仕事終わり、今日は若井が休みだったから久しぶりに一人で帰る。
ここ最近、若井とたくさんお話したり一緒に帰ってたから新鮮な気持ちだ。
エントランスから出ると、後ろから聞きなれた声がした。
振り向くと、そこには元貴が居た。
涼架
元貴
最近あまり顔を合わせていなかったのに、急にこうして話しかけられるとびっくりする。
元貴の表情はどこか柔らかく優しい雰囲気を纏ってる。
元貴
元貴
涼架
元貴
そう言いながら僕の頭をふわりと優しく撫でた。
涼架
今までこんなふうに触れられたことなんて、あったっけ?
一瞬体が固まった。
元貴
元貴の申し訳なさそうな声に、胸がざわつく。
ずっと欲しかった優しさなのに、いざ向けてくれるとどうしていいのか分からなくなってしまう。
涼架
思わずそう答えてしまった。
涼架
あの会社の前で元貴に会ってから、何故か元貴は前みたいに僕にも優しくしてくれるようになった。
元貴
元貴
ふとした瞬間の優しさ
思わせぶりにも見える言葉。
これじゃあまるで、僕の事を離したくないって訴えかけてるみたいだ…。
でも
涼架
嬉しいはずなのに心のどこかで違和感が拭えない。
元貴が優しくなってから少し経っても違和感はどうしても拭えない。
モヤモヤしながら今日最後の仕事を終わらせると、隣で待っていた若井が話しかけてきた。
滉斗
涼架
滉斗
滉斗
涼架
滉斗
涼架
滉斗
そう言うと走って去ってしまった。
涼架
・ ・ ・ ・
走ってエントランスから出ると、若井がスタバを持って待っていた。
滉斗
涼架
滉斗
滉斗
若井からコーヒーを受け取り、並んで歩いていく。
夜風が少し冷たくて無意識に腕をさすった。
滉斗
涼架
慌てて否定するも、若井は何も言わず自分のジャケットを脱いで僕にかけてくれた。
涼架
涼架
滉斗
滉斗
確かに…と思いつつお言葉に甘えて受け取る。
若井の優しさに触れる度、胸が暖かくなる。
でもそれが僕を逆に混乱させる。
涼架
そんなことを考えてると不意にスマホが震えた。
ポケットから取り出すと、元貴から電話がかかってきていた。
指が一瞬止まる。
涼架
そう思うのに、指が動かない。
滉斗
若井が歩くのをやめて僕を見つめる。
涼架
小さく息を吸った。
そして、
スマホの画面を伏せた。
涼架
自分の選択に胸が少し傷んだ。
でもそれと同じくらいどこかホッとした自分もいる。
涼架
答えは出ないまま、若井と一緒に歩き出した。
コメント
3件
1時間前!?早起きにも程があるよ〜w
人の事言えないけど早起きすぎませんか??