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第1話 - あ

2023年10月16日

#恋愛

結城　真矢

タカヤ

あの、本当にすいませんでした...

タカヤ

今度からは、絶対にミスしないように気を付けます

タイシ

当たり前だろ

タイシ

ってか、お客さん同士のダブルブッキングするなんてそんな初歩的なミス...

タイシ

何したらそんなことが起きるんだ？

タイシ

言ってみろ

タカヤ

自分のスケジュール帳にもう１組のお客さんの名前を書くのを忘れていて...

タカヤ

今日の当日になって、気づきました

タイシ

当日になって気づいた、っていうのも、

タイシ

あっちから連絡が来てから気づいたことだろ

タイシ

それに、その電話を取ったのも俺だし...

タイシ

なんて言われたと思うよ？

タカヤ

えっと...なんですか？

タイシ

何ですか？ってお前な...

タイシ

「せっかく２人の予定を合わせてやっと内見に行けると思ったのに、

タイシ

お前らのせいでまた一から降り出しだよって言われたんだよ」

タイシ

新婚夫婦で、あっちはすげーキレてたし...

タイシ

大変だったんだからな

タカヤ

本当に、申し訳ございませんでした

タイシ

謝って済むことだったら、俺もなんとも思ってねーよ

タイシ

本当に、迷惑だったらありゃしねー

タイシ

お前のミスで俺の仕事がどれだけ増えてるか、分かってんのか？

タイシ

今度、また何かでミスしたら俺の評価だって下がる、ってこと...

タイシ

忘れるんじゃねーぞ

タカヤ

本当に、こんなこと２度と起きないように気を付けます

タイシ

気を付けます、ってそれ前にも同じようなこと言われた気がするんだけど？

タイシ

３日前、俺がせっかく仕上げた書類にコーヒーこぼしたこと、

タイシ

もう忘れたのかよ？

タカヤ

あの時は、俺ちゃんと一声かけたはずなんですが...

タイシ

は？何？

タイシ

聞いてなかった俺のせい、って言いたいわけ？

タイシ

お前、後輩の身分でよくそんなこと言えるよな

タカヤ

いや、でも本当のことですし...

タカヤ

それに、書類を作り直したのも結局、俺が全部やりましたよね？

タイシ

そう言うことじゃねーだろ！

タイシ

お前の不注意で起こったことなんだから、

タイシ

ミスをカバーするのは当たり前だろ

タカヤ

ですから、俺がミスしたんじゃないですよ

タイシ

もしも俺のミスだとしても、お前もその責任を感じてカバーするのが当たり前のことなんだよ

タカヤ

何すかそれ...

タカヤ

めちゃくちゃすぎますよ、いくら何でも

タイシ

じゃあ、俺なしでお前が今までやってきたミス、

タイシ

全部自分でカバーできたのかよ？

タカヤ

それは...たぶんできなかったと思います

タイシ

そうだろ

タイシ

じゃあ、文句たれてねーで、俺のミスのカバーするために残業でもすればいいんだよ

タイシ

いいか！？

タカヤ

分かりました

タイシ

それじゃあ、早速、来月の顧客リストのデータ入力、よろしくな

タカヤ

え？それって先輩の仕事ですよね？

タカヤ

そんなことまで俺がやる意味って、何ですか？

タイシ

今までお前のミスを俺がカバーしてたおかげで、

タイシ

俺の自由な時間が減ってきてるんだよ

タイシ

だから、そのお返しをすると思って、やってくれるよな？

タイシ

お前がやらなかったら、どうなるか分かってるよな？

タイシ

業務遅れたら、お前のミスだから

タカヤ

何でですか？

タカヤ

もともとは先輩の仕事なのに

タイシ

先輩の俺が後輩のお前に頼んだんだから、ここからはもうお前の仕事

タイシ

分かる？

タカヤ

いや、無理やりすぎますよ...

タイシ

とにかく、よろしくな

タイシ

俺は今日、合コンに行く約束があるから、それは断るわけには行かねーだろ

タカヤ

自分は遊びに行って、仕事放っぽるなんて...

タイシ

文句あるかよ？

タカヤ

いえ...

