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羅生門河岸
遊郭の最下層で生まれた俺たち
子供なんて生きてるだけで
飯代がかかる迷惑千万
生まれてくる前に何度も
殺されそうになり
生まれてからも邪魔でしかなく
何度も殺られそうになり
それでも俺は生き延びた
枯れ枝のような弱いからだったが
必死に生きていた
虫けらボンクラのろまの腑抜け役立たず
醜い声や容貌を嘲られ汚いと言って
石を投げられたこの世にある罵詈雑言は
全て俺のために作られたようだった
俺は醜かったし汚かった
いつも垢まみれフケまみれ
蚤がついた酷い臭いで
美貌が全ての価値準備である遊郭では
殊更忌み嫌われた怪物のように
腹が減ったら鼠や虫を食っていた
遊び道具は客が忘れて帰った鎌だった
そんな中で俺の救いとなる奴がいた
そいつの名前は
星川○○
○○は俺みたいに食いたいものが
食えない奴らに色んなものを
食わせてくれた
そして
俺の中で何かが変わり始めたのは
梅が生まれてからだ
梅お前は俺の自慢だったなぁ
年端もいかない頃から大人が
たじろぐほど綺麗な顔していた
俺は自分が喧嘩に強いと気づいて
取り立ての仕事を始めた
誰もが俺を気味悪がって恐れた
気分が良かった
自分の醜さが誇らしくなり
お前のように美しい妹がいることは
俺の劣等感を突き飛ばしてくれた
これから俺たちの人生は良い方へ
加速して回っていくような気がした
13になるまでは
客の侍の目玉を簪で突いて
失明させたので
その報復として梅は練り上げられ
生きたまま焼かれた
俺はいなかった仕事から戻ったら
お前は丸焦げになっていた
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