透明ヒーロー

ｶﾞﾁｬｯ

自分を落ち着かせるために息をつく

母は、

もっと明るい人だった

私が

人殺しと呼ばれる前は

私が人殺しだと言う噂は

瞬く間に広がった

母さんもそれに巻き込まれて

きっと会社では散々いじめられたのだろう

全部

私のせいだ

でもそれでも母さんは

私は人殺しじゃないと言ってくれた

こっちに来てからも結構落ち着いたけど

たまにこうしてただただ

ﾎﾞｯｰとしているのは

きっとあの時の事があったからだ

母さんは酷く傷ついた顔をしながら

笑って

この海を漂う親友を

私は1度だって忘れたことは無い

こう言い聞かせることで

誰になんと言われても耐えていける

私が動揺するのも横目に

そいつは思うろに手を伸ばしてくる

そう言いかけた時

ｶﾞﾝｯ!!!

その時

目の前にいるそいつと目が合った

その真っ黒で

悲しい闇に包まれた瞳は

どこか親友と重なって見えた

そいつは何かを吹きかけたハンカチを

私の口と鼻に押付けた

𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