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なんとなく、眠れなくて

五感を研ぎ澄ませ、 夜に浸ってみる。

大丈夫、眠れる。

眠れる。

眠れる。

眠れる___

眠れる。

眠れない。

眠れない。

…玲奈、起きてる……?

…っ、う、うん……。

……少し、話がしたい。

…長いし面白くない、つまらない話だけど……。

…付き合って、くれないか。

…わかった。

ふぅっと深呼吸をする。

……今まで、誰にも話した事がないからさ。

俺…うまく話せるかわかんないけど……。

玲奈には知ってほしいこと、だから…。

…俺は昔____

人間、だったんだ。

家族にも恵まれていて。

仲の良い友達も沢山いてさ。

楽しい毎日だった。

…だけど。

ある日、みんなに相手にされなくなったんだ。

挨拶をしても無視される。

俺を指差して、小声で囁きあっている。

…そんなことが、度々起こるようになった。

…俺の、何処が悪いのか?

…俺の、何が原因なのか?

何度も考えたし、自分を変えようとしたけど。

どうしてなのか全くわからないから、変われなかった。

そして、俺は思った。

俺には、生きる価値など無いんじゃないかって。

俺は、この世にいないほうが良い存在なんじゃないかって。

だから俺は、自殺した。

中2の、秋に。

冷たく、悲しい声が響いた。

悪魔は相変わらず、 自嘲的に笑っている。

まるで、自分自身を 嘲笑っているかのように___

………っ

…ははっ、

俺と玲奈って、案外似た者同士なのかもしれないな。

…だから、かな。

玲奈には…絶対に生きてほしいって思うんだ。

お前は…俺が守る。

何があろうとも、絶対に。

……えっと、その…

…話してくれて、ありがとう。

きっと、あまり言いたくないことなんじゃないかって……思う。

こう言うのはおかしいのかもしれないけど。

だから…悪魔が話してくれてさ、私ね。

…嬉しかった。

……!

私も少しは信頼されてるのかなーって思ってさ。

私…今までずっと、悪魔に助けられてばっかりだったしさ。

やっと、悪魔の隣に立てたみたいで嬉しい…!

……ふっ、そうか。

ありがとう、玲奈。

お前は…本当に良い奴だな。

私の髪を、悪魔の手が優しく くしゃりと撫でる。

悪魔の温度を感じて、 体温が急上昇するのを感じた。

ちょっと恥ずかしい…けど、 それ以上に、嬉しかった。

あーあ…駄目だなぁ、私。

また、悪魔の優しさに 甘えちゃってる…。

それと…さ。

さっきは、ごめん…。

……怖がらせちゃった、よな。

ううん、大丈夫。

……私こそ、ごめん。

どんな姿でも、悪魔は悪魔…だからさ。

…それに。

誰にだって、隠したいことはあると思うから……。

……ありがと。

んじゃ、早く寝ようぜ。

…明日はちゃんと早起きしろよ?

…むっ!!も、もちろん!!!

本当か〜?

ほ、ほんとだし!!

ぷっ、あははははっ…!!

くくっ、無理してんのバレバレなんだけど!!

なっ……!?

大丈夫。ちゃんと起こすから。

安心して眠りたまえ!!!

…ふふっ、なにそれ!!

…ん、眠れない?

じゃあ……。

不意に悪魔の顔が近くなり

声を出す暇もないまま、 耳元に感触が___

…………っ!?

……ん。

あははっ、さっきから思ってたけど……。

顔真っ赤。熟れた林檎みたい。

………っ!!!

ぷっ…くっははははっ!!

お前、ほんと男に慣れてないよな〜!!!

あれ、もしかして…唇にしてほしかった〜?

なっ……!!!

くっ…あははははっ!!

やっぱ玲奈って、面白すぎるわ〜!!

やべぇまじで笑いが止まんねぇ…!!!

眠れないんだけど!どうしてくれるんだよ!?

…もう知らないっ!!!

おいおい!!

…おやすみっ!!!

しょーがねぇなあ。

…おやすみ、熟れた林檎。

うっ…!?

くっ、ははははっ!!!

もーー許さないっ!!!

うそうそ!冗談だよ、ごめん!!

じゃあ今度こそ…

……おやすみ、玲奈。

…おやすみ、悪魔。

耳元には、まだ…くすぐったい 感触が残ったまま。

隣で笑いを堪えている悪魔。

…何を考えてるのか、 さっぱりわからない。

恥ずかしいし、よりによって なんで私に……!?

やがて…

混乱する私とは裏腹に、

隣からは、気持ち良さそうに 寝息が聞こえてくる。

……ほんと、生意気。

だけど、やっぱり優しくて…

拒絶されたときは、本当に 怖かったけど。

悪魔は悪魔なんだって思えた。

こんな風に、誰かと一緒に 笑い合うことなんて

今まで、あまり 出来なかったことだから

正直、楽しいなって思える。

私は、一番星のように 『一番に』なることだけが

大切だと思ってたし、 それだけが生き甲斐だった。

でも、きっと……

それは、違ったんだ。

一番星じゃない、二番星や 三番星だって

みんな、それぞれの良さがある。

それぞれの良さを分かち合って 星空ができる。

だから…誰かと一緒に 喜びや幸せ、悲しみや苦しみを

分かち合うことが 大切だったんだって__

今、やっと気づけた。

今はまだ、心の中でしか 言えないけど…。

いつか、自分の言葉で 言えたら良いなって思う。

気づかせてくれて…

ありがとう、悪魔。

心の底から、そう思った。

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コメント

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悪魔にも辛い過去があったんだね……。でも、玲奈ちゃんのことを信用して話した、ってことだよね……! それにしても悪魔さんと玲奈ちゃんの絡み好きなんだけどっ🥰💕 この2人付き合って欲しいぃぃぃい!!!

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