緑 。
なぁ、橙
いつもの猫カフェで、俺は声をかけてみた。
彼女はふと顔を上げて、ゆっくりと俺を見つめる。
橙 。
なんだよ?
緑 。
最近さ、俺たちの距離ってどう思う?
橙は一瞬考えるように目を伏せた。
橙 。
うーん…微妙じゃない?
緑 。
微妙?
橙 。
近いようで遠い、でも離れられないって感じ
彼女の言葉に、俺は苦笑した。
緑 。
わかる気がする。
緑 。
俺も同じだ
橙 。
やっぱり、不器用なんだよ、私たち
緑 。
そうだな。
緑 。
でも、それが俺たちっぽいと思う
しばらく沈黙が続いた後、橙がぽつりとつぶやいた。
橙 。
でも、そんな距離感でも、居心地は悪くない
緑 。
俺も
橙 。
変な話、あんたがいると落ち着く
彼女の素直な言葉に、胸が熱くなった。
緑 。
不器用なままでも、いいよな
橙 。
うん
猫がひと鳴きし、二人の間に温かな空気が流れた。
そんな不器用な距離でも、俺は大切にしたいと思った。







