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トントンは不信感を覚えていた

その不信感は自身が忠誠を誓った総統グルッペン・フューラーに向いていた

医務室から戻ってきた彼らは書類整理をしていた

いつもなら集中力を切らして『甘味をよこせ!』と騒ぐ5歳児総統を宥めるトントンだが

今回は今まで以上に書類を捌いているグルッぺンに違和感を持った

トントン

なぁ、グルさん

グルッペン・フューラー

どうした?トン氏。訂正でもあったか?

トントン

いや、違うんやけど

トントン

少し、休憩せぇへんか?医務室から戻ってからぶっ続けやし

トントンがそう言うとグルッペンは書類から目を離しキラキラと紅の瞳を輝かせる

トントン

(はは、グルさんらしいな)

椅子から立ち上がり、紅茶の準備を始めるトントンと机を片付けるグルッペン

地位は異なるが、オスマンを含め三人は幼い頃からの仲だ

誰かが悩んでいたらよくわかる

紅茶とお菓子を机に置き、二人は対面に座る

美味しそうにお菓子を頬張るグルッペンを見ながら、トントンは口を開いた

トントン

で、どないしたん?暗い顔してたで

グルッペン・フューラー

そうか?普通だっただろ

ケーキを頬張りながら目線をあげるグルッペンの様子はまるで子供ようだった

トントン

何処が普通じゃ

トントン

お前がそんな真面目に書類やってたら、雪でも降るかと思ったわ

グルッペン・フューラー

む、それはひどいゾ!

トントン

なら言えや

トントン

隠れて変な気を使うのも嫌やねん

トントン

どうせ、スラム街のことやろ?

グルッペンの視線は下へと下がる ケーキを食べ終わると静かに語り出した

グルッペン・フューラー

俺は、国を変える為にお前達と革命を起こした

トントン

せやったな

グルッペン・フューラー

そして、『自分の親』を殺して俺がトップに立った。革命軍からリーダーだったこともあり、異論もなかった

元は帝国であり、当時グルッペンは国の第一皇子、皇太子だった

容姿端麗は血筋だろうが、才色兼備なのは幼い頃からの厳しい教育を受けていた賜物だ。幼馴染と名乗るオスマン、トントンも当時は彼に従う従者の一人だった

グルッペン・フューラー

国を変えたかった。同じ人間だと言うのに、地位などで分けることは許される事ではないと思ったからだ

グルッペン・フューラー

だから、この国を軍事国家にした。『無能』と勝手に判断された者にチャンスを与えるために

グルッペン・フューラー

最初は反対も多かったし、協力的な人間などお前達しかいなかった

グルッペン・フューラー

今では大半の人間が俺の意見に従い、慕ってくれている

グルッペン・フューラー

だが、それは今でも差別されている者を除く

グルッペン・フューラー

貧困な者は自然的に避けられ、アビリティーを持つ者は気味悪がられている

グルッペン・フューラー

スラムはいつの間にか、そんな者達のたまり場になった

グルッペン・フューラー

『協力して少しでも永らえようとしている生命を、ひた隠し潰してしまうのは国として』と問う前に『人間としてどうなのか・・・』と思ってしまうんだ

グルッペン・フューラー

そら、全て均等に上手くいくとは思っていないが、どうにかしてそんな人達を助けたいと考えていたんだ

グルッペン・フューラー

そんな時に、出てきたのが『裏組織』だった

トントン

なんで?

グルッペン・フューラー

スラム街では『影の政府』と呼ばれ、俺達よりも自由に動ける民衆に近い組織だ

グルッペン・フューラー

批判を喰らうことも無く、善意で活動できる

グルッペン・フューラー

総統に就任してすぐに契約をどうするかの交渉官がうちに来た

トントン

(いつの間に来てたんや)

グルッペン・フューラー

そこで俺が頼んだ事はただ一つ

『スラム街の人間や困っているアビリティープレイヤーを助けて欲しい』

グルッペン・フューラー

とな

悲しそうに目を細め言うグルッペンの姿は見たことがなかった

自信家で弱音など吐いたことのない男だ

ここまで気を落としているグルッペンは見たことがない

グルッペン・フューラー

それで交渉は成立した

グルッペン・フューラー

度々、その交渉官が来ては報告して貰っていたんだが、最近は中々来ないから鬱に頼んだんだ

グルッペン・フューラー

それでも、俺達が動くより早く良くなっている

グルッペン・フューラー

俺は、自分で何も出来ないのが虚しかったんだよ

トントン

・・・

トントン

なぁ、グルッペン

グルッペン・フューラー

どうした?

トントン

俺は、グルッペンがそんな悩んでるとは思わんかったし、考えてるのも知らんかった

トントン

でもさ、まだ俺らで出来ることがあると思うんよ

トントン

一人で抱え込まんと、俺らにも共有して欲しいんや

トントン

俺らやってグルッペンに従う人間や

トントン

可能な限り、従うし決め付けで否定したりはせんから

グルッペン・フューラー

・・・わかった。ありがとうな

トントンはバンッと机を叩く。照れ隠しだろう

トントン

さ、書類整理再開すんぞ!

グルッペン・フューラー

もう少し良いだろ!

トントン

十分休憩したやんけ!

こんなやり取りを、オスマンは影から見ていたようだ

オスマン

ホンマに、仲ええよな。あの二人

ふたつの主役第1章~混じり合う存在~

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