TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

中也

ムス~…

ちゅ、中也くん…、如何したの??

横浜に建設されている武装病院のオフィスの中

医師のひとりである中島敦のデスクの下に、昔からこの病院で過ごしている中也が不貞腐れた様子で丸まっている

中也

太宰せんせーが…

だ、太宰先生が如何したの?

敦がどうしたのか聞くと、中也は殆ど専属医師である太宰の名を口に出す

中也

今日遊んでくれるって言ったのに…

中也

急用ができたからお預けって…

中也

愉しみにしてたのに…

どうやら不貞腐れている理由は、太宰と遊べなくなったかららしい

敦は察したような顔をしながら「あー…」と呟く

太宰先生は優秀だから、仕事にひっきりなしだからね…

ぼ、僕で良かったら相手するよ?

敦が中也の機嫌を直そうと話しかける

中也

…遊んで

いいよ、じゃぁ取り敢えず出ておいで??

中也

ん、分かった

中也は太宰であろうがなかろうが、遊んで欲しいようで

敦が相手をすると言うと嬉しそうに敦の足の間から顔を出す

中也くん、他の所から出ようよ

中也

めんどくさいんだもーん!

中也は身軽に間から飛び跳ね、オフィスに出る

中也

敦先生!はーやーく!

分かったから落ち着いて行動だよ中也くん

激しい行動したら太宰先生に叱られちゃうよ

中也

バレなきゃいいもーん!

中也は笑顔でそう言いながら走って廊下に出る

敦は慌てて後ろを追いかけていく

太宰に見つかっては怒られるでは済まないから

元気がいいね~♪

尾崎

いや…止めぬか…

愉快そうに2人を見詰める副院長の森と、心配そうに見詰める看護師の尾崎

森は太宰に見つかった時の敦の反応を

尾崎は太宰に見つかった時の中也のことを心配していた

ちょ、中也くん!太宰先生に何も言わないで外は流石にまずいよ!!

中也

ダイジョーブだよ!

中也

流石の太宰せんせーもこんな所にいるなんて思わないって!!

いや~…あ、あの太宰先生だよ??

中也は秘密基地!とでも言いたげな顔で病院の裏庭的な場所に敦を連れてきた

が、本来ならば太宰の許可無しで中也を外に出すのは禁止

敦の内心はドキドキバクバクだ

だが、中也はそんなのとは真逆でとても楽しそう

中也

敦先生、虫捕まえよー!

虫?どこに?

中也

木の上!いっぱいいるよ〜!

な、なんで知ってるの?

中也

こっそり登った!!

コラ!!

中也は好奇心旺盛でワンパクだ

でも躰が弱いせいでまともに外に出して貰えない

だからしょっちゅうこっそり抜け出しては木に登ったりと激しい運動などをする

医師も注意するが中也は悪戯っ子だ、あまり聞いてはくれない

駄目だよ、登るの禁止

中也

えー…

中也は拗ねた様子で頬を膨らませる

そんなことをしていると、2人の背後から誰かの足音が聞こえてきた

太宰

なーにしてるの2人とも?((ニコ

ぁ…((死

中也

あ…

誰が来たかと思えば、中也のほぼ専属医師の太宰だった

太宰は目が笑っていない笑顔で2人を見る

中也は「げっ」という顔を、敦は「死んだ…」という顔を

あ、あの…太宰先生、言い訳は通用しますか??

太宰

通用すると思うならどーぞ?

スミマセンデシタ…

太宰のおっとりとさてるが有無を言わせない圧に敦は見事完敗

中也はそーっと逃げ出そうとしている

太宰

中也、逃げないの

中也

いーやー!はーなーしーてーせーんーせー!

太宰は逃げ出そうとする中也を完全に捕まえる

中也は何とか逃げようとジタバタするが、到底叶わない

数秒して諦めたのか、抵抗を辞める

太宰

私の許可なく出てかないの

太宰

敦くんも、ちゃんと止めて

スミマセン…ハンセイシテマス…

太宰は少し強めに2人に注意する

敦は完全に懲りているが、中也は変わらず不機嫌そう

中也

せんせーが約束破るからいけないんだもーんだ

中也

俺悪くないもん

太宰

中也

中也

むぅ…

中也は言い訳をして逃れようとするが、太宰が怒り混じりの声で中也の名を呼ぶと、中也は瞳に少量の涙を舐めながら俯いた

太宰

私が約束を守れなかったのは事実だし申し訳ないよ

太宰

でも、私の許可無く外に出ないの

太宰

何かあってからでは遅いのだよ?

太宰は少ししゃがみ、中也の肩に軽く手を置いてそう促す

太宰の怒りは中也への心配と大事にしたい気持ちの表れだ

中也

別に…如何なったっていいよ…

中也

どうせ老い先短いんだ

中也はそっぽを向きながら、どこか儚げな顔でそう言う

中也

なら、沢山動ける今いっぱい動きたいんだもん…

中也

どうせはたちになる前に死ぬから!それまでに!色んなこと沢山──!

