この作品はいかがでしたか?
33
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おらふside
もし、君に会いに逝くとするならば。
いろいろ、したいことがあるな。
まずは、ドズさん、めん、ぼんさんへの
遺書、みたいなのを書かないとかな。
そう思いつつ、時計をちらりと見る。
ー4時37分
おらふくん
おらふくん
おらふくん
ぽつりと
口から言葉が出る。
思考は上の空。
でもずっと作業をしている手は
作業を終え
えんぴつを置く。
その時を今か今かと待ち望む。
たった昨日のこと。
されど、もう昨日のこと。
君がいないのは耐えられない。
こんな弱虫な僕で。
こんな自分勝手な僕で。
ーごめんね。
ーみんな。
ーごめんね。
”おんりー”
...
...
ー4時59分。
1分前。
君は昨日、同じ時間。
この場所で。
窓を覗いてみる。
青いブルーシート。
ちらりと覗く、君のシミが目印。
窓のフチに足を載せる。
冷たいな。
君に会えると思うと全然怖くないし
嬉しい。
ふふっ、
思わず笑みがもれる。
ー5時。
ばいばい、皆。
君と同じ、最期は微笑んで。
手を広げ体重を後ろに載せる。
風が気持ちいいな。
ふと、目をあける。
君が最期に見た景色。
綺麗。
落下するのは早いはずなのに。
時の流れが遅く感じる。
思い出される君との日々。
走馬灯ってやつなのかな?
でも、どうでもいいや。ただ、
”君に会える”
それだけで。
ーーー
ーー
ぐちゃ。
ぼんside
そうと決めれば
やることはただ1つ。
でも、その前に。
せめて、皆の顔を1目みたいな。
そう小さい我儘は言ってもいいよね。
ーーー
ーー
ドズさんは疲れ果ててリビングで
気絶するように寝ていた。
メンは部屋のベッドにさえいたけれど。
俺は見逃さなかった。
ベッドにこぼれるシミ。
その閉じた目から溢れ出すものを。
ドズさんも。メンも。
ごめんね。
でも、もう決めちゃったんだ。
ーーー
ーキィ。
おらふくんの部屋のドアを静かに開ける。
そこで俺は異変に気づく。
おらふくんがいない。
部屋を見渡した時。
俺は見つけた。
不自然に置かれた机の上の紙を
ーーーーーーーー
ーーーーーーー
おらふくん)ごめんねみんな。ばいばい。
おらふくん)ドズルさん、MEN、ぼんさん。
おらふくん)僕は一足先に
おらふくん)おんりーと一緒に
おらふくん)待っとくよ。
ーーー
ぼんさん)ごめん、ドズルさん、MEN。
ぼんさん)俺も、耐えられなかった。
ぼんさん)後は頼んだ!
ーーふぅ。
はは、おらふくん
そうか。俺と同じだったのか。
誰よりもずっとおんりーと一緒にいて。
ずっと隣にいたね。
窓から下を覗く。
風で飛ばされたのだろうか。ブルーシートが無くなっていた。
おんりーのモノであるはずの
赤いシミ。
それを上塗りしていくおらふくんのーーーーーーー。
”おんりー”は回収されてしまったけれど。
おらふくんはそこに居たし
何よりーー
幸せそうだった。
いいな。俺もそろそろ
ーーーーー
ーー
”ばいばい”、皆
ーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーーー
ーー
ー
ぐちゃ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
道路に転がる2つの骸。
顔に飛び散る赤い涙。
つつー、と頬を滴る
辺りに咲き乱れる赤い花。
白い髪を赤く染めていく。
その紫の睫毛を濡らしていく。
季節外れの雪が降る。
まるで2人を隠すように。
いや......そこにある
”幸せ”
を
永遠にそのままにできるように。
白い雪が赤く染まり
2人の体に舞い落ちる。
その体からは生力は微塵も感じないけれど
”綺麗”だった。
コメント
2件
初コメ失礼します、ガチ泣きしてしまいましました、テラーノーベルで初めて泣いてしまいました。こんな神作を作ってくれてここから感謝しています。
やめて、やめてくれみんな、、、、