片想いでも恋だと思いたかった

9月4日にオリエンテーションを受け、さくらはバイトを始めてからの日々が目まぐるしく過ぎて行った。 そうこうしているうちに後期の授業が始まり、悠哉とはシフトの入りと上がりで入れ違ったりするくらいでなかなか一緒にシフトに入る機会がなかったが、ある日連絡が来た。

さくらはそこで初めて同じ場所で働く学生に会うことになった。

26日にさくらが駅に向かうと悠哉と女子が1人待っていた。

悠哉がさくらの呼びかけに応えると、隣にいた女子が話しかけた。

さくらも背は低い方だが、三浦はさらに低い。顔も声も「かわいい」を体現していて思わず見惚れてしまいそうだった。

三浦が悠哉そっちのけでさくらに話しかけて、さくらは三浦のかわいさに圧倒されて悠哉が1人で待っている感じになってしまったことにはさくらはあとで気づいた。

悠哉の視線の先をさくらが追うと二人男子がいた。

そして5人は居酒屋へ入った。

居酒屋で三浦の隣にさくらは座り、三浦の向かいに高野、その隣に悠哉、湯川が座った。

悠哉がタッチパネルを操作して飲み物を注文する画面を開いた。

悠哉がタッチパネルを閉じると高野が言った。

さくらと悠哉は目をあわせて頷き合うと飲み物が来た。

湯川がタッチパネルを操作して聞いた。

だし巻き卵、アボカドサラダ、ポテトサラダ、唐揚げ、焼き鳥の盛り合わせなどを頼んで料理が来るのを待つことにした。

湯川がツッコミその場が笑いに包まれた。

そうして和やかに時間は過ぎていった。

そして悠哉が四杯目に焼酎を頼んだ時に高野が言った。

さくらは悠哉からお猪口を受け取り、口に入れた。確かに香りはフルーティーだがアルコール特有の熱い感覚が喉を通り、机に突っ伏した。

さくらは体を起こし少し照れ臭そうに笑った。すると高野が言った。

もう何度したかわからない説明を繰り返した。

さくらが疑問符を頭の中に思い浮かべているとそれに気づいたように三浦がさくらに言った。

しばらくすると真島が来て三浦の隣に座った。

真島が生を飲みながら話を聞いているのを見て本当に同い年なのだとさくらは納得した。

そんな風に学生5人と1人の準社員の同世代の飲み会は和やかに時間が過ぎていった。

いつものようにさくらと悠哉は二人になって帰り道を歩いていた。

二人はさくらのスマホで予定表を見ながらいつ入っているかを一緒に見ていた。

二人は手を振り合って、それぞれ帰路についた。