テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

一覧ページ

LINE１３５７

第1話 - あ

2023年11月27日

#スカッと

タナカトシキ

サチコ

ハナ

サチコ

今日のピアノの演奏の時のことだけど...

ハナ

ごめん、失敗して

ハナ

もう少し、練習するべきだったよね

サチコ

分かってるなら、いいけどさ

サチコ

あのね、子供たちが混乱するだけじゃなくて、親御さんからも信頼を失うんだよ

サチコ

そのこと、よく分かってるの？

ハナ

うん、分かってる

ハナ

ほんとに、ごめんね

サチコ

もう、いい加減にしてよ

サチコ

大事なところでメロディーが飛んじゃって手が止まること、初めてじゃないよね？

ハナ

なんか、見られてる、って意識すると...緊張しちゃうんだよね

サチコ

見られてる、っていったって...相手は園児だよ？

サチコ

子供じゃん

サチコ

なんでそんな子供相手に緊張すんの？

サチコ

意味わかんないんだけど

ハナ

年齢は、関係ないでしょ？

ハナ

緊張する問は、誰を相手にしても緊張するんだよ

サチコ

え？そういうもん？

サチコ

保育士として１年目の時はできないことは沢山あると思うけど、

サチコ

さすがにピアノが弾けないのはまずいでしょ...

ハナ

でも、これでも大学１年生の時から初心者で練習して、

ハナ

独学で４年間でここまで弾けるようになったんだよ

ハナ

私なりに、すごい頑張ったつもりなんだけど

サチコ

え？失敗したのに頑張った、とか言ってんの？

サチコ

何それ...勘弁してよ

サチコ

何にも成果、得られてないじゃん

ハナ

完璧ではないかもしれないけど...でも、昔の私と比べたらだいぶ成長してるよ

サチコ

あのさ、昔の自分と比較、って何そんな呑気なこと言ってんの？

サチコ

そうやって言うのは、心の中でだけにしてよ

サチコ

気持ちまで緩んでくるでしょ

ハナ

気持ちは緩めるつもりはないんだけど

ハナ

変わらず、頑張るつもりだよ

サチコ

そう？

サチコ

まあ、当たり前のことだよね

サチコ

いつも、園児たちのお手本でいないといけないんだから

サチコ

だから、もっとピアノの練習も必死でやってよ

サチコ

じゃないと、これから親御さんになんて言われるか...

サチコ

一緒に働いてる私たち保育士も、協調性がないとか言われて、

サチコ

ハナだけじゃなくて、他のみんなの責任にもなるんだからね

ハナ

うん、分かってるよ

ハナ

本当に、気を付けるからさ

ハナ

それで、サチコや他のメンバーーには迷惑はかけないようにするから

サチコ

当たり前でしょ！

サチコ

何で私がハナの面倒も見ながら、自分の仕事も進めて行かないと行かないの？

サチコ

私は子供たちとすぐに仲良くなれるの

サチコ

最近やっと一部の子供会値も私になついてきてくれてるところなんだよ

サチコ

だから、じゃましたら、許さないんだからね

ハナ

そんな、邪魔なんてするわけないじゃん

ハナ

私は、私の自分のことでやることが沢山あるんだもん

ハナ

ピアノだけじゃなくて、コミュニケーションの取り方もも本帰って、勉強してるんだもん

サチコ

え？本なんて買ったの？

サチコ

たかがコミュニケーションじゃん

サチコ

相手と話すだけでしょ

サチコ

何が難しいわけ？

ハナ

何から話したらいいのか...機嫌が悪い時はなんて会話したらいいのか...

ハナ

それが分からないから、今本を読んで勉強してるところなの

ハナ

何か、悪い？

サチコ

いや、別に悪いとかじゃないけどさ...

サチコ

そんなことしなくても、経験ベースで面倒みていけばいいじゃん

サチコ

そういうクソまじめなところがあるから、園児たちにも距離を置かれるんだよ

サチコ

その心配性な性格があるのに、よく保育士なんてやろうと思ったよね

サチコ

すごいわ

ハナ

人の目標とカ、夢をバカにするのは自由かもしれないけど、

ハナ

声に出してわざわざ言わなくてもいいよね？

サチコ

何？傷ついちゃった？

サチコ

ごめんね～傷つくようなこと言っちゃって

サチコ

まあ、それぐらいの方がハナにとってそれぐらい言っておいたほうがいいでしょ

ハナ

いい加減にしなよ

サチコ

まあまあ

サチコ

そんな怒んないでよ

サチコ

あっ！そういえば！

サチコ

来週の先生同士の朝礼会で、お遊戯会のお手本で何の役をやるか決めるじゃん？

サチコ

ハナは、何するか決めたの？

ハナ

まだだけど？

サチコ

じゃあさ、白雪姫だし、私が王子様役にハナのこと推薦してあげるよ

ハナ

は？なんで王子様役？

サチコ

だって、不愛想だし、男性役の方が向いてるんじゃない？

サチコ

きっとハナもしっくりくる、って

ハナ

何祖の理由...

