tiramisu(主)
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類
会社員として働いている。寧々とは5ヶ月付き合っている。
寧々
類とは5ヶ月付き合っていて、アルバイトで本屋で働いている。
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この話は類寧々要素と自殺表現が含まれています。類寧々が地雷な人か自殺表現が苦手な人は回れ右!
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類
類
類
類
ガサコソ…
類
同僚
類
タッタッタッタッ
世の中には2種類の人間がいるという。
生に対する欲動____「エロス」に支配される人間と、
死に対する欲動___「タナトス」に支配される人間。
この世界の人間のほとんどは前者だが、彼女は紛れもなく後者だった。
彼女が「タナトス」に支配される人間だということは、彼女と付き合い始める前から知っていた。
それもそのはず、もともと幼馴染だった僕たちが再度出会ったのは、今のようにマンションの屋上で自殺を試みている彼女を、僕が助けたのがきっかけだった。
最初会ったのは、幼い頃に僕の家の隣に引っ越してきたという女の子。つぶらな瞳にぽってりとした唇と、可愛らしい顔立ちをしているが、どこか儚げな表情をしている彼女は、一瞬で僕の心を奪った。きっと一目惚れのようなものだったと思う。
その時から彼女とはいろいろな話をするようになり、すぐに仲良くなった。 学校では独りきりで寂しく過ごしていた僕にとって、彼女はまるで天から舞い降りた天使のようだった。
ひとつ疑問に思うことがあった。 彼女は自殺を図ろうとする時、決まって僕に連絡を入れる。そして、僕が来るまでその場で待っている。
誰にも知らせずひとりで死んだほうが確実なのではないかと思うが、 もしかしたら彼女は、出会った時のように僕に自殺を止めてほしい、助けてほしいと心のどこかでそう思っているのではないかと、勝手に解釈していた。
だから、僕は今回もこうやってマンションの階段を駆け上がる。
類
マンションの屋上にたどり着く。
フェンスの向こうに立つ、彼女の背中を見つけた。
類
フェンスを飛び越え、彼女の手を取る。 彼女の手は、蒸し暑い空気に反して冷たかった。
寧々
鈴の音に似た、儚くて可愛らしい声。僕は彼女の声も好きだった。
類
寧々
類
寧々
彼女には、「死神」が見える。「タナトス」に支配される人間に稀に見られる症状なのだという。
そして「死神」は、「タナトス」に支配されている人間にしか見ることができない。
類
寧々
僕が死神を否定すると、彼女は決まって泣き叫ぶ。
死神は、それを見る者にとって1番魅力的に感じる姿をしているらしい。いわば、理想の人の姿をしているのだ。
彼女は死神を見つめている時(僕には虚空を見つめているようにしか見えないが)、まるで恋をしている女の子のような表情をした。まるでそれに惚れているような。
僕は彼女のその表情が嫌いだった。
類
寧々
彼女が僕の手を振り払おうとしたので、思わず力強く握ってしまった。
寧々
類
でも、君が悪いんじゃないか。僕の手を振り払おうとするから。僕のことを見てくれないから。
類
僕の心にどす黒いものが押し寄せてくる。
寧々
なんで、こんなにも僕は君のことを愛しているのに、君は僕だけを見てはくれないのだろう。
死神に嫉妬をするなんて、馬鹿げていると心のどこかでは思っていたが、もうそんなことはどうでもよかった。
寧々
僕も嫌だよ
寧々
僕だって疲れたよ
寧々
類
その時、彼女が顔を上げた。
ニッコリと笑っていた。
彼女の笑顔を見た途端、急に心のどす黒いものが消える感覚がした。
あれ、これってもしかして。
寧々
類
寧々
ああ、そうか。 君が自殺を図ろうとする度に僕のことを呼んだのは、僕に助けてもらいたかったからじゃない。
君は、僕を連れて行きたかったんだ。
僕にとっての「死神」は、彼女だった。
涼しい風が吹き抜ける。いつの間にか蒸し暑さなど感じなくなっていた。
寧々
類
手を繋いだ君と僕。
この世界が僕らにもたらす焦燥から逃れるように
夜空に向かって駆け出した。