タイシ

じゃあ、今日中によろしくな

～翌日の昼頃～

タイシ

おーい、後輩

タカヤ

何ですか？

タイシ

お前、良い仕事してくれたじゃーん

タイシ

上司に、「データ入力早かったなって言われてさ」

タイシ

これで、俺の評価も上がるぜ！

タイシ

まじサンキュー

タカヤ

それは、よかったですね

タカヤ

それで、どうだったんですか？昨日の合コンは

タイシ

俺の同級生が、知り合いの看護師と合コン組んでくれてさ

タイシ

もう、みんなめちゃくちゃ可愛くて、行ってよかったわ～

タイシ

仕事してくれたお礼に、今度お前も連れて行ってやってもいいけど？

タイシ

あ、でもお前みたいな見た目じゃどうせ、女の子１人も寄ってこないか

タイシ

誘ったところでがっかりされるのは誘った俺だし、やっぱやめた（笑）

タカヤ

そんなこと、わざわざ言わなくてもいいですよ

タカヤ

それに、俺、今彼女欲しいとか一切思ってないので

タカヤ

気遣ってもらわなくて大丈夫ですよ

タイシ

またまた～そんなこと言ってさ～

タイシ

俺が羨ましいだけだろ

タイシ

妬ましいから適当にそんなこといってるだけだろ？

タカヤ

別に、妬ましいとも思ってないですし、単に興味がないだけです

タカヤ

なので、全然気にしなくて大丈夫なので

タイシ

強がっちゃって、可哀そうだな

タイシ

仕事できなければ、モテる気配もないし...

タイシ

何にも取り柄なんて、ないんだな～

タカヤ

誰かに取りえないとか、そんなこと言われても全然気にしないので

タカヤ

言いたければ、どうぞ勝手にしてください

タイシ

後輩のクセして、生意気な口きくようになったな

タイシ

まあ、そんなこと言ってられるのも今のうちじゃね？

タイシ

上司にデータ入力渡した時さ、言われたんだよ

タカヤ

何をですか？

タイシ

いつもミスの多い後輩の面倒見てくれてすまんな、って

タイシ

お前、どんだけ信頼されてないんだよ（笑）

タカヤ

そう言われるのも、まあ仕方ないことだと思います

タカヤ

ミスが多いのは俺のせいなので

タイシ

まあ、それもそうだな

タイシ

お前のせいだよな

タイシ

よく分かってきてるじゃん

タイシ

それで、今後のデータ入力もお前に頼もうかな～って思ったところだけど...

タイシ

今度は、自分でやるからいいよ

タイシ

さすがに、続けてだと上司にばれるかもしれないからさ

タカヤ

そうですか

タイシ

まあ、一仕事してくれてサンキューな

~３日後～

上司

話があるんだが、今少し時間良いか？

タイシ

はい。どうしましたか？

上司

昨日もらったデータ入力だが、全部間違ってるぞ

上司

どういうことだ？

タイシ

え？そんなはずはないですよ

タイシ

俺、ちゃんと昨年度の月のを見て、マニュアル通りに打ち込んだんですが...

上司

俺は、それとは変更して新しく後日渡すもので作成してくれ、と言ったはずだ

上司

そのデータも、君に渡しただろ

タイシ

え？そんなのアイツからもらってないですよ

タイシ

あっ...

上司

あいつ？あいつ、っていうのは？

上司

誰からもらっていないんだ？

タイシ

いや、えっと...もう一度見直しさせてください

上司

もう、その必要はない

上司

今ので十分、真実が分かったからね

タイシ

え？真実、ってどういうことですか？

上司

実は、この前、君がデータ入力を残業をして終わらせる、と言っていた日に、

上司

繁華街の居酒屋かで君を見た、という社員がいたそうなんだ

上司

ちゃんと、写真にも取って証拠もある

タイシ

えっ！写真なんて...

上司

気になって隣の個室に入ったみたいなんだが、結構大きな声で、

上司

残業は仕事ができない後輩に丸刃げしてきたから大丈夫、とか言ってたみたいじゃないか

タイシ

え？俺、そんなこと言ってましたっけ...？

上司

アルコールが入って、何を言っていたのかも覚えてないのか？

上司

じゃあ、これも覚えてないのかもしれないな

上司

俺の上司は仕事してるかどうかなんて、しっかり見てないから、

上司

合コン来てるなんて気づかねーよ、って言ってたらしいじゃないか

タイシ

いえいえ！

タイシ

そんなこと、俺が言うはずないじゃないですか！

上司

君を信頼していたつもりなんだが...非常に、残念で仕方がないよ

上司

平気でウソをつく人間に、新卒の教育を任せるべきじゃなかった

上司

彼が仕事が嫌になって辞める前に、僕が気づくことができて本当によかったよ

タイシ

彼、って言うのは...