ハナ

イヤだよ、私は

ハナ

男装するなんて

サチコ

じゃあ、何やるか具体的に決めてるの？

ハナ

それは...決めてないけどさ

ハナ

でも、サチコに自分の役を決められたくはない

サチコ

え～絶対に王子役がぴったりなのに～

サチコ

私がお姫様やくやれたら、セリフとカ忘れてもサポートしてあげるからさ

ハナ

そんなこと、されなくても私は大丈夫だよ

ハナ

私のこと、バカにしすぎじゃない？

ハナ

そんなに気にしなくても、大丈夫だよ

サチコ

あっそ

サチコ

人がせっかく心配してあげてんのに...

サチコ

どうせ、練習でも失敗して恥かくのが落ちに決まってるじゃん

サチコ

そんなのもう分かってるんだから

ハナ

勝手に決めつけないでよ

ハナ

確かに、昔っから忘れっぽいことはあるし、

ハナ

新しいことするにも、人の倍以上はやらないとあんまり慣れないけど...

ハナ

それでも、最後までしっかりやり通す力は誰よりもあると思ってるから

サチコ

え～？

サチコ

マジでそんなこと思ってんの？

サチコ

嘘でしょ？

ハナ

嘘じゃないけど...

サチコ

そんな見え張るのやめときな、って

サチコ

あとで痛い目見るのは、ハナなんだから

ハナ

変な言い方しないでよ

サチコ

まあ、とにかく..明日決めるからね

サチコ

誰が何になるか、私今から楽しみ～

サチコ

じゃ、おやすみ！

～翌日～

サチコ

ねえねえ！ハナ

ハナ

何！？

ハナ

お姫様役、頑張ってね～

サチコ

ほんと、じゃんけんに負けてお姫様役とか...ウケるんだけど！

ハナ

勝手に、１人で面白がってればいいじゃん

サチコ

お遊戯の練習会は親御さんは来ないけど、園の先生はみんな集まるし、

サチコ

緊張しちゃうかもね～

サチコ

もし、セリフ飛んじゃったらどうするつもりなの？

ハナ

セリフが飛ばないように、頑張って暗記するに決まってるじゃん

ハナ

私だって、それぐらいのことはできるよ

サチコ

本当に？

サチコ

なら、良いけどさ

サチコ

まあ、せいぜい頑張ってよ

サチコ

私は、楽な照明係だからめちゃくちゃ気がラクだな～

サチコ

何も覚えなくていいし、家から見てるだけでいいんだもん

ハナ

照明だって、重要な役割になるじゃん

ハナ

手抜こうだなんて思わないでよ

サチコ

そんなこと、私が思うわけないじゃん

サチコ

変なこと言うの、やめてくれる？

サチコ

じゃあ、私今から合コンだ～

サチコ

練習頑張って

～見本の発表会の日の18時～

サキエ

サチコ先生

サキエ

ちょっと、話があるんだけどいいかしら？

サチコ

はい、どうしましたか？

サキエ

今日の先生たちが見せたお遊戯会の見本会のことなんだけど...

サチコ

はい

サチコ

サキエ先生は急用で来れなかったみたいですが、すごく上手くいきましたよ

サチコ

園児のみんなも、楽しんでくれましたし...

サキエ

私が言いたいのは、そういうことじゃないの

サチコ

え？

サキエ

サチコさん、あなたハナ先生にわざと照明を当たらせない時があったらしいじゃない

サキエ

本当なの？

サチコ

え？イヤ...そんなことは...

サチコ

うっかりして、照明を当て忘れちゃったときはあるんですけど、

サチコ

でも、それは決してワザとなんかじゃないですよ

サキエ

どうかしら

サキエ

裏にいた園児の子がね、ハナ先生が別の先生に話してるのを聞いちゃったらしいのよ

サキエ

「ハナ先生って、もし照明が当たらなくてアクシデントがあったら、セリフ忘れるのかな」って

サキエ

それで、試してみたくなっちゃった？

サチコ

そんな、試すだなんてしないですよ！

サチコ

本当に、あれはアクシデントです！

サチコ

すみませんでした...