太宰

中也!

中也

ビクッ

中也が自分の人生を語ろうとすると、太宰は大きく声を荒らげる

中也も吃驚したのか肩を大きく跳ねらせ、未だ暑さが残る今、冷や汗を流す

太宰

私が必ず治してあげるから、そんなこと言わない

太宰

そう約束しただろう?

太宰は優しさと怒りが混じった声で中也に促す

中也

だっ…て…

中也

手術…も、検査も…全部…全部…

中也

すっごく…痛い、のに…

中也

どんだけ耐えても…耐えても…良くならないから…

中也

も…痛いの…やだもん…

中也は目から大粒の涙を幾つも流しながら言葉を発していく

中也が癌になったのは小学校に上がって直ぐ

だからおよそ8年間もの間、癌の痛みと手術と検査の痛みに幾度も耐えてきた

している側はなんの痛みも伴わずしているが、中也からしたらそれは唯の苦痛の時間

幾ら耐えぬこうと改善されぬ癌

それを8年続けてきたら生きるのを諦めたくもなるだろう

それでも太宰は中也に、生きる希望を、意味を持ってもらいたいのだ

太宰

…なら、明日は仕事をサボって中也の傍に一日中居てあげる

太宰

だから泣き止んで

太宰は太陽のように暖かな笑顔を見せながら、自身の指で中也の涙を拭う

中也

でも、せんせー…お仕事…

太宰

医院長にお願いしてサボらせてもらうよ

太宰

絶対遊んであげるから、今日は病室に戻ろう?

笑顔で太宰はそう言う

中也

約束ね…?

太宰

うん、約束だ

太宰は自身の小指と中也の小指を交じ合わせる

太宰

じゃ、戻るよ

中也

せんせー抱っこ、疲れたぁ

太宰

じゃぁなんで走ったのさぁ…

中也

だって最近走ってなかったから走りたかったんだもーん!!!

太宰

全く…

中也は走ったりなどの運動が好きだ

それでも体力が育っていないため、直ぐに息切れをしてしまう

今回はオフィスからここまでずっと走っているから、相当体力を消費している

今も息切れを沢山したい程辛いであろうが、それを顔などに出さないのが中也だ

太宰は呆れたような笑みを浮かべながら、軽々と中也を抱っこする

太宰

中也又軽くなったー?ちゃんと食べてる?

中也

だって病院の御飯飽きたんだもん

中也

たまには甘いケーキとか色々食べたい!!

8年間ほぼ毎日病院食を食べている中也からしたら、もう飽き飽きしているのだろう

それでも体重減少も、栄養を取らないのも良くは無い

太宰からしたら食べて欲しいのだ

太宰

ちゃんと食べないなら明日の約束無しにするよ

中也

えっ!?い、いや!今日のお昼と夜はちゃんと食べるから!!遊んでよ!!!!!

太宰がそう言うと、中也は慌てた様子になる

遊んで貰えなくなるのが相当嫌なのだろう

太宰

ん、いい子

中也

えへ~

太宰が中也の頭を優しく撫でると、中也はとても嬉しそうに笑う

無邪気な子供だ

太宰

あ、そうだ敦くん

は、はい…

急に何かを思い出したかのように、太宰は敦に声をかける

敦は大体の予想が着いているのか、身構えている

太宰

ニコッ

ハイ…スミマセンデシタ…モウシマセンカラ…((泣

太宰は何も喋らず、笑顔を敦に見せる

敦は有無を言わせない笑顔で察したのだろう、半泣きで謝った

毎回被害者役には敦が選ばれているのだから、報われないものなのだ────

中島敦/20歳/医者 誕生日/5月5日 性格/優しい/努力家/押しに弱い/真面目 好/茶漬け/猫/カメレオン/横浜/患者さん 嫌/酷い人/犯罪 設定/太宰が居ない時などはよく中也の遊び相手をする。 敦も敦で、良く面倒をみる患者がいる。 優しい性格から子供に人気の高く、小児科によく顔を出す。

尾崎紅葉/26歳/看護師 誕生日/1月10日 性格/世話焼き/一途/真面目/綺麗好き 好/中也/金プラ/漬物 嫌/泣き顔/絶望 設定/5年前から中也専属の看護師になった。 太宰が居ない時は中也の監視役みたいなものを任される。 敦同様子供に人気な美人看護師として有名。

森鷗外/40歳/副院長 誕生日/2月17日 性格/完璧主義者/生真面目/怒ると怖い 好/医学/饅頭茶漬け/子供 嫌/汚いもの/なまもの/病 設定/武装病院の副院長をしている。 医院長とは喧嘩するほど仲がいいと言った感じで、昔からの知り合い。 子供が好きらしく小児科で度々目撃されている。

♡350

loading

この作品はいかがでしたか?

1,030

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