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夜食を食べ終え、自分の部屋に戻る僕。スマホのスケジュールのアプリを起動させる。こっちの世界は春夏秋冬と呼ばれるものがない。
なんていうか、元の世界でいう、春と夏の間みたいな感じが永遠と続くらしい。僕としては過ごしやすい気候なので悪いとは思わないが、やはりつまらない感じもする。
ベッドに横たわり、天井を見上げながらそう思っていた。そうしているとノックが3回。この丁寧なノックは妃菜だな。
妃菜
ドア越しに妃菜の声が聞こえる。しかし少し不思議だ。なぜ僕の部屋に来るのだろうか。
なにか秘密の話があるとか?いや、ないないそんなのありえるはずがない。
すぅーっとドアを開けるとやはり妃菜がいた。
僕
僕の問いには返事はなく。ただ…
と言う。少し俯いているところを見ると何か悪いことがあったのかもしれない。
妃菜
僕はベッドに腰を掛けて、妃菜には椅子に座るように促したが、僕の隣に座った。
僕
妃菜
と言ってマグカップを渡してきた。これは・・・。ああ、さっき買ったあのマグカップか。 僕はすぐに理解した。振り向きながらこう言った。
僕
僕の思考が停止した。その場の状況を理解するのに3秒位のはずだったが。とても長く感じた。
それもそのはずだ。妃菜がキスをいきなりしてくるなんて思いもしなかった。
え?え? ちょ、ちょっとこの展開って。僕は声を出そうとしたが、僕の口は妃菜の唇で覆われいる。
どうしようやばい。キスってしたことないから、こんな感じなのか。あれ?おかしいな。体が少し熱くなってきた。意識も少し朦朧としてきたし…。
そのまま僕はベッドの上で横になり、意識を失っていった・・・。
???
僕
???
僕は目を覚ました。そうか…。保健室…? ん?あれ?僕って異世界に飛んだんじゃ…。
記憶が曖昧で少し混乱している。 保健室ってことは僕は元の世界に戻ってこれたのだろうか。
???
だとするとここは軌瀧瀬(きたきせ)第一高等学校。僕の通っている学校ってことになるが…。
このうるさい女…じゃなくて。心配してくれている女子は漣 早希(さざなみ さき) 僕に文句ばっかり言うお嬢様気取りの女子だ。容姿端麗ではあるが性格が…。 その左には望月美帆がいた。
僕
美帆は目覚めた僕を確認するとすぐさま保健室から出て行ってしまった。というか僕はなぜここに戻って来れたのだろう。いまいちその理由もわかっていない。
早希
ふざけてそんなことを言う早希。僕たちはそういう関係じゃないし。状況確認のため僕は早希に質問する。
僕
そんな質問に不思議そうに首を傾げる早希。少しにやけながら。
早希
はぁ…。いちいちむかつく奴だ。別にいいよ。もう一生頼まないから。
それにしても、美帆はまだあの事について怒っているのだろうか。 そりゃそうだよな。僕はベッドから起き上がる。
僕
僕はすぐ行動に移す。なにやらお気に入りの場所ではないかとのことだったので、とりあえず屋上へ向かう。
屋上では美帆が僕に告白をしてくれた。思い出の場所…。おそらくここにいる。
スマホを見ると6時を回ろうとしていた。
僕
思わず声に出してしまった。こんな時間まで学校に残ってなにしてたんだよ。
脳をフル回転させながら屋上への階段を上る。扉を開くと美帆の後ろに太陽があり美帆の影が目の前に見える。
僕
息を切らしながら大声で僕は叫ぶ。 美帆は一瞬びくっとなってこちらに顔を向ける。
太陽の所為で顔がよくわからなかったが。少し震えているところを見ると泣いていたのかもしれない。
僕
僕
美帆
え?今なんて…? 風の音に混じって大事なところだけが聞こえなかった。
美帆は1歩ずつこちらへ歩み寄る。涙が頬を伝っているのが今度は、はっきり見えた。太陽に反射して涙が虹色に見えた。
美帆
美帆は少し上目遣いをしながら僕に問いかける。 もちろん僕は…
僕
美帆
そう言って美帆は僕の胸に顔を沈める。僕はふぅっと息を吐きながら、前を見た。目に入ってきた景色はとても綺麗で。
僕
指さす方向を見るように促すと。美帆はゆっくりとその方向を見た。
美帆
夕日が街へ沈んでいく。空にはもう星が輝きだしていて、それもまた綺麗だった。
僕
僕はそこからは何も言えなかったが、言いたいことが以心伝心したらしく、美帆は月にも負けないような輝きに満ちた笑顔で。
美帆
その日の夜は満月で。一段と綺麗に輝いている…。 待ってる…か。その言葉が頭の中でこだまして…
???
僕
???
なにか聞き覚えのあるような声が近くで聞こえる。
???
僕
肘鉄を食らった。もろに。起きるどころかまた、気絶するかと思った。
寝てる人間に対して肘鉄ってどうかしている。いつも通りの寝起きにしてみても最悪だった。
あれ?さっきまで学校の屋上にいたのにどうしてここに?美帆の姿はどこにもいない。
いるのは人一人分あけて横で寝ている妃菜。そして…。
香奈
僕
香奈
僕
僕
香奈
僕
うむぅ…。一体なにをしていたかあまり覚えていない。
確か、妃菜が僕の部屋に来てマグカップを渡しに来て…そして…。考えていると…。
香奈
僕
そのようにやり取りをしている傍らで、うぅ…。と妃菜は息苦しそうに寝ている。 うなされているのだろうか。
一体どんな夢を見ているのだろうか。 と思っていると。
妃菜
僕
妃菜が突然叫んだ。それと同時に目を覚ましたようだ。
僕
慌てて近寄る僕。冷たい汗をかいているのがわかる。
僕
妃菜
そう言いながら抱きついてきた。怖かった?なにが?そう聞く前に妃菜は口を開いた。
妃菜
妃菜
妃菜
僕
妃菜
そこからは重い空気だけがこの部屋を漂っている。妃菜は顔を隠してカタカタと震えながら泣いている。
長い夜が始まろうとしていた。