サキエ

あのね、大人の動きって園児は見てないようで、よく見てるのよ

サキエ

あんまり、園児のこと甘く見ない方がいいわよ

サチコ

甘く見ていたわけじゃないですが...発表会の時は、

サチコ

ちょっと目を離していた隙に、場面を見失ってしまって...

サチコ

少し混乱しちゃったところはありました

サキエ

まあ、それは今度から気を付けてね、というとして...

サキエ

サチコ先生、他にもハナ先生に何か言ったことある？

サチコ

え？他にも？

サチコ

何か、っていうのは...どういうことでしょうか？

サキエ

とぼけるのも、いい加減にした方がいいわよ

サチコ

いや、本当に心当たりがなくて...

サキエ

あなた、先生たちの全体練習の日に、あなた無断で休んだんでしょ？

サチコ

いえ！違います！

サチコ

あの日は、両親が体調を崩した、と聞いたので様子を見に行ったんです

サチコ

練習会は、両親に会いに行く、と理由を伝えています

サキエ

それも、嘘なんでしょ

サチコ

嘘じゃないですよ！

サチコ

本当に、体調が悪かったんですよ

サキエ

園児の子の1人がね、あなたのことをその日の夕方に見た、って言っていたの

サキエ

近くのショッピングモールの中野映画館で、男の人と２人でいるところをね

サチコ

あの時、見られてたなんて...

サキエ

園児の子たちも、その日先生たちで集まって練習することは知っていたもの

サキエ

だから、映画館にサチコ先生がいるのが不思議で仕方なかったみたいね

サキエ

わざわざ、今朝私のところに来て教えてくれたのよね

サキエ

サチコ先生がお遊戯会の練習、サボってたんだよって

サチコ

あっ！演技の勉強ですよ！

サチコ

俳優や女優の本気の演技を見たら、見本会で披露する演技に役立てられるかな、と思って...

サキエ

でも、サチコ先生は照明係よね？

サキエ

演技なんて勉強する必要、あるの？

サチコ

私１人が見たら、口頭で伝えていこう、って思ったんですよ

サキエ

演技よりも、とにかく照明係をしっかり真っ当すること気を配りなさい

サチコ

すみませんでした...

サチコ

これからは、気をつけますので

サキエ

これからは、他の人に照明係は頼むから心配しなくていいわよ

サチコ

え？どういうことですか？

サキエ

今、誰もあなたのことは信頼していないわよ

サキエ

だから、園児への見本会でも、あなたは来なくていいわ

サキエ

園児のモチベーションが下がるなんてことになったら、私、イヤだし

サキエ

それにね、見本会だけじゃないわ

サチコ

え？

サキエ

あなたが園の先生が参加必須の見本会でサボったことは、

サキエ

一部の親御さんに知られてるのよ

サチコ

え！？そんな！？

サキエ

そういうことで、自分の予定を優先する人はうちの縁にはいらないの

サキエ

親御さんかも、自分の予定を最優先する先生は子供とかからわせないでください、

サキエ

って連絡があったわ

サチコ

私、今度こそは真剣にやりので...お願いです！

サキエ

もう一度、チャンスをもらえないでしょうか？

サキエ

いえ、もう結構よ

サキエ

一度ついた噂は、なかなか消えないんだから

サキエ

信頼を取り戻すところから、まずは頑張りなさい

サチコ

そしたら、私は担当のクラスを持てない、ってことでしょうか＿

サキエ

まあ、そういうことね

サキエ

軽い、謹慎処分みたいなものだと思ってちょうだい

サキエ

そういうことで、明日からはずっと職員室で作業ね

サキエ

よろしくね

～後日談～

ハナ

その後、サチコは担当の受け持っていたクラスを1カ月離れ、園の事務作業に徹しました

ハナ

なんと、サチコの園の担当は私が主に担当することになり、やることが増えましたが、

ハナ

認められた気がして、なんだかすごく嬉しいです

ハナ

気を抜かずに、これからも1人の保育士として頑張っていきたいと思います

この作品はいかがでしたか？

0件

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう！

タナカトシキ

プロフィール

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

LINE１３５７

第1話 - あ

作者の他の作品すべて見る

#スカッとの新着小説
一覧

関連するタグ

LINE１３５７

第1話 - あ

作者の他の作品すべて見る

#スカッとの新着小説一覧

関連するタグ

#スカッとの新着小説
一覧