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その日、結七は東京に来ていた。 結七は憧れのスターに近づくために事務所のオーディションに来たのだ。

結七

本当に大丈夫かなぁ・・・

不安になる自分と戦いながら結七は1歩を踏み出した。

〜1週間前〜

結七が何気なく眺めていたサイトの広告に憧れのスターが出てきたのだ。 結七は無意識に広告のサイトを開いていた。 そのサイトには〝 新人アイドル発掘オーディション〟と書かれていた。 その事務所には憧れのスターが所属していた。

結七

(憧れのスターに近づけるなら・・・)

結七

(どうせ落ちるだろうし・・・)

結七はそのオーディションに応募してみることにしたのだった。

〜数日後〜

ピロリン

結七のスマホに一通のメールが届いた。

結七

なんだろう?

メールを開くと、「〝一次審査合格〟二次審査は事務所にお越しください」と書かれていたのだった。

・・・・・・・・・

結七

デカい!!

結七が思わずそう言ってしまうほど事務所はとても大きいビルだった。

結七が受付でエントリーシートを受け取り、記入を始めると、目の前にフードを被った男の人が座った。

男の人の顔はフードで半分以上隠れていたが、チラッと見えた口元が整っていた。

そして男の人は立ち上がり、エレベーターの方へ消えていった。

結七がふと下を見ると、赤い手帳が落ちていた。 結七がその手帳を拾うと、手帳の裏に写真が入っていた。 その手帳・・・学生証から、持ち主は日立高校1年生の〝 大西陽生〟という人だと分かった。

結七

(学生証だからすぐ届けなくちゃ)

結七はエレベーターホールへ向かった。すると、エレベーターからフードを被った人が出てきた。その人は結七の手にある学生証を見ると、近づいてきた。

陽生

すみません。それ俺のです。

結七

あっ・・・。はい、どうぞ

陽生

ありがとうございます

結七

(ドキッ)

〜5分後〜

結七は立ち上がり、エントリーシートを持って2階のオーディション会場へ向かった。

オーディション会場には30人くらいの人が番号札をつけて座っていた。 結七も番号札を受け取り、空いている席に座った。

結七がふと隣を見ると

結七

あっ!〝大西陽生さん 〟

結七が彼をじっと見ていると、そのしせんにその視線に気づいたのか彼がこっちに振り向いた。 彼はフードを取り、ニコッと笑った。

陽生

さっきはありがとうございました。俺、大西陽生っていいます。

結七

全然気にしないでください。私は齋藤結七です。

それから2人は出会って20分で昔からの友人のように仲良くなっていった。

結七

(あっ!もうすぐ私の番だ。)

結七が緊張し始めたのに気づいたのか、彼は結七に言った。

陽生

せっかく仲良くなったんだから陽生でいいよ。それとLINE交換してくれる?

結七

それ私も思ってた。私の事も結七って呼んで。LINE交換しよ。

そして陽生のおかげで緊張がほぐれてきた時に、結七の番が来た。

陽生

大丈夫だよ。自信もって!

陽生の明るい声援に見送られ、結七は面接室のドアをノックした。

〜1時間後〜

結七は陽生にLINEした。

結七

陽生・・・さん、オーディション終わりましたか?

陽生

終わったよ。それよりさぁ呼び捨てでいいってば。

・・・・・・

陽生

今度会えない?

結七

いいよ。いつにする?

陽生

じゃ今度の日曜は?

結七

OK

〜土曜日〜

結七がベッドに寝転んでスマホをいじっていると、メールが届いた。

結七

(ん?なんだろ?)

〝最終審査合格 〟

結七

えーーーーーーー!?

うるさい!

結七

あっごめん。

結七

(まさか合格するなんて・・・)

すると、陽生からLINEが来た。

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