店員
大変申し訳ございません
店員
只今大変混みあっておりまして、
店員
空いてる席がソファの四人席になってしまうのですが…
そのまた一週間後。
少し早めに着いた私は店員さんに愛想良く微笑み、
仕方なく四人席の広いソファに座る事にした。
一人で此処に居るのは落ち着かない。
汐崎〇〇
( 太宰君、早く来ないかな )
彼が来る確証は無いのに、無意識にそう思っていた。
男性
お姉ちゃん一人?
汐崎〇〇
( ……げ )
男性
此処座っていいー?
男性
何で四人席なの?お連れさんいるの?
と、ぞろぞろと現れた男性三人組。
未だ何も云っていないのにペチャクチャと勝手に喋っている。
汐崎〇〇
いや、之から連れ来るので…
男性
やっぱ居るんだ〜、女の子?
男性
其れなら一緒にお茶しちゃおうよ
この手の男性は苦手だ。面倒臭い。
周りの店員や客も見て見ぬふり。
如何しようか……。
太宰治
ねえ ギュッ
汐崎〇〇
!
と、最近聞き慣れつつある声が耳元で聴こえる。
首に腕を回されて一瞬戸惑ったが、
ぐるぐる巻かれた包帯で不安は安堵に変わった。
太宰治
僕のお姉さんなのだけど
太宰君が普段より幾分か低い声でそう云うと、
男性達はそそくさと其の場から逃げ去った。
汐崎〇〇
ありがとう太宰君、助かったよ
汐崎〇〇
其れにしても男とはいえ子供に怯えるなんて、
汐崎〇〇
度胸の欠片も無い連中だったね
太宰治
……ムッスー
後ろから私を抱きしめていた体制から離れると、
思い切り眉間に皺を寄せて不機嫌そうな太宰君。
西洋菓子でも機嫌は治らず、
其の日は其の儘、太宰君が笑う事は無かった。