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次の日の放課後。 〇〇は図書室で本を返し、校門に向かっていた。夕方の空はほんのり赤く染まりはじめている。
〇〇
そう思った瞬間——
渡辺翔太
背後から名前を呼ばれて、心底嫌そうに振り返る。 いたのは、やっぱり渡辺翔太。
〇〇
渡辺翔太
〇〇
渡辺翔太
〇〇
強引に手首をつかまれる。
〇〇
渡辺翔太
顔を覗き込んでくる瞳が近い。 あの、まっすぐで、どこかいたずらっぽくて、でも本気みたいな目。
〇〇
〇〇は小さくため息をついた。
〇〇
渡辺翔太
連れてこられたのは、駅近くの小さなカフェ。 まさかヤンキーがこんなとこに来るとは思わなかった。
渡辺翔太
〇〇
渡辺翔太
〇〇
そう言いつつ、目の前に置かれたプリンの見た目はたしかにおいしそうだった。 〇〇がスプーンをそっと差し入れたのを見て、渡辺はにやりと笑った。
〇〇
渡辺翔太
〇〇
渡辺はしばらく黙って、天井を見上げたあと——
渡辺翔太
〇〇
渡辺翔太
〇〇
渡辺翔太
不意に言われたその言葉に、〇〇は動けなくなった。
〇〇
その時、渡辺が小さく笑って、ポケットから何かを取り出した。
渡辺翔太
手渡されたのは、小さな缶バッジ。
渡辺翔太
〇〇
缶バッジは、〇〇がこっそり集めてるマイナーなアニメのグッズだった。 誰にも見せたことない、大事にしてたもの。
渡辺翔太
〇〇
渡辺翔太
顔が、熱くなる。 ——見られてた。 あんなの、自分の“子どもっぽい一面”だと思って、誰にも知られたくなかったのに。
渡辺翔太
そう言って、ニッと笑う渡辺。
その無邪気さに、〇〇の胸がまた、ドキッと跳ねた。
〇〇
たったそれだけで、目を合わせられなくなる。
〇〇
小さく呟くと、渡辺がクッと笑った。
渡辺翔太
その夜、〇〇は胸の奥がふわっと熱くなるのを感じながら、 拾ってもらった缶バッジをそっと握りしめた。