玲奈
叔母さん何も分かってないよ…プールなんて楽しい場所じゃないのに
玲奈
プールサイドにいるのもそろそろ飽きてきたし着替えて出ようかな…
玲奈
よいしょ…っと
真人
あ、待って
君、もしかして1人?
君、もしかして1人?
玲奈
…?あなたは誰?
真人
ああ、ごめん。僕は真人って言うんだ。近所のマンションに住んでる。
玲奈
…玲奈よ。夏休みで田舎に帰ってきてるからここら辺はあんまり知らないんだけど…君見た事ある気がする
真人
そうかな?まあ狭い町のプールだしそんな事くらいいくらでもあるよ
玲奈
で、なにか私に用があったの?
真人
まあ、そんなとこ。今日朝から来てたんだけど君、1回もプールに入ってないよね?体調悪い?
玲奈
ううん。水アレルギー…とまではいかないんだけど水を見ると痒いっていうか気持ち悪くって。
真人
(やっぱりか…)そっか。家族と一緒かなと思ったけどいないみたいだし…
玲奈
叔母さんと来てたんだけど叔母さんはプールに入らずに駐車場で待ってるって…ほんとこりごりだわ笑
真人
実は僕も人アレルギーなんだ。人と触れると痒くなって迂闊にプールにも入れやしないよ笑
玲奈
え、でもさっき声掛けた時「トントン」って私の肩叩かなかった?
真人
まあ、そうだね。
…もう君は人じゃないからね。
…もう君は人じゃないからね。
玲奈
………
真人
君も気づいてるんだろう?叔母さんに背中を押されて溺れて死んだ事も、僕が住職の息子って事も
玲奈
叔母さんは私の容姿も学力もうちの息子には無いって愚痴ばかりで…こんな事になるなら田舎に帰らなければ良かった…
真人
そっか…辛かったんだね。でも大丈夫。僕がきっと成仏させてみせるよ
玲奈
…ありがとう、マサト。じゃあね
ふぅ
真人
あーあ、せいせいした。
真人
容姿も学力も悪いだ?よく本人を目の前にしてそんな事言えるよな
真人
従兄弟の顔さえ忘れるとか、まじであいつの背中押して良かったわ