kn
ぉーい

kn
スマイルー?

kn
あれ、スマイルがいない

sm
やっと着いたか

kn
いるじゃん

sm
あぁ

ドアからぴょこっと顔を出す
スマイルの頬をつついてみる
sm
なん…?

sm
なんだお前?

kn
元気づけようと思って

sm
…はよ部屋入れ

kn
お前が中々部屋に
入れてくれないんだろうが

sm
…しーっ

sm
…静かに

kn
…

理不尽…
俺…これ怒ってもいいよな
と思ったが我慢する
sm
いくぞ

br
スー…スーッ…

kn
静かに…寝てるな…

sm
ぁあ…

ぶるーく君に近づく度
スマイルが不安げな顔を浮かべる
具合も悪そうだ
kn
…今のところ何も
問題はなさそうだな

sm
ハッ…そうか、よかった

kn
お前…やっぱり
さっきからおかしいぞ

sm
そりゃそうだろ

kn
その気持ちは分かる

kn
でも、それでも
お前の、ぶるーく君への
激重感情を踏まえても

kn
お前の動きがさっきから
明らかにおかしい

sm
そんなわけねぇだろ

sm
ただ…疲れただけだよ…

kn
もしかして、やったな?

sm
…

sm
やったって…何が?

kn
しらばっくれてんじゃ
ねぇよ

kn
俺はお前を心配して
言ってるの

kn
分かる?

kn
自分の命と研究対象達の命
天秤にかけた時

kn
何があっても
生き残るために自分を
優先するって…決めたよな

kn
情に流されたのか?
お前らしくないな

sm
それでも、
俺は後悔していない

kn
ッそれは!!

kn
ただただ
思考を放棄しただけだ!!

胸ぐらを掴み、思いっきり床に叩きつけた
スマイルがとても驚いた顔をした
kn
…自殺行為を正当化するな

kn
あの子はお前のことを
1度裏切った

kn
忘れたか?
そうだな

kn
お前は忘れてただろうけど
俺は憶えてるね

kn
あの3人は!
俺らを置いて!!
のうのうと…!

sm
そんな言い方はないだろ、

sm
この子たちも
精一杯生きてたんだぞ

sm
俺たちだって逆の立場で
みんなを救えたかって
そんなの分かんないだろ

kn
違うね

kn
お前はもう1つ、
忘れてることがある

sm
何を言ってる?
俺は全部思い出した

sm
俺は、何も間違ってない

sm
だから、
ぶるーくに近づくな

kn
…お前がここに
呼んだんじゃないか、
俺のことを

スマイルと口論しているうちに
何となく無意識に
ぶるーくに近づいていた
もしかして、この距離なら…
kn
そんなに守りたいか?
お前にとってこの子が…
そんなに大事だと…

寝ているぶるーくの頬を撫でる
いっそ、もう、殺してしまおうか
この子はスマイルの足枷にしかなりえない
kn
最初からこの子をここに
戻すこと自体間違ってた

kn
勝手に外で暴れて研究所を
崩壊させてくれれば
良かったのに

sm
そんな簡単に行くわけ
ないだろ

kn
それが、
簡単にできるんだよ

kn
この子たちの力なら、
可能だったのに…

kn
それが、
お前の忘れてる記憶だよ

sm
きんとき

sm
こういう話がしたくて
お前を呼んだんじゃない

kn
うるせぇな
分かってるよ

sm
俺は今後どうすればいいか
助言をくれ

kn
なんで自分から
死ぬかもしれない選択肢を
選ぶの?

kn
まじで…
仲間のことを
なんだと思って…

kn
もうちょっと早く…
俺らに頼れなかったのかよ…

sm
頼ったとして、
何かできたのか?

kn
お前がこの子を優先させる
っていう選択肢さえ
選ばなければ、

kn
どうとでもできたんだ

kn
…ばか

kn
ごめんな

kn
俺は薄情者でいたかった

kn
でもそうじゃないらしい

kn
お前のことを
割り切れないよ…

sm
俺の方こそ、ごめん

sm
お前らと約束したのにな

sm
また一からやり直しだ

kn
上層部からは少しぐらい
温情をかけてもらえる
だろうから…

kn
俺らのとこまで、
早く来いよ

sm
あぁ…分かってる

sm
すぐ、また一緒になるから…

sm
迷惑かけたな、ありがとう

sm
また仲良くなってくれると
嬉しい

kn
当たり前だろ、
なめんな友情パワー

sm
ははっ…なんだそれ…

sm
ぶるーくのこと、
よろしく頼んだ…

kn
…

kn
…スマイル

kn
最期に言う言葉がそれかよ…

kn
友達不孝だよ本当にお前は

kn
…さぁ、再起動しに行くか

バタン と
扉が閉まる音が聞こえ、
1人の研究員は1人の友を背負って
部屋を後にした