朝
ゆかり
あー眠い…
ゆかり
(…は?なんで猫がいるの?)
紫桜
お、やっと起きた。
ゆかり
なんでここにいるの!!それになんで喋れんの!?猫じゃないの!?
紫桜
落ち着いて落ち着いて。
ゆかり
不法侵入で訴えてもいい?
紫桜
それは意味ないにゃ。
紫桜
ワタシの姿はアンタにしか見えないにゃ。
ゆかり
あ、やっぱり語尾に「にゃ」って付くんだ…。
紫桜
うるさい。
ゆかり
で、何?
ゆかり
あたしにしかお前の姿見えないらしいから話聞いてあげるけど。
ゆかり
傍から見たらひとりで話してる不審者なんだからね?
紫桜
お、話が早くて助かるにゃ。
ゆかり
てかさっきから微妙に上から目線腹立つ…
ゆかり
猫のくせに…。
紫桜
久留米 ゆかり、アンタは魔法少女に選ばれたにゃ。
ゆかり
…は?
◇ ◇ ◇
ゆかり
ちょっと待って、内容整理させて?
紫桜
うん。
ゆかり
まずあたしがダイマドウシ?って人に魔法少女に選ばれて…あんたは…何だっけ、あたしの助っ人の妖精?なんだよね?
紫桜
さっきからそう言ってるにゃ。
ゆかり
うっわ、腹立つわぁ…。
紫桜
とりあえず、急いでほしいにゃ。
ゆかり
え、なに、あたしが戦えってことなんだよね?
紫桜
そうにゃ。そろしく頼むにゃ。
ゆかり
死んだらどうしてくれるわけ!
紫桜
もちろん死ぬにゃ。
ゆかり
はぁ〜…。
紫桜
でもそう簡単には死なないにゃ。
紫桜
それに、受けた傷もほとんどすぐ治るにゃ。
ゆかり
なにそれ?
紫桜
アンタが戦うのは魔法世界、と言って魔力を動かす“ジュエル”という宝石の元成り立ってる世界にゃ。
紫桜
そこにはアンタみたいな魔法少女や魔法少年、魔法使いたちがうじゃこりゃいるにゃ。
紫桜
それだけじゃないにゃ。魔法を扱える者たち以外にも、その魔法をコントロール出来なくなって暴走した奴や魔物がいるにゃ。
紫桜
アンタはそいつらを倒すのを協力してほしいのにゃ。
ゆかり
へ、へぇ〜。
ゆかり
なんかそういう人たちってステッキ持って変身!みたいなことしてるけど、そういうのはあるの?
紫桜
あー、あっちに行ったら渡すにゃ。それを振れば変身出来るにゃ。
ゆかり
今更だけどどう言う原理なの…?
紫桜
そこを気にしたら負けにゃ。魔法でならなんでも出来るにゃ。
紫桜
とりあえずワタシがワープゲートを出すから、それにくぐれば魔法世界に行けるにゃ。
ゆかり
あ、はーい。
ゆかり
あのさ、魔法世界での時間の流れはどうなってんの?
ゆかり
一緒とか魔法世界の方が遅いとかなるとあたし学校遅れちゃうんだけど。
紫桜
大丈夫にゃ、一瞬で終わるにゃ。
ゆかり
あ、ソーデスカ…。
紫桜
…
ブォォン…
ゆかり
おぉ…すご。
紫桜
とりあえず通るにゃ。
紫桜
亜空間に繋がってることはないにゃ。
ゆかり
へぇー。
ゆかり
…え?
ゆかり
うわああああああぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!
ゆかり
落ちる落ちる落ちる!
ゆかり
てかなんであたしがお前抱えてんだよ!
紫桜
何が悪いにゃ?
ゆかり
…はぁ、もういいか。
ドサッ
ゆかり
…え、
ゆかり
あんな高所から落下したのに助かってる!?
紫桜
いちいち反応が大きすぎるにゃ。
紫桜
何回もここに来るんだから、すぐ慣れろにゃ。
ゆかり
で、その魔物はどこなの?
紫桜
…そこにゃ。
ゆかり
うわぁぁぁぁ!
ゆかり
すぐそこに居るとか聞いてない!!聞いてないよ!!
紫桜
あ、これステッキにゃ。
ゆかり
はいありがとう!!
ゆかり
…フンッ!!
ボンッ
ゆかり
…おぉー。
紫桜
あ、そのステッキは自分が念じて振れば魔法が使えるにゃ。
紫桜
ちなみに、武器を出して使いたい場合も同じにゃ。
ゆかり
へー……。
ゆかり
じゃあお試しで…。
紫桜
魔物が近くにいるからお試しとかしてる暇じゃないにゃよ。
ゆかり
うっわそうだった!!
紫桜
…と言ってもそこにいる魔物の動きは止めたにゃ。
ゆかり
なんか石像みたいに固まってる…。
ゆかり
とりあえず…ほっ!
紫桜
…双剣にゃ?
ゆかり
そうそう。なんかカッコよさそうって思って。
紫桜
…まぁ頑張れにゃ。
紫桜
ワタシはちょっと気配を消すにゃ。
ゆかり
…なんだそんなこと出来るの?
紫桜
アンタは頑張って戦うにゃ。
ゆかり
(なんなのあいつ…まぁいっか。)
ゆかり
(お試しで一撃…)
ザシュッ
<グアアアアアアアア!!
ゆかり
…は?マジ?
ゆかり
一発で倒れた…
ゆかり
あいつが弱いの?あたしが強いの?
紫桜
…あいつが弱かったにゃ。
紫桜
とりあえず戻るにゃ。
ゆかり
別にいーけどさ…ん?
??
……。
ゆかり
(何あの少年…?)
ゆかり
(こっち見てる…?)
ゆかり
あ、いなくなった…。
紫桜
何の話にゃ?
ゆかり
いや、さっき金髪青眼の少年が居て…。
??
青目じゃない。これでもオッドアイだ。
ゆかり
は?なんで居るの?
??
存在理由問うのも仕方ないと思わないか?
紫桜
…あぁ、さっきの金髪青眼の少年ってこの子のことだったにゃ?
ゆかり
そうだけど…。
紫桜
そいつは颯月。魔法少年にゃ。
颯月
…颯月。15歳だ。よろしく。
ゆかり
あ、颯月くんね…。よろしく。
ゆかり
(年齢的にはあたしの方が歳上なのかぁ。)
紫桜
年齢だとゆかりの方が歳上にゃ?
ゆかり
うん、まぁそうだね。あたし16だし。
颯月
…そうか。
ゆかり
というか何で紫桜は颯月くんを知ってたの?
紫桜
ワタシは颯月の親が作った魔力ロボットにゃ。
紫桜
今は1人でも動けるけど、生まれたばっかりは名前通りに魔力がないと動けないから、10年くらいは魔力を定期的に供給してもらいながら、颯月の家で生活してたにゃ。
紫桜
だから、自然と幼い頃の颯月も…
颯月
紫桜。それは言わない約束だって。
紫桜
例えば颯月が9歳の時は…
颯月
紫桜!
紫桜
冗談にゃ。
ゆかり
な、仲良いの?
颯月
そこまででもない。
紫桜
うーん、まぁ知り合いと友達の間にゃ。
颯月
まぁ、少なくとも友達ではない。
ゆかり
そう。それじゃああたしはもう戻っていい?
紫桜
あ、分かったにゃ。
颯月
…じゃあな。
ゆかり
サヨナラ…?
紫桜
…颯月、挨拶出来たのにゃ?
颯月
僕をなんだと思ってるの?
続く。