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コメント
3件
今回もとっても面白かったです!潔視点だと、「どうしたらいいか分からないけど助ける」って感じの苦しい話だけど、こっちは「どうしたらいいかはわかってるのに助けられない」っていう感じで、とっても雰囲気が変わりますね!
覚えてる。
あの日のこと。
忘れたくても、忘れられない。
夕焼けだった。
オレンジ色に染まった帰り道。
くだらない話して、笑って。
bcr
隣にいた。
それが当たり前で、ずっと続くと思ってた。
__そのはずだったんだ。
音がした。
空が、ひび割れる音。
isg
潔が立ち止まる。
俺も、つられて見上げる。
黒い歪み。
見たこともない“何か”。
bcr
笑いながら言ったけど。
内心は、ちょっとだけゾワッとしてた。
そして次の瞬間。
それが“落ちてきた”。
その瞬間。視界が、ぐちゃぐちゃになる。
何が起きたか分からない。
でも。
bcr
息が、できない。
体が、動かない。
ああ、これ。
やばいやつだ。
ぼんやりと、理解する。
冗談抜きで、死ぬかも。
bcr
声が出た。
潔を呼べば、なんとかなる気がした。
いつもそうだったから。
困ったら、“隣にいるやつ”がなんとかしてくれる。
bcr
小さく、呟く。
視界の端で、潔が動く。
前に出る。
ああ、やっぱり。
きてくれる。
助けてくれる。
__でも。
その顔が、少しだけ違った。
isg
必死で。目に涙が溜まってる。
でも、どこか“決めてる”顔。
そしてどこかから声がした。
聞こえたのは、俺じゃない。
潔の方。
isg
迷いのない声。
その瞬間。
光。
熱。
何かが、変わる。
そして。
黒が、消えた。
助かった。
生きてる。
それだけで、十分なはずなのに。
bcr
起き上がる。
隣を見る。
いる。
ちゃんといる。
bcr
そう言おうとして。
止まってしまう。
bcr
目が、合う。
知らない顔。
いや、違う。
顔は同じ。
でも。
“知らない”。
isg
いつもの優しい声。
でも。
俺の名前を呼んでくれない。
bcr
理解する。いや、理解させられる。
ああ。
そういうことか。
助けた代わりに。
忘れたんだ。
俺のこと全部。
bcr
笑いそうになる。
いや、笑えない。
でも。
きっと泣くのも、違うんだと思う。
bcr
口が、勝手に動く。
作った笑顔。
isg
返ってくる言葉。
初めて会ったみたいな顔。
__ああ。
もう。
あの潔じゃないんだ。
でも。
bcr
小さく呟く。
自分にしか聞こえないくらいの声で。
その時。
声がした。
頭の奥。
直接、響く。
俺の“かいぶつ”の声
甘ったるい言葉。完全な誘惑。
それだけで、十分だった。
bcr
即答。
全く迷いなんて、なかった。
だって。
離れたくなんてないから。
忘れられても。
それでも。
bcr
bcr
bcr
その瞬間。
何かが、変わる。
感覚が、少しだけ鈍る。
でも。
そんなの正直どうでもよかった。
bcr
名前を呼ぶ。
isg
不思議そうな顔。
bcr
笑う。
嘘じゃない。
けど。
全部は、言わない。
言ってやらない。
isg
差し出された手。
bcr
それを、取る。
温かい。
でも。
どこか、遠い。
__それでもいい。
今はまだ。
“覚えてるのは”、俺だけでいい。