上司

タカヤ君はミスは多いが、少しずつそれは減っていっている

上司

それは、君の教育の仕方が良いかもしれない、と思っていたけど、

上司

でも、本当は彼自身で成長していっているからなんだろう、と今思ったよ

上司

君みたいな仕事にレイジ―な人間の下で、働かせる彼が可哀そうえ仕方ない

上司

そう言うことで、今日から彼は他の社員に教育を任せる

タイシ

え！ちょっと待ってくださいよ！

タイシ

まだ、彼に教えてないことはありますし、

タイシ

それに何より初めての後輩ですし...まだまだこれから育てていきたいです！

上司

彼には仕事できる力はある

上司

先輩に押し付けられた仕事を黙ってやる人間だ

上司

それはきっと、君のためじゃなくて会社のために仕事をしてくれたんだと僕は思ってる

上司

そんな子を、これ以上理不尽な環境において起きた食わないんだよ

上司

そういうことで、君には教育係を降りてもらう

上司

代わりに、俺が負かせる業務をやってくれるだけでいいから

タイシ

あの！仕事をさぼってしまったこと、反省します

タイシ

なので、教育係、ぜひ続けさせてもらえませんか？

上司

何度も言っているが、君にはもう頼まないよ

上司

会議で君を昇進させることも決まったいたが、それも取り消しになる

タイシ

え！？俺、昇進できる予定だったんですか？

上司

ああ

上司

でも、当然のことだが取り消した

上司

仕事をまともにしなかったくせに、昇進させる会社がどこにあるんだ

上司

俺も、そんなに甘く見られていたんだな

タイシ

いえ！決してそんなことではなくて...

タイシ

俺、昇進するために仕事も頑張ってきましたし、

タイシ

残業も同期の中では一番、頑張ってきたと思うんです

タイシ

なので、お願いします！

タイシ

続けさせてもらえませんか？

上司

いや、もうチャンスはないよ

上司

上とも掛け合って決めたことだからね

上司

そういうことで、明日からよろしくね

タイシ

あの！ちょっと待ってください！

～５分後～

タカヤ

先輩、上司と何話していたんですか？

タイシ

お前、上司にチクったんだろ！

タイシ

上司は会社のやつが合コンしてるところを見た、って言ってたけど.

タイシ

本当はお前が上司に言ったんだろ？

タイシ

分かってんだよ！

タカヤ

いえ、俺は何も言ってないですよ？

タイシ

は？ウソつくんじゃねーよ

タイシ

お前がチクった、ってこと、もう分かってんだよ

タカヤ

俺は、普通に仕事してただけです

タカヤ

でも、先輩が俺に仕事を押し付けていたことは、会社内で少しずつ人待っているみたいですよ

タイシ

は？なんで？

タカヤ

今日、数人の先輩上司に言われたんですよ

タカヤ

「タイシ君にこき使われて色々大変だったねって」

タカヤ

そう言われて、先輩が居酒屋で飲んでいる写真も一緒にその時に見せられましたよ

タカヤ

なので、これから社内全体にどんどん広まっていくと思います

タイシ

嘘だろ...

タイシ

俺の今までの努力が

タカヤ

先輩、努力していたと思っていたんですね

タカヤ

あんなにパワハラしてたくせに...

タイシ

それは、本当に悪かった！

タイシ

なあ、お前からも上司に何か言ってくれないか？

タカヤ

言うとしたら...「この人の下ではもう仕事したくないですって言いますね」

タカヤ

それでは、僕は仕事に戻ります

～後日談～

タカヤ

その後、僕は今までミスしたことをなぜ起きたのか反省し、2度とミスをしないよう気をつけました

タカヤ

すると、仕事も順調に進んでいき、ミスを減らすことができたのです

タカヤ

一方、先輩は社内で「パワハラ番長とかいうあだ名をつけられ、」

タカヤ

毎日居づらくなったのか、気づいた時には退社していたようでした...

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結城　真矢

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