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華
冬真
俺たちは一歩一歩噛みしめながら、ある場所へと向かっていた。彼女の手にはひまわりの花が抱き抱えられているが、なんだか切なく儚く風に揺られていた。
華
彼女の視線の先には、海がとても綺麗に見える丘が見えた。俺たちがよく遊んだ、場所。 そこは悠然としていて、波の音しか聞こえない。鳥の声も、人の声もしない。静かな静寂の中、俺たちはゆっくりと歩みをとめた。 そこには、真新しい墓石に花が添えられている。誰かが俺たちより先にどうやら来たみたいだ。
華
華は、ひまわりの花束をそっと墓石の前に静かに置いた。 今日は俺たちにとって大切な人の命日だ。 大切な弟のような存在で… でも、俺たちはいつの間にか話すこともなくなった。 俺はいつからか、あいつを避けては罵った。 罵ったまま…、あいつの気持ちすら気づくことができなかった。 あいつがどれだけ一生懸命華に寄り添って、傷つき苦しんできたこと…。 謝ることも、できないまま…。あいつは死んだ。 一輪のひまわりをぎゅっと握りしめたままの状態で発見された。 華にひまわりを渡そうとして事故にあったんだ。 死ぬ直前まで、一生懸命で。 華のことを気遣い… そして…華を愛していた。 なのに、俺はあいつを散々責め罵り、殴ったこともあった。 自分の情けなさ、憤りが一気に溢れ出し、涙がこぼれ落ちた。
冬真
華
華はそっと俺の背中に触れる。 じんわりと心地よい暖かさが、伝わってくる。一気に今まで誰にも話せなかった想いが涙となって溢れ出す。 息がつまりそうだ…
冬真
悠… お前は幸せだったか? 俺は…ずっと忘れない。お前の大事な華は必ず守る。お前の代わりに…守っていくから… 見ててくれよな…。それがせめてもの…俺にできることだから。