紫
赤
桃
青
橙
黄
俺たちに親はいない。
だから、誰かは親の役目に ならなければいけない。
そうなれば、自然と 長男、次男、三男は親のようになる。
俺は、たまたま三男に 生まれてしまった。
親と言っても、母親と父親に 分かれる。
長男の紫ーくんは母親の役目。
次男の赤は親、という感じではなく あくまで兄として弟たちに接している 気がする。
そして三男の俺は、いわゆる “父親”の役目。
余り物、ってやつ。
性格的にも父親っぽい部分が 強いのかもしれないが、正直きつい。
なぜなら、父親というのは時に “嫌われ役”になるからである。
紫
橙
黄
青
赤
母親代わりの紫ーくんの言うことを まるで聞かない弟たち。
ましてや赤の言うことなど 聞くはずもない。
紫ーくんや赤が怒らないことを 知っているからである。
そうなると大抵使われるのが...
紫
この一言。
いわゆる「お父さんに言うからね」 的なやつ。
橙
黄
青
この一言を使えば弟たちもこの通り。
俺が怒るのを知っているから。
俺だって怒りたくて 怒っているわけではない。
その一言を使われることで、本当に 怒ることを証明しなければ ならないのだ。
桃
弟たちが喧嘩しながら風呂に行く 様子を、無言で見つめる。
紫
紫
紫
紫ーくんは申し訳なさそうに 毎回謝ってくる。
桃
いつもそうやって返すけど、弟たちに 嫌われて大丈夫なわけがない。
でも、そんな気持ちは好かれている 紫ーくんや赤はきっとわからない。
そう思うと、余計に悲しくなる。
例えば、6人で買い物に出た時、 3つに分かれよう、となったとする。
紫ーくんとペア。
赤とペア。
俺とペア。
そうなると大体予想はつくと思うが、 俺とペアになりたがるやつはいない。
青
黄
橙
こうして兄ちゃんたちを奪い合う。
まるで俺はいないかのように。
大抵、紫ーくんが気を遣って
紫
紫
などと言ってくれるのだが、その時の 青の反応で俺は余計に 傷ついたりする。
大体、俺と青なんて二つくらいしか 変わらないのに、なぜこんなに 親のように頑張る必要があるのか、 時々わからなくなる。
“本当は嫌だけど桃にいといる”
そう思われている事実が辛い。
“紫にいになれてよかった”
“赤にいと一緒に行けて嬉しい”
俺じゃなかった時の安堵した 表情さえ、悲しくなる。
桃
もう...疲れたな...
“疲れたな”
そう思った日から、俺は上手く 笑えなくなった。
弟たちに対して愛情も湧かなくなり、 無気力な状態が続いた。
紫ーくんや赤は心配してくれるけど、 それに対して返事をする気力もない。
紫
優しくて温かい、紫ーくんの声。
前は大好きだった。
大好きだった...よな...
桃
桃
精一杯普段通りの声で返事をすると、 ゆっくりとドアが開いた。
紫
桃
桃
紫
悲しげに首を振る紫ーくんを見て、 少し心配になる。
桃
紫
紫
桃
突然泣き出した紫ーくんを見て、 困った俺は何もすることが できなかった。
紫
そんなこと...できない...
桃
紫
紫
紫
桃
紫ーくんたちの...せい...?
桃
紫
桃
紫
紫
桃
紫
紫
桃
やめて...それ以上言わないで...
もう考えたくない...
俺はもう...!
紫
桃
息がっ...吸えないっ...
紫
吐く...?
桃
桃
紫
紫
少し落ち着いた俺に、 深々と頭を下げる紫ーくん。
言いたいことは山ほどあるのに、 言葉にできない自分が情けない。
桃
紫
紫
紫
紫
紫
紫
紫
紫
桃
紫
桃
桃
桃
桃
桃
桃
紫
桃
紫
桃
桃
桃
桃
桃
桃
桃
桃
紫
桃
温かい。
久しぶりに、そう思った。
紫
紫
紫
紫
紫
桃
紫
紫
紫
紫
紫
紫
桃
桃
紫
桃
桃
桃
紫
桃
桃
桃
桃
桃
紫
紫
紫
桃
桃
桃
紫
桃
桃
紫
紫
紫
紫
桃
あの日以来、俺はもう 頑張ることをやめた。
弟たちに俺が怒ることも ほとんどなくなった。
そして...
青
青
桃
青
青
橙
黄
桃
青
兄弟らしいことも できるようになった。
好かれるって...
兄弟って...
桃
青
桃
赤
赤
赤
桃
ちゃんと弟もできてるかも...?笑
赤
桃
これからは、兄弟として。
コメント
4件
遅コメすいません でこぼこげーむぱーてぃで 「なんで遠距離攻撃ばっかなの?!ずるいー」 みたいな歌詞を聞いてる時に 「なんで遠距離攻撃ばっかなの?!」 が出てきて笑いました()
久しぶりにテラーで泣いた気がします😭フォロー&ブクマ失礼しますm(_ _)m
こりゃ泣いたわ(´;ω;`) フォロー失礼致します(((