、自分が死んだと思った。
その時。。。
えいく
えいく
扉が開き、えいくが立っていた。夜更けに眠そうな目をこすりながら、オーバーサイズのシャツと体操服の短パン姿で。
はやと
はやと
はやと
えいく
はやとのお父さん
はやとは答えない。父親が再び蹴りを入れると、はやとは血を吐いた。
はやとのお父さん
はやとのお父さん
父親はえいくに迫る。えいくは震えながらも恐怖を隠そうとする。 だが、父親の拳がえいくを打ち倒す。
酔っぱらいの笑い声が響く。
その時、 はやとは足を引きずりながら前に出る。 手にした酒瓶を父親の頭に叩きつけた。 父親は床に倒れる。
はやと
はやと
えいく
えいく
えいくは手を差し伸べ、はやとはやっと地面を踏みしめるようにえいくの腕に体を預けた。
二人は言葉を交わさず、家の中に戻る。 床に座らせる。
はやと
えいく
はやとは瞬きをした。 えいくは目をそらす。
はやと
えいく
二度目は、えいくの声が強く、確かだった。
目が合う。はやとの瞳孔が少し開く。空気が重くなる。
父親はまだ動かない。
はやとは慌てて父の脈を確かめたが、鼓動は感じられなかった。
はやと
はやと
何かがはやとの中で壊れる。
はやと
はやと
はやと
はやと
えいく
そっとはやとの袖を掴む。指が震えている。
はやと
えいく
涙をこらえ、はやとの視線はえいくの口元、手、空へと彷徨う。逃げ道を探しているかのように。
そのまま、はやとはえいくを抱き寄せる。世界が崩れようと、二人だけの世界にするかのように。
しかし、それも長くは続かない。
はやと
えいく
はやと
はやと
はやと
はやと
涙が頬を伝う。えいくも止まらず泣く。
はやと
はやと
振り返るはやと。震える笑顔。 そして、走り去る。
えいく
えいく
どれだけ呼んでも、振り返らず、ただ走る。
その時、えいくは初めて悟った。 自分が人生のほとんどをかけて愛してきた少年を、永遠に失ったのだ、と。
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