数時間前.
M
ページをペラペラと捲る.
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M
借りたはいいものの あまり結びつかない ?
いや、彼がこの後どう行動するかだな.
S
向井に"いつの間にか"渡していた本を 返してもらった.
S
S
ページを捲ると、文字がビッシリ.
S
ジッと1文を見ても全然理解ができない.
人格… ? 認識がうんたらかんたら…
S
というか、俺が買ったのか ? この本.
S
解離性同一性障害 所謂、多重人格.
切り離した感情や記憶が成長して別の人格となること.
S
S
一瞬、脳みそに刺激が走る.
痛い. 止まらない.
S
「や…やめて……ッ」
障子の破けた暗い和室.
畳の剥がれたボロい床.
月明かりのない真っ暗な空.
ジメジメとした空気.
大男と小柄な女が何かを囲んでいる.
少年だ.
少年はうずくまって倒れている.
S
俺は1人、部屋の隅に立ち尽くす.
「おい、アレ持ってこい」
男が女に指図する.
女は手に何かを持って戻ってくる.
男はそれを受け取って.
スポンッ !
蓋が抜けて空気が入り込む音.
シュワっと白い泡が溢れる.
男はそれを手に取り.
「オラ、餓鬼 ケツ出せ」
S
ズブッ !!!
「あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"ッ !!!!! 」
男は少年の股を足で広げ、 無理矢理中に瓶を押し込んだ.
S
瞬間、俺の尻に激痛が走る.
S
S
「痛いッ ! 痛いよ父さんッ !! 」
「五月蝿いねッ ! この餓鬼は !! 」
女が少年の背中を踏みつける.
「や、止めてよッ 母さんッ !! 」
S
S
俺は咄嗟に部屋を逃げ出してしまった.
S
蘇る.
あの時のことを.
思い出したくなかった.
見たくなかった.
知りたくなかった.
アレは…俺だ.
俺の過去だ.
S
だいぶ走っただろうか.
足が痛い.
S
S
1人、誰も居ない交差点の真ん中に立つ.
ただ信号だけが動いて、車も人も通らない.
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S
S
俺は 養子 だ.
生まれて間もない頃 俺は両親に捨てられた.
何も知らない赤ん坊のまま捨てられて.
気づけばある夫婦に拾われた.
さっきの、大男と小柄な女に.
あの夫婦には子供が出来なかったらしい.
だから俺は運良く拾って貰えた.
そこで6歳くらいまでは普通に育てられて自由に成長していった.
その後ぐらいからかな.
物心がつき始めた頃、俺の生活は一変した.
元々病弱だったお袋は、 精神がおかしくなり性格が狂い始めて.
親父も同じくらいの時期に 働いていた会社が倒産して、ストレスで 酒に溺れるようになり暴力を振るうようになった.
最初はお袋に暴力を振っていたな.
それが段々と俺に.
とにかく毎日虐待三昧.
ケツにビール瓶は詰め込まれるわ. タバコの灰皿に顔を擦り付けられるわ.
とにかく毎日が辛かった.
寂しがり屋な俺に毎晩本を読んでくれた 優しいお袋はどこにいった ?
休日は必ず俺を外に連れ出して、遊びに 連れて行ってくれた親父はどこにいった ?
S
今でも残っている痕がある.
幸い、向井は気づいていないようだけど.
向井にも話さなきゃな.
俺とお前の"関係"を.
コメント
8件
続き出来たら教えて欲しいです!
初コメ失礼! 前から見てたんですが最高です!
最高過ぎる、佐野君と向井君の関係性が気になる、