本音の隙間に

鬱陶しい程の晴天に、今日も変わらず朝っぱらから男は女達に囲まれていた。 "かいと"と呼ばれるこの男の名前は、「鞍馬海斗」学内トップの成績を誇る秀才でスポーツ万能に加え、ルックスも抜群に良いため学校1のモテ男だ。両親共に有名俳優で、海斗自身もモデルをしている。

廊下を歩いていると急に海斗の背中に重みを感じる

背中の重みの正体は錦戸だった 海斗は錦戸を押し返す

「錦戸 梓」(にしきあずさ)は海斗の幼馴染であり大親友だ。

ドンッ

おさげの地味な女子生徒と海斗を取り囲んでいた内の1人の女子がぶつかる。 その拍子におさげの女子生徒は抱えていたプリントの束を落としてしまう。

どう考えても相手が悪いのに、謝り続けながら必死にプリントを拾うおさげの女子生徒。

そんなおさげの女子生徒に少しイラつきを覚えながら、海斗はぶつかった女子生徒をやわらかく注意する。

海斗は床に散らばったプリントを拾ってやり、おさげの女子生徒に渡す

そこまでずっと目を合わそうとしなかったおさげの女子生徒はやっと海斗の目を見た

海斗はジーとおさげの女子生徒の顔を凝視する

その時、眼鏡越しに見える珍しい赤色の目を見て海斗はハッとする

おさげの女子生徒は去り際に海斗の耳元で囁く

海斗は綾瀬の走って行った廊下の先を横目で睨んだ