めでたく冒険者になった俺たちは、
依頼を受ける為、再びギルドに訪れていた。
アルティマ
どの依頼を受けるの?

レイ
うーん…そうだなぁ…

レイ
せっかく飛び級でFになったんだし、討伐系の依頼がいいな。

アルティマ
そうね。私達一文無しだし、
報酬がいいのを選びましょ。

アルティマに換金してもらった俺のお金は、
半月経った頃には使い切っていた。
お金が尽きた後は
アルティマに頼りっぱなしで、
色々な物を創ってもらった。
レイ
(いつか恩返しする為にも、
稼いでおかないとな。)

アルティマ
これなんかどう?

アルティマ
近隣に現れるマモノの退治。
報酬は大銅貨7枚!

レイ
F級向けにしてはちょっとばかし報酬が良すぎるような…

シンシア
どの依頼を受けるか決まりましたか?

レイ
シンシアさん!こんにちは。

シンシア
こんにちは。
受ける依頼が決まったら、私か他の受付嬢に伝えてください!

アルティマ
これに決めたわ。

シンシア
これは…!?

レイ
どうかしたんですか?

シンシア
この依頼は少々…いえ、
かなり特殊なんです。

レイ
特殊?

シンシア
はい。ここではなんですので、奥の部屋で説明します。

アルティマ
それで、この依頼の何が特殊なの?

シンシア
この依頼主が住んでいる村は今、真下に光脈があるんです。

レイ
光脈って確か、魔素の川みたいなものでしたよね。

シンシア
その通りです。光脈の近くの土地は食物がよく育つので、そこに生息している動物や人間はその恩恵を強く受けます。

シンシア
しかし、光脈の魔素が滞留すれば、魔素が地上まで溢れ出して、モンスターが集まってくるデメリットもあります。

シンシア
この村は今まさに、魔素が湧き出ている状態なんです。

レイ
じゃあ、ダンジョン化する前に早く阻止しないといけないんじゃ…

シンシア
それがそうもいかないんです。
魔素に釣られてどんなモンスターが集まってくるか分からないので、ルーキーの方にはオススメできません。

アルティマ
なら、この依頼はなんでF級指定にしてあるの?

シンシア
依頼主が、そう指定しているんです……正直、ダンジョン化を阻止するのは難しいので、村長さんに頑張ってもらうしか…

レイ
(なるほどな。)

ダンジョン化するとなれば住民の避難は必須になるが、近くの街で村一つ分の人間を一気に受け入れるのは厳しい。
光脈の魔素が湧き出た状態でまだダンジョン化していないなら、冒険者を数十人集めて魔素を消費しまくれば解決するだろう。
だが、依頼を出しているからには、
ギルドに手数料を支払わなければならない。
報酬が危険度に見合っていないのは、村のことに手一杯で支払う余裕が無いからだろう。
レイ
(村長は何がなんでも村を守りたいってわけね。)

シンシア
とにかく、そういう訳なので、この依頼を受けるのは辞めておいた方がいいかと…

アルティマ
いいえ、受けるわ。この依頼。

シンシア
ええっ?!

アルティマ
いいわよね?レイ。

レイ
勿論。

シンシア
いくらなんでも二人で阻止するのは危険すぎます!

シンシア
魔素の滞留が落ち着くまで遅くて半年はかかるんですよ?!良くて一ヶ月です!

シンシア
お二人はまだF級ですし、魔力過多になっちゃいますよ!?

レイ
ま、なんとかなるだろ。

シンシア
ええ?!

アルティマ
平気よ。
私達に任せておきなさい!

シンシア
……そこまでいうなら、
分かりました。

シンシア
依頼主の住むルミエール村は王都から南に進んだところにあります。こちらが地図です。

シンシア
光脈から溢れ出した魔素は目に見えるので迷わないと思いますが、くれぐれもお気を付けて。

レイ
ありがとうシンシアさん。

レイ
必ず帰ってくるよ。
