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五条(学生時代)
美淋(幼少期)
車が止まったとき、エンジン音よりも先に、虫の声が耳に入った。 森の奥に潜むようにして、古びた建物が立っている。
五条(学生時代)
助手席のドアを開けながら、五条が軽く笑う。
美淋は何も言わず、車を降りた。 靴の裏で小石が転がる音だけが、やけに響いた。
美淋(幼少期)
夏油(学生時代)
夏油(学生時代)
後ろから夏油が笑う。 その声音にはどこか優しさと、皮肉が混ざっていた。
美淋(幼少期)
門の前で立ち止まり、美淋は深く息を吸った 木々の匂い。朝露の冷たさ。
すべてが現実のはずなのに、どこか夢の中にいるような感覚。
美淋(幼少期)
ふと、美淋は校舎の屋根の上に人影を見た。 白衣を着た少女が、空を見上げている。
五条(学生時代)
五条が小さく手を振ると、その人物――
家入硝子が、こちらに気づいて手を上げた。
家入
家入
五条(学生時代)
家入
五条(学生時代)
家入
硝子が小さくため息をつく。 その目は、呆れよりも――
少しだけ、優しかった。
家入
家入
美淋(幼少期)
五条(学生時代)
五条が軽く肩を叩いた
五条(学生時代)
美淋(幼少期)
五条(学生時代)
夏油(学生時代)
美淋(幼少期)
二人の掛け合いに、思わず小さく笑ってしまう。
五条(学生時代)
五条(学生時代)
美淋(幼少期)
笑うなんて、いつぶりだろう。 けれど、その瞬間――胸の奥に、ふと小さな痛みが走った。
“笑うこと”に罪悪感を覚えるほど、まだ心は癒えていないのだと知った。
美淋(幼少期)
五条(学生時代)
校舎の中は静かで、長い廊下を歩くたびに木の床が軋む。
五条(学生時代)
美淋(幼少期)
五条(学生時代)
五条の声が、やけに穏やかだった。
五条(学生時代)
美淋(幼少期)
美淋(幼少期)
それなら―― きっと、私の中にもある。
燃え尽きない憎しみ、壊れた心。 それがもし力になるのなら――
美淋(幼少期)
五条(学生時代)
五条(学生時代)
五条(学生時代)
美淋(幼少期)
夏油(学生時代)
五条(学生時代)
五条(学生時代)
美淋(幼少期)
家入
家入
五条(学生時代)
美淋(幼少期)
五条(学生時代)
五条が軽口を叩くと、美淋は思わず吹き出した。
廊下に響く笑い声。 その音を、硝子が少し離れた場所から見守っていた。
家入
夏油(学生時代)
呟きに、夏油が静かに頷く。
家入
家入
美淋(幼少期)
五条(学生時代)
夏油(学生時代)
――“今の”五条。 夏油は無言で窓の外を見た。 青空が広がっている。
青空が広がっている。けれど、 その澄んだ色が、妙に遠く見えた。
数週間後
訓練場の空気は、焦げた鉄の匂いで満ちていた。
呪霊討伐の帰り道、夏油は血の滲んだ指先を見下ろし、微笑む。
美淋(幼少期)
美淋が駆け寄ると、夏油は軽く手を振った。
夏油(学生時代)
美淋(幼少期)
でも、その冗談が心を救ってくれることを、美淋は知っていた。 夏油は時々、遠くを見ていた。 まるで、誰かの背中を追いかけるように。
美淋(幼少期)
美淋(幼少期)
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ある夜、五条と夏油は高専の屋上に並んで座っていた。 _星が滲むように光っている。
夏油(学生時代)
五条(学生時代)
夏油(学生時代)
五条(学生時代)
五条は少しの沈黙のあと、笑って言った。
五条(学生時代)
夏油(学生時代)
夏油はその言葉を噛み締めるように呟いた。
夏油(学生時代)
五条(学生時代)
夏油(学生時代)
五条(学生時代)
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夏油(学生時代